中医協・薬価専門部会 長期収載品に依存しない価格体系で議論 薬価制度からも産業構造転換促す

公開日時 2017/06/01 03:51
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中医協薬価専門部会が5月31日開かれ、長期収載品に依存しないビジネスモデルに脱却するための長期収載品の薬価の在り方について議論が行われた。後発医薬品80%目標達成時期が2020年9月に前倒しされることも想定される中で、後発医薬品の使用促進を進めることとともに、より高い創薬力を持つ産業構造へと新薬メーカーが転換することを後押しする新たな薬価制度が求められている。この日の中医協では、後発医薬品使用促進の観点などから、長期収載品を後発医薬品の薬価に揃えることには、診療側、支払側ともに反対した。診療側の松原謙二委員(日本医師会副会長)が、後発医薬品の薬価をベースに一定のプレミア幅を設けて長期収載品の薬価とする新たな制度の構築、導入を提案した。また、支払側からは、後発医薬品の収載後5年経過しても置き換えが進まない先発医薬品の特例引下げ(いわゆるZ2)について、5年という期間の短縮を提案する声があがった。

昨年末に4大臣合意した「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」では、長期収載品に依存するモデルから脱却し、高い創薬力をもつ産業構造へと転換することが明記された。新薬に集中するビジネスモデルを選択した企業では、長期収載品の他社への売却や事業承継などで、手放す例も増えている。専門委員の加茂谷佳明委員(塩野義製薬・常務執行役員)は、「日本の企業もこの方向性に基づいた形での産業構造転換を考えていかないといけない。現在は過渡期だと認識している」と述べた。

産業構造の転換を進める上で、長期収載品の薬価の在り方はその一つの要と言える。ただ、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)が「長期収載品、新薬創出加算の在り方と後発品の在り方と3点セットで議論して結論を出すべき」と述べるなど、診療、支払各側から薬価制度の中で総合的に議論することの必要性を指摘する声があがった。

加茂谷専門委員は、さらに基礎的医薬品の位置づけもセットで議論することを要望。長期収載品は市場シェアが落ち込んでも、「ライフサイクルから新薬、状況も含めて医薬品成分の情報を収集、分析している。常に使用上の注意の改定や効能追加などの場面もあり、長期収載品の持っている市場の責務は非常に重要だと認識している」と強調。上市後に蓄積された臨床情報が長期収載品の価値であるとともに、情報提供という製薬企業の責務を果たすためにも、一定の薬価上の評価を求めた。


◎中山薬剤管理官 長期収載品の薬価「段階的な措置も含めて検討」


長期収載品の薬価の在り方については、後発医薬品の保険給付額を超える部分の負担について、①差額を患者負担とする、②患者負担にはせず、長期収載品の薬価を後発品まで引き下げる――の2案が論点となっている。差額を患者負担とする案については、診療側から「患者負担とする考えかたは論外」(日医・中川副会長)、「選定療養のもともとの考え方に決してなじまない。医療が制限されたり、患者さんの負担感が増えたりすることについては大反対だ」(日医・松原副会長)と反対。支払側からも、「患者負担増によって進めるのは正当なやり方ではなく、薬価の構造を歪める要因になるのではないか」(健保連・幸野委員)など、反対意見が相次いだ。


一方、長期収載品の薬価を後発品まで引き下げる案についても、診療側、支払側ともに慎重論があがった。スペインでこの制度で導入後、後発医薬品への置き換え率が激減し、長期収載品市場が成長し、医療費が増加に転じた。診療側の中川委員は、スペインの事例を引き合いに、「価格を全く同じにするというのではなく次第に下げていくべきだと思うが、慎重にやるべきだと思う」と述べた。支払側の全国健康保険協会・吉森俊和理事も、「後発品の最大の強みである価格面での差がなくなるのであれば、当然その性質、安定等によっては患者さんの中には先発品を良しとして使う」と見通した。

こうした中で、松原委員は両者の“中間”とも言える制度として、長期収載品の価格を後発医薬品の薬価にプレミアを付けた価格とする新たな制度を提案。「一かゼロかではなく、中間のところで考えれば自動的に後発品は競争力をもつし、先発品もある一定の利益があれば実際の義務を果たせる」とメリットを強調した。これに対し、厚労省保険局の中山智紀薬剤管理官は、「後発品のジェネリック品の使用促進は目標を達成するということと、安定供給をしっかり確保するという前提の中で一定期間の後に、委員がご指摘のような形もありうるのではないか。総合的に考えながら色々検討していく」と述べた。


議論を受けて、中山薬剤管理官は、「急激に先発医薬品を後発医薬品に引き下げると、後発医薬品が普及しなくなる、価格が高止まってしまうという指摘があることを十分に踏まえて検討しなければいけない。ある程度、段階的な措置も含めて検討していくことが必要ではないか」と述べた。

◎Z2 支払側から5年間の期間短縮求める声


いわゆるZ2については、支払側から「置き換えを加速させる意味でも5年間の期間は、必要に応じて見直すということが検討課題だ」(吉森委員)、「新薬創出加算を残す方向になるのであれば、長期収載品の切り込みをもっと強化し、Z2をもう少し見直すべきだ」(幸野委員)などの声があがった。これに対し、加茂谷専門委員は、Z2の最大の引下げ率が2%であり、調整幅も2%であることから、現行の制度であれば市場実勢価格を下回らないと説明。「市場実勢価格に基づく薬価算定が原則であり、Z2のさらなる切り込み、深掘りについては課題があるのではないか」と引下げ率の拡大については牽制した。


そのほか、診療側の中川委員がオーソライズド・ジェネリック(AG)についても言及。加茂谷委員は、「AGという位置づけは、日本ではそういうものであるという明確な位置づけがないものだと思っている。先発メーカーがどこかに売るときにオーソライズであろうとなかろうと、ジェネリックになる。長期収載品との関係は長期品と後発品、という整理だろう」と述べる一幕もあった。 

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