中医協・薬価専門部会 新薬創出加算全面リニューアル 日本発の革新的新薬創出にアクセル

公開日時 2017/06/15 03:52
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厚労省保険局医療課は6月14日の中医協薬価専門部会に、新薬創出・適応外薬解消等促進加算をゼロベースで抜本的に見直し、製薬企業の新薬開発投資などを薬価で評価する制度へのリニューアルを提案した。名称も変更する。未承認・適応外薬などのドラッグ・ラグの解消が進む中で、日本発の革新的新薬の創出を加速させることに重点を置く制度に改める。新たな薬価制度では、製薬企業の取組実績の指標として、①新薬開発投資率、②世界同時開発(国際共同治験)の実施、③産学連携への取組―をあげた。あわせて、長期収載品、後発医薬品の在り方を一体的に検討することで、新たな薬価制度を構築し、国内市場への投資を加速させ、長期収載品依存するモデルからの脱却を促す。

現行の新薬創出加算は、発足当時、適応外薬などのドラッグ・ラグ解消と革新的な新薬創出の加速を目的に発足した。企業要件として、「未承認薬・適応外薬の開発要請品目および公募品目」の研究・開発を行う、あるいは「真に医療の質の向上に貢献する医薬品」の研究を行っていることを設定。対象とする医薬品の範囲は、①後発医薬品が上市されていない新薬、②市場実勢価格の薬価に対する乖離率が全収載品の加重平均乖離率を超えないもの―としている。

実際、制度発足後、各製薬企業が未承認・適応外薬の開発に積極的に取り組み、一定の役割を果たしてきた。一方で、開発品目数と加算額との間に強い相関が認められないなど、新薬創出への取り組みと加算額との間にミスマッチが起きていることも指摘されていた。

◎支払側 開発の“実績”求める

厚労省はこの日の薬価専門部会に、革新的新薬を評価する企業側の要件として、①新薬開発投資率(対売上高比率)、②世界同時開発(国際共同治験)の実施、③産学連携への取り組み―を新たな指標とする考えを提案した。いずれの指標の達成度・充足度に応じて加算額に段階を設ける考えだ。

支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「研究開発を行っているが、実績を出していないところにも付くのが問題。ある程度の開発の実績を求めていくべき」と主張。新薬開発投資比率を指標にすることについては、「新薬創出加算について得られた原資に対し、どれくらい研究開発を行っているかで企業のランクをつける」ことを提案した。支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、「加算額をどれだけ投入して、それに対してどれくらいの効果があったか。開発要請の製品を開発するのは製薬企業の使命として当然。数量的な検証がほしい」と述べた。

これに対し、厚労省保険局医療課の中山智紀薬剤管理官は、「成果を評価することは非常に大事」と一定の理解を示した上で、海外からの導入品などの評価は、真の意味での革新的な新薬の創出とは「別の視点になる」と述べ、総合的に評価する考えを示した。

また、診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)は、世界同時開発の実施については、「さらに踏み込んで、日本国内の症例数」、産学連携では「アカデミアに対する研究開発費に対する提供はどうなのかということも含めて、企業の評価はすべきだ」などと述べた。その上で、「グローバルメガファーマがより強くなるスキームに見える。日本国民の医療にとって良いことであれば、ノーとは言わないが、先発メーカーの再編を加速する要因となるのかどうかも含めて注視する必要がある」と述べた。

◎対象医薬品 類似薬効比較方式や配合剤の扱いも議論に

対象となる医薬品の範囲については、現行制度で条件のひとつとされている平均乖離率がイノベーションを評価する指標としてふさわしいか疑問視する声や、製薬企業が仕切り価の設定など卸政策で薬価を高止まりさせているなどの指摘が経済財政諮問会議の場などであがっている。

平均乖離率を指標とすることについては、各側から「現実的には問題の方が多いので見直すべきだ」(診療側・中川委員)、「平均乖離率未満は、革新性を示す指標ではない」(支払側・幸野委員)と反対意見があがった。

現行制度では、すでに市場に類似薬がある類似薬効比較方式(Ⅰは薬理作用類似薬が2未満、Ⅱは3以上)や、配合剤(薬価収載後15年を超えた成分または後発医薬品が上市されている成分を含むものは除く)なども対象になる。支払側の吉森委員は、「類似薬効比較方式Ⅱで算定された製品や、医療用配合剤などで、算定されている医薬品は対象から外すことは妥当」との考えを示した。これに対し、専門委員の加茂谷佳明委員(塩野義製薬常務執行役員)は、安全性や耐性の問題などで既存薬を使用できないケースもあると指摘。「とりまとめて議論するのではなく、中身については丁寧な議論をお願いしたい」と述べた。

類似薬効比較方式などで、比較薬が新薬創出加算を取得している場合については、新薬も加算分薬価が底上げされ、算定されることになる。厚労省は、この点について「加算額の期間累積分」を新薬創出加算終了時に追加して引き下げることを提案した。これに対し、診療側の中川委員は、これについても疑義を示した。一方、支払側の幸野委員は「比較薬の問題も、真に革新性のある薬が比較薬の場合は新薬創出加算分も含めて比較薬でよいのではないか」と述べた。また、新薬創出加算の原資については、「国民の負担がないように、財政中立であるべき」との考えを表明。財源的にも、長期収載品の引下げや後発医薬品の浸透による削減分を新薬創出加算の原資とすることを提案した。

◎各側「施行継続」での議論の必要性指摘 業界側は、「制度化」要望

新薬創出加算は、2010年度に試行的に導入され、現在もそれが継続している。支払側の幸野委員は、「究極的な見直しは、費用対効果評価が正式に薬価に導入される時だ」と述べ、その前は“暫定的な見直し”として位置づける必要性を強調した。診療側の中川委員も「試行の継続の中で見直しをすべきだ」と述べ、見直し後に直ちに制度化されることには反対した。

一方、専門委員の加茂谷委員は、「研究開発を指向する企業としては、本制度は重要な位置づけだ。企業経営の予見性・安定性の観点からぜひ制度化も視野に検討をお願いしたい」と要望した。
 

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