新薬15製品が薬価収載へ アトピー性皮膚炎で初の抗体製剤デュピクセントなど

公開日時 2018/04/12 03:51
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厚労省の中医協・総会は4月11日、新薬15製品(15成分22品目)を薬価収載することを決めた。同省は4月18日に収載する予定。この中には、アトピー性皮膚炎で初となる抗体製剤デュピクセント皮下注(サノフィ)や、がん免疫療法薬の抗PD-L1抗体として初めて非小細胞肺がんの適応を持つテセントリク点滴静注(中外製薬)、国内初のLDL-C低下薬を2成分組み合わせた配合剤アトーゼット配合錠などがある。また、抗体薬物複合体(ADC)で、CD22陽性の急性リンパ性白血病に用いるベスポンサ点滴静注用(ファイザー)は、有用性加算や市場性加算がついて、1mg1瓶130万円強の薬価がついた。

収載される製品は以下のとおり(カッコ内は成分名と薬価収載希望会社)

レキサルティ錠1mg、同錠2mg(ブレクスピプラゾール、大塚製薬)
薬効分類:117
効能・効果:「統合失調症」
薬価:
1mg1錠 268.90円
2mg1錠 509.20円(1日薬価:509.20円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数12万人、販売金額128億円
加算なし

ドパミンD2受容体やセロトニン5HT1A受容体にパーシャルアゴニストとして作用する一方、セロトニン5HT2A受容体にはアゴニストとして作用するSDAMと呼ばれる新規機序の非定型抗精神病薬。大塚が販売するエビリファイ(一般名:アリピプラゾール)の構造変換の過程で発見された化合物。

アトーゼット配合錠LD、同HD(エゼチミブ/アトルバスタチン、MSD)
薬効分類:218
効能・効果:「高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症」
薬価:
アトーゼット配合錠LD 1錠 177.00円(1日薬価 177.00円)
アトーゼット配合錠HD 1錠 177.00円
参考)配合錠LDに対する先発品単剤2剤の合計1日薬価は265.20円
市場予測(ピーク時3年後):投与患者数64万人、販売金額277億円
加算なし

薬価算定ルールに基づき、14日処方制限の対象外となる。エゼチミブは小腸コレステロールトランスポーター阻害薬で、MSDとバイエル薬品がゼチーア錠の製品名で販売中。アトーゼットは、その成分と、HMG-CoA還元酵素阻害薬のアトルバスタチンを配合した製剤で、国内初のLDL-C低下薬を2成分組み合わせた配合剤となる。MSDとバイエル薬品は同剤の共同販売契約を締結している。

ネキシウム懸濁用顆粒分包10mg、同懸濁用顆粒分包20mg(エソメプラゾールマグネシウム水和物、アストラゼネカ)
薬効分類:232
効能・効果:既収載のカプセル剤と同様だが、今回は、「胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、Zollinger-Ellison症候群」で小児用量を追加。懸濁用顆粒剤は小児に飲みやすい剤形として開発されたもの。
薬価:
10mg1包 80.60円
20mg1包 140.30円(1日薬価:140.30円)
市場予測(ピーク時7年後):投与患者数8.6万人、販売金額11億円

加算あり(小児加算(A=5%)):理由「小児に係る用法・用量が含まれていること、比較薬は小児加算を受けていないことから、加算の要件に該当する。加算率については、国内小児試験における症例数が限られていること等から、5%が妥当であると判断」

日本で初めて小児適応を持つPPI製剤。小児の患者数は成人と比べて少ないが、重度の場合には、体重増加不良、反復性肺炎、喘息などを起こす可能性があるとされる。しかし、治療に用いるネキシウムなどのPPI製剤には小児適応を持つ薬剤がなかった。日本小児栄養消化器肝臓学会からは小児適応の開発が要望されていた。小児に用いる際の対象疾患は成人とは異なることに留意が必要。

グーフィス錠5mg(エロビキシバット水和物、EAファーマ)
薬効分類:235
効能・効果:「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」
薬価:5mg1錠 105.80円(1日薬価:215.20円)
市場予測(ピーク時9年後):投与患者数63万人、販売金額120億円
加算なし

胆汁酸の再吸収にかかわるトランスポーターを阻害し、自然な排便を促す新規機序の治療薬。1日1回。持田製薬と共同開発し、薬価収載後は共同販売する。

リムパーザ錠100mg、同錠150mg(オラパリブ、アストラゼネカ)
薬効分類:429
効能・効果:「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣がんにおける維持療法」
薬価:
100mg1錠 3996.00円
150mg1錠 5932.50円
市場予測(ピーク時9年後):投与患者数1.2千人、販売金額69億円
原価計算方式で算定

加算あり(有用性加算(II)(A=5%)):理由「DNA修復に関わるPARP(ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ)を阻害することにより、DNA損傷を蓄積させ、細胞死が誘導されることで腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている新規作用機序医薬品。白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣がん患者に対する維持療法として単独投与した臨床試験において、無増悪生存期間の統計学的に有意な延長が認められ、承認審査において臨床的意義があると評価されていることから、有用性加算(II)(A=5%)とすることが適当と判断」

ファーストインクラスのPARP阻害薬。DNA損傷応答(DDR)経路に異常をきたしたがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導するとされる。アストラゼネカは、治療選択肢が極めて限られている再発卵巣がん患者の緊急の要望に応え、厚労省の「保険外併用療養費制度」のもとで薬価収載前日まで無償提供を実施している。

シダキュアスギ花粉舌下錠2000JAU、同5000JAU(スギ花粉エキス原末、鳥居薬品)
薬効分類:449
効能・効果:「スギ花粉症(減感作療法)」
薬価:
2000JAU1錠 57.70円
5000JAU1錠 144.10円(1日薬価:144.10円)
市場予測(ピーク時3年後):投与患者数3.8万人、販売金額16億円

加算あり(有用性加算(II)(A=5%)及び小児加算(A=5%))
有用性加算(II)(A=5%):理由「既承認のシダトレン舌下液より高力価での減感作療法を可能とすること等を目的として開発され、5歳以上のスギ花粉症患者を対象とした国内フェーズ2/3試験等の結果、本剤5000JAUの有効性は、シダトレン舌下液2000JAUと比較してより高い傾向が認められていることを踏まえ、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが妥当と判断」
小児加算(A=5%):理由「5歳以上の小児を対象に国内で臨床試験が実施され、小児に係る用法・用量が含まれていること、比較薬は小児加算を受けていないことから加算の要件に該当する。加算率は、日本人小児患者における本剤の安全性及び有効性のデータが限られていること等から、5%が妥当であると判断」

1日1回1錠。舌下に1分間保持したあと、飲み込む。その後5分間はうがいや飲食を控える。舌下液の製剤と同様に3年程度の継続した投与が必要としている。同社には舌下液の製剤があるが、冷蔵保存が必要。今回の舌下錠は、1回あたりの投与成分量が多く、室温保存が可能。12歳以上の患者を対象にしていた舌下液の製剤と比べ、より低年齢での投与もできる。

サチュロ錠100mg(ベダキリンフマル酸塩、ヤンセンファーマ):「多剤耐性肺結核」
薬効分類:622
効能・効果:<適応菌種>本剤に感性の結核菌 <適応症>多剤耐性肺結核
薬価:100mg1錠 2万1872.50円(1日薬価:2万4476.40円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数22人、販売金額9.0千万円
加算なし

ジアリルキノリン系の新規抗結核薬で、既存薬とは異なる作用機序をもつ。結核菌のエネルギー生成に必須のアデノシン5-三リン酸合成酵素を特異的に阻害し、増殖期及び休眠期の結核菌のいずれに対しても抗菌活性を示すとされる。

イブリーフ静注20mg(イブプロフェンL-リシン、千寿製薬)
薬効分類:219
効能・効果:「未熟児動脈管開存症で保存療法(水分制限、利尿剤投与等)が無効の場合」
薬価:20mg2mL1瓶 1万3012円
市場予測(ピーク時5年後):投与患者数1.2千人、販売金額4.7千万円
原価計算方式で算定
加算なし

厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での検討を経て、開発要請されていた品目。未熟児動脈管開存症は、胎児の時に胎内でも酸素を取り込みやすくするため、大動脈と肺動脈をつなぐ動脈管が開存しているが、早産などで生後も閉鎖することなく開存し続ける疾患。それにより発育不全や呼吸困難、頻拍などの症状を呈し、全身の臓器に影響が出て、長期予後も悪化させる可能性があるという。それに対しイブプロフェンが持つ作用で動脈管の収縮を促すことが期待されるとしている。

ファセンラ皮下注30mgシリンジ(ベンラリズマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ)
薬効分類:229
効能・効果:「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」
薬価:30mg1mL1筒 35万1535円(1日薬価:6277円)
市場予測(ピーク時9年後):投与患者数7.9千人、販売金額153億円
加算なし

ヒト化抗IL-5受容体αモノクローナル抗体製剤。増加により喘息症状の悪化に影響する好酸球の表面に発現するインターロイキン-5(IL-5)受容体に作用すると共に、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC活性)を高めることで、IL-5受容体を発現している好酸球を除去し症状を抑えるとされる。同剤は、固定用量があらかじめ充填されたプレフィルドシリンジで、初回、4週後、8週後に皮下に注射し、以降、8週間隔で皮下に注射する。

ベスポンサ点滴静注用1mg(イノツズマブオゾガマイシン(遺伝子組換え)、ファイザー)
薬効分類:423
効能・効果:「再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病」
薬価:1mg1瓶 130万7092円
市場予測(ピーク時3年後):投与患者数263人、販売金額24億円
原価計算方式で算定

加算あり(有用性加算(II)(A=10%)及び市場性加算(A=10%))
有用性加算(II)(A=10%):理由「抗腫瘍性抗生物質と抗CD22抗体の複合体であり、CD22抗原を介して細胞内に取り込まれDNA二本鎖を切断するという新規作用機序を有する。再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病患者を対象とした国際共同フェーズ3試験において、主要評価項目の血液学的完全寛解率について、既存化学療法に対する本剤の優越性が検証されていること等から、有用性加算(II)(A=10%)が妥当と考える」
市場性加算(A=10%):理由「希少疾病用医薬品として指定を受けていることから、加算の要件に 該当する。ただし、作用機序は異なるが、類似の効能・効果を有する化学療法剤が既に薬価収載されていること等から、限定的な評価とした」

抗体薬物複合体(ADC)。B細胞性急性リンパ性白血病のがん細胞の表面に発現するCD22抗原を標的とする薬剤で、同抗原に結合し、細胞傷害性を有するオゾガマイシンが細胞を破壊するとされる。単剤で週に1回、1時間以上かけて投与する。外来投与も可能とされる。

イストダックス点滴静注用10mg(ロミデプシン、セルジーン)
薬効分類:429
効能・効果:「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫」
薬価:10mg1瓶 10万9753円 (1日薬価:2万4694円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数466人、販売金額7.9億円
加算なし

ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬。HDACの活性を阻害することでがんの細胞周期の停止や細胞死が誘導され、腫瘍増殖を抑制すると考えられている。HDAC阻害薬は既に他社の製品が承認されているが、末梢性T細胞リンパ腫の適応症を持つ薬剤は初めて。

テセントリク点滴静注1200mg(アテゾリズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬)
薬効分類:429
効能・効果:「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」
薬価:1200mg20mL1瓶 62万5567円(1日薬価:2万9789円)
市場予測(ピーク時8年後):投与患者数6.3千人、販売金額285億円
加算なし

がん免疫療法に用いる抗PD-L1モノクローナル抗体。抗PD-L1抗体としてはメルクセローノが製造販売元のバベンチオ点滴静注200mg(一般名:アベルマブ(遺伝子組換え))に次ぐ2剤目。バベンチオは皮膚がんの一種のメルケル細胞がんを適応症としており、テセントリクは非小細胞肺がんの適応を持つ初の抗PD-L1抗体。

デュピクセント皮下注300mgシリンジ(デュピルマブ(遺伝子組換え)、サノフィ)
薬効分類:449
効能・効果:「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」
薬価:300mg2mL1筒 8万1640円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数2.0万人、販売金額329億円
原価計算方式で算定

加算あり(有用性加算(I)(A=45%):理由「アトピー性皮膚炎の病態において重要な役割を担うIL-4及びIL-13のシグナル伝達を阻害する臨床上有用な新規の作用機序を有すると認められる。既存外用薬が使用できなかった中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者または既存外用薬で効果不十分な中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者の皮膚病変の有意な改善が示されていること等から、治療方法の改善が客観的に示されていると認められる。以上を踏まえ、有用性加算(I)A=45%が妥当と判断」

アトピー性皮膚炎に対する初の抗体医薬品。有効成分のデュピルマブは、IL-4とIL-13という2つのタンパク質のシグナル伝達を特異的に阻害するよう設計されたヒトIgG4モノクローナル抗体。IL-4とIL-13は、アトピー性皮膚炎における持続する炎症を促進する上で中心的な役割を果たすと考えられている。

デュピクセントは、ステロイド外用薬などの抗炎症外用薬で効果不十分なアトピー性皮膚炎に対する新たな治療選択肢となる。用法・用量は通常、成人には、投与初日に600mgを1回皮下投与し、その後は300mgを2週に1回投与する。

ナルベイン注2mg、同注20mg(ヒドロモルフォン塩酸塩、第一三共プロファーマ)
薬効分類:811
効能・効果:「中等度から高度の疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛」
薬価:
2mg1mL1管 725円
20mg2mL1管 6340円(1日薬価:7925円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数4.2万人、販売金額13億円
加算なし

μオピオイド受容体作動薬。ヒドロモルフォン塩酸塩製剤は、あへん系麻薬性鎮痛剤であり、WHOのがん疼痛治療ガイドラインなどで、疼痛管理の標準薬に位置付けられている。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で、経口剤、注射剤ともに開発の必要性が高いと判断されたもの。

アレサガテープ4mg、同8mg(エメダスチンフマル酸塩、久光製薬)
薬効分類:449
効能・効果:「アレルギー性鼻炎」
薬価:
4mg1枚 67.50円(1日薬価:67.50円)
8mg1枚 93.10円
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数45万人、販売金額26億円
加算なし

ヒスタミンH1受容体拮抗薬。有効成分のエメダスチンは既に他社から1日2回の経口薬として発売されているが、アレサガは1日1回貼付のテープ剤。久光独自の経皮薬物送達システム技術を用いることで、血中薬物濃度を維持し効果を持続させる。

【訂正】下線部を訂正しました(18年4月16日11時35分)。

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