納入価交渉本格化へ 毎年改定睨み薬価差圧縮で臨む卸 9月までの価格推移が焦点

公開日時 2018/05/11 03:52
  • Twitter
  • 印刷

医薬品卸と医療機関・薬局との納入価交渉が本格化する。今年の交渉は、4月からの国の流通改善ガイドライン(GL)の実施に加え、19年度に予定される消費増税に伴い、18年度に続く「毎年改定」を念頭に置きつつ行うことになるのが特徴だ。製薬企業、医薬品卸関係者によると、製薬企業の仕切価率は前回より0.5ポイント程度の高め(後発医薬品含む)。卸の主要顧客であるチェーン薬局は、減収確実な調剤報酬改定により、見積もり提示前から、値引きを視野に、帳合見直しを示唆して卸に揺さぶりをかけている。卸は仕入れ原価上昇と、強まる値引き要求に挟撃されている。国内市場マイナス予測、そして未決定ではあるものの19年度中の薬価改定を睨み、収益改善も図るには薬価差圧縮は必須で、2%程度の圧縮を目指す卸もあるようだ。薬価差をどこまで圧縮できるのか、流通関係者、厚労省は、薬価改定後の最初の価格妥結のピークとなる9月までの価格推移に注目、流通改善の成否や各卸の価格形成力を占う指標と見ている。

18年度薬価改定に伴う仕切価は前回改定と比べ、大まかに見ると、新薬メーカーでは100%スライドしたところも一部あるが、全体では仕切価率は0.数ポイントのアップ。後発医薬品メーカーは総じて1ポイント以上のアップが目立つ。全ての製品を扱う卸サイドとしては、仕切価率の上昇に加え、大型の生活習慣病薬が減少し、長期収載品を「戦力外」とするところが増えていることから、アローアンスの減少を予想し、その分、最終原価のアップを折り込まなければならない状況だ。

国内市場が伸びない中では卸側のシェア争いも激しさを増すことも予想されるが、川下の医療機関・薬局の値引き要求に従前どおりに応えてもいられない。加えて毎年改定を睨むと、現行の隔年改定では初年度で2年分に近い価格水準まで下げてしまうといわれる価格形成の慣行を見直さざるを得ず、薬価差圧縮は必須。その指標が、9月までの価格推移というわけである。

価格の軟化は取引関係見直しも

新薬メーカー側が注目するのは、薬価制度改革で新薬創出等加算の適用外となった製品の扱いだろう。ルール見直しで適用品目数が200以上絞り込まれたが、製品の価値まで変わったわけではない、というのがメーカーの立場。ここは卸の主体的な価格形成力が問われる。価格の軟化は、メーカーが取引卸を見直すきっかけになる可能性があるとの見方は、卸、メーカーの両サイドにある。卸側にも利益を確保できるメーカーを選ぶという言い分もなくはないが、価格形成力が弱い卸とは取引関係を見直すことを示唆するメーカーはある。ここでも9月までの価格推移が指標となる。

これから多くで見積もりの提示が始まる。5月上旬の時点では、チェーン薬局に対する卸側の姿勢は固いようだ。製薬企業の流通担当者によると、揺さぶりをかけるところはあるが、流通改善ガイドライン(GL)の理解が、チェーン薬局側で比較的進んでいることも背景にあると見る。むしろ、GLへの理解という点で懸念されるのはグループ病院で、予算に基づき前回契約から一定率の値引きを迫る従来通りの姿勢が予想されるという。とはいえ、5月上旬時点では、厚労省が、価格交渉が難航した際などのために4月に新設した相談窓口には相談らしい相談は寄せられていないという。

その相談窓口の新設に加え、国が主導する形で流通改善に乗り出したことは、流通現場への牽制効果という側面もある。GLでは、薬価差圧縮、単品単価契約の推進、一次売差マイナスの改善を掲げ、遵守を求めている。診療報酬の未妥結減算制度には、単品単価契約率、一律値引きの状況を200床以上の医療機関と保険薬局に報告させる仕組みを取り入れた。

さらに同省は、川上から川下までの関係団体などに対し、流通実施の把握、GLの周知、意見交換などを始めた。実態把握はこれまでも行っているものだが、今回、価格交渉が激しくなる前に早めに行いたいとの意向で着手したもので、GL遵守へのさらなる牽制になるとみられる。

過去に何度となく価格の軟化を経験してきた製薬企業の流通関係者間では、卸の価格形成力に疑問を持つ人は多い。大手卸幹部は、今回は「我慢のしどころ」と力を込める。国主導で流通改善が進められる中、指摘される課題に改善が見えなければ、公的介入がさらに強まり、経営に影響しかねないという強い懸念が背景にある。日本の医薬品卸が築き上げてきた、大規模災害でも機能する安定供給網への信頼性は代え難く、卸だけでなく、製薬企業、厚労省も含め、経営の悪化、それによる流通網の脆弱化は誰も望んでいない。しかし、マイナスが予測される国内市場は、卸の収益力を奪う方向に傾いている。卸各社には、これまで以上に収益力の強化が求められている。

関連ファイル

関連するファイルはありません。

 

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(9)

1 2 3 4 5
悪い   良い

 

 

広告

広告

広告

広告

広告

広告

市場に密着した医薬情報&マーケティング誌

  

10月号特集
(Promotion)

本誌調査 新薬採用アンケート2018年版

利便性・アドヒアランス向上見込む製品上位に

 

 

10/1発行

バックナンバー

 

ミクス編集部のtwitter

 

ミクスOnlineのモバイルサイトは下記QRコードよりアクセスしてください

QRコード

http://mobile.mixonline.jp/