AZ 労使紛争で和解成立 「社員関与する全ての訴訟が解決」 組合と労働協約を締結

公開日時 2018/06/04 03:52
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係争中だったアストラゼネカ(AZ)の労働問題で和解が成立した。同社広報部と、労働組合「アストラゼネカユニオン」の上部団体の東京管理職ユニオンが6月1日、本誌取材にそれぞれ明らかにした。和解成立は5月25日付け。東京高裁や東京地裁での3件の訴訟全てを取り下げ、訴えを提起した元社員や社員の地位が確認されるなど、全面解決した。会社はユニオンに解決金を支払う。また、和解に際して会社とユニオンは労働協約を締結、会社はユニオンを組合員の労働条件に関する交渉団体と認めた。

係争中の案件は、▽ベテランMRが不当解雇されたとする事案(東京地裁でMR側が勝訴、今年2月の東京高裁での控訴審で和解勧告)▽ベテランMR3人が“追い出し部屋”に配置転換され、不当に降格・減給されたとする事案(17年5月に東京地裁に地位確認などを求め提訴)▽現役MR8人が不当な降格・減給を受けたとして集団提訴した事案(17年7月に東京地裁に地位確認などを求め提訴)▽東京都労働委員会への救済命令申立てに関する事案――の4件。これらの包括的解決を目指した和解協議が今年に入ってから労使間で進められていた。

和解協定書と別紙「解決にあたっての確認」によると、労働問題が長期化し、労使間の紛争が続くことは、「サイエンスの限界に挑み、患者様の人生を変える医薬品を提供する事業に携わる者としてステークホルダーの理解を得られることではない」とし、「(会社とユニオンは)お互いの主張を乗り越え紛争に決着をつけ、将来に向かって正常な労使関係を築くことを確認した」としている。

和解し、健全な労使関係を構築することで、「サイエンスの限界に挑み、患者様のためのイノベーションを提供し続け、労使双方が誠実に協議しながら、医薬品事業の発展と従業員の労働条件並びに職場環境の維持・向上を目指していく」としている。

協定書では、係争中の全案件を取り下げ、「会社とユニオン(=東京管理職ユニオン)及び支部(=アストラゼネカユニオン)とはその所属組合員を含めて、本件紛争が全て解決したことを確認する」と明記。労働協約を締結することや、会社が東京管理職ユニオンに解決金を支払うことも盛り込んだ。ただ、その詳細は不明で、交渉経過も開示しないとしている。

■ユニオン「係争のすべての当事者が納得する形で円満に勝利解決した」

アストラゼネカユニオンと東京管理職ユニオンは6月1日付けで、「アストラゼネカ闘争に関する勝利声明」をまとめた。声明では、「アストラゼネカとの間で長年にわたって係争してきたすべての裁判・労働委員会の事件に関して、係争のすべての当事者が納得する形で円満に勝利解決した」と宣言した。

不当解雇されたと訴えた元社員の解雇は撤回され、同社従業員としての地位が確認された。不当に降格・減給されたと訴えた社員(元MR3人、現役MR8人)は、この声明内容から、地位確認されたとみられる。

■従業員の過半数以上が加入する労働組合目指す

声明では、労働協約について「画期的」と評価。「労働協約に基づき、会社は、私たちを組合員の労働条件に関する交渉団体として認め、労使双方が健全で明るい労使関係を作っていくことを確認した」と明らかにした。同社で労働組合を認めたのは日本が初めてとみられる。

アストラゼネカユニオンは今後、「アストラゼネカ従業員労働組合」に改名し、同社従業員の過半数以上が加入する労働組合を目指して、「すべての従業員に開かれた労働組合へと大きく転換する」としている。

■ヴォックスストラム社長 「平等に評価されると実感できる成果主義の定着に取り組む」

同社のステファン・ヴォックスストラム社長は6月1日、社員に対し、「5月25日付けで和解した」とのメッセージを社内サイトを通じて出した。メッセージの中で、「AZの社員が関与する全ての訴訟が解決したことを率直に嬉しく思う」とコメント。労使問題の発端となった成果主義のあり方にも触れ、「全ての社員が成長する機会を与えられ、会社の成功に対する自身の貢献が平等に評価されると実感できる成果主義の定着に取り組む」とした。

AZ広報部は本誌に、「(和解)内容の詳細を公表することはできないが、この和解をもってこれまでの訴訟は終結した」と文書で回答した。

文書では、「当社の『日本の患者さんに革新的な医薬品を届ける』というミッションの実現には、社員が最も重要な資産である」とした上で、「すでに、当社の人事システムの明確化と透明性の向上のため、就業規則の変更など様々な改善を実施してきた。全ての従業員にとって、社員が年齢、性別、在職期間によらず、自らの潜在能力を最大限発揮できる機会を与えられる、真の成果主義文化の醸成に向け取り組んでいく」とし、成果主義の実践と多様性を促進する姿勢も示した。

同社では17年11月に、Accountability(自主性)、Clarity(明瞭性)、Transparency(透明性)で構成する、社内で「ACT」と呼称しているコンセプトに則って就業規則を改訂し、この改訂過程では従業員から広く意見を聴取した。この事例を引き合いにヴォックスストラム社長は社員向けメッセージの中で、今後も社員と協業していく考えを示した。

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