湘南アイパークと神奈川県 再生医療実用化に向けた8提言発表 ワンストップのエコシステム構築へ

公開日時 2018/10/15 03:52
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武田薬品の湘南研究所を開放して設立した、湘南ヘルスイノベーションパーク(以下、湘南アイパーク)と神奈川県は10月12日、再生医療の実用化に向け、現状の課題を8つ抽出し、提言を取りまとめた。製薬企業など産業界、アカデミア、バイオベンチャーなど、かかわるプレーヤーが問題意識を共有して産業化プロセスを設計。「生産→治療→治療後フォローのプロセスをワンストップに供給できるエコシステムを構築する」必要性などを指摘した。湘南アイパークの藤本利夫ジェネラルマネジャーは、国内の再生医療の現状について「多くのプレーヤーを巻き込んで一緒に課題解決に取り組むオープンイノベーション的なアプローチがまだ不足している」と危機感を示し、産官学一体となった”ルール作り”やコンセンサスの必要性を強調した。バイオジャパン2018(神奈川県横浜市)で同日、公表された。

◎成長続ける再生医療 2025年には世界で5兆円規模に「一刻も早く実用化を」


医薬品市場の中心は低分子から抗体医薬、そして今後は再生医療へと移ると見られている。実際、今後年率10%以上で伸長し、2025年には世界で5兆円規模のマーケットに成長するとの推計もある。米FDAも2022年までに40の細胞・遺伝子治療を承認すると見通している。藤本ジェネラルマネジャーはこれまでの製薬産業を振り返り、「(生物学的製剤の時代に)日本は完全に出遅れ、輸入超過に陥っている」と指摘した。そのうえで、イギリスやカナダなどが、再生医療分野に関連する企業・研究機関を集積し、官民が共にイノベーションを加速している状況を説明。「時代は再生医療。次世代の治療に向かっている。一刻も早く実用化につなげることが必要だ」と強調した。

◎産官学を包括的に巻き込みルール作りやコンセンサスを


そこで、湘南アイパークと神奈川県は(協力:A.T.カーニ―)、国内での再生医療にかかわるバリューチェーンを研究開発から細胞保存・加工・輸送、治療、製造販売承認/保険収載、製造販売後調査について、法規制(指針)や人材・システム・インフラ、推進・体制・財源-と横串に刺し、課題を抽出した“マップ”を策定した。マップの策定を通じ、これまで個々のプレーヤーが取り組んでいた課題の共有を図る考え。

日本では、世界に先駆けて法整備を進めてきたが、提言では研究から実用化までの関連プレーヤーである産業界、行政、アカデミアを包括的に巻き込んだ再生医療のものづくりのルールやコンセンサスの形成が必要と提言した。

そのほか、▽国主導での産業利用を見据えたセルバンクネットワークの設立、▽大規模細胞施設の設立、▽医療データやライフログ・ゲノムデータを包括した大規模コホートデータ集約化、▽再生医療特化型ヘルスパークでの再生医療プレーヤー、保険会社、PMDAによる共同事業を通じた「2階建て」、「3階建て」の保険スキームの確立、▽公民融合型のイノベーション実現体制とシームレスな資金提供、▽ライフサイエンスパーク同士の連携を通じたインキュベーション、アクセラレーションプログラムのネットワーク化-をあげた。

◎湘南アイパーク 単一企業では蓄積が難しいデータへのアクセス実現目指す

この提言を実践するために湘南アイパークは、①データ、②設備、③人・ノウハウ、④ネットワークの側面から取り組む考えも表明した。データでは、セルバンクや難治性疾患のコホートデータなど、単一企業では蓄積が難しい種類・規模のデータへのアクセスの実現を掲げた。そのほか、▽入居直後から高度な試験ができる環境整備、▽実用段階で必要な細胞製造設備などへのアクセス、▽iPark内での技術領域を扱うテナント・研究員との連携、ビジネス面でのノウハウやサポートを提供する仕掛け、▽iParkの枠を超えた国内外のパークや研究施設、アカデミア、公的機関との連携機会―の提供に取り組む考えも示した。

藤本氏は、「実用化の視点を埋めるためには、産業界もルール作りから開始していかないと、実用化につながらない。それが再生医療で求められているのではないか」との考えを表明。藤本氏は、課題を産官学それぞれのプレーヤーが課題を共有し議論することが必要としたうえで、「湘南アイパークはそういった場になりたいし、そういった場を提供していきたい」と述べた。

◎神奈川県・金井推進統括官「神奈川らしいエコシステム構築を」

神奈川県は、「最先端医療・最新技術の追求」を重点施策のひとつに位置付ける。県全域が国家戦略特区に指定されている強みを活かし、成長産業創出に力を入れる。県内には、湘南アイパークに加え、再生・細胞医療の拠点であるライフイノベーションセンター(LIC、殿町)などがある。2018年4月に神奈川県と武田薬品は覚書を締結。連携により、「大学・企業・公的支援機関の総力を結集したイノベーション・エコシステム構築」を目指している。同日講演した神奈川県ヘルスケア・ニューフロンティア推進統括官の金井信高氏は、「いまは、一社だけで完結することはあり得ない。皆で力を合わせ、地域のなかで一緒に頑張れるような仕組みづくりを神奈川から声をあげたい、と皆さんと共に取り組んでいる。神奈川らしいエコシステムを構築したい」と語った。

 

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