新薬12製品を収載へ 初のFLT3遺伝子陽性急性白血病薬ゾスパタ錠など C肝薬・マヴィレット25%引下げへ

公開日時 2018/11/15 03:51
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厚生労働省の中医協総会が11月14日に開かれ、新薬12製品(12成分20品目)を薬価収載することを了承した。同省は11月20日に収載する予定。この中には、先駆け審査指定制度の対象となった初のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病の治療薬ゾスパタ錠(一般名:ギルテリチニブフマル酸塩)や、初の条件付き早期承認制度が適用された医薬品で、ALKチロシンキナーゼ阻害剤に十分な効果を示さない非小細胞肺がん患者向けの治療薬ローブレナ錠(ロルラチニブ)、2番手のCDK4/6阻害薬ベージニオ錠(アベマシクリブ)などがある。このほか、C型肝炎治療薬・マヴィレット配合錠(アッヴィ合同会社)の薬価を市場拡大のため、25%引き下げることを了承した(関連記事)。

収載される製品は以下のとおり(カッコ内は成分名と薬価収載希望会社)
モビコール配合内用剤(マクロゴール4000/塩化ナトリウム/炭酸水素ナトリウム/塩化カリウム、EAファーマ)
薬効分類:235(下剤・浣腸剤)
効能・効果:慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)
薬価:6.8523g1包 83.90円(1日薬価:260.30円)
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数32万人、販売金額15億円
加算:小児加算(A=5%):理由「小児に係る用法・用量が明示的に含まれていること、比較薬は小児加算を受けていないことから、加算の要件に該当する。加算率は、国内小児試験における症例数が限られていること等から、5%が妥当」

ポリエチレングリコール製剤で、腸管内の浸透圧制御を行なうことで排便を促す。小児の便秘では、浸透圧性下剤から治療を開始することが原則とされている。同剤は、2歳から7歳未満の幼児、7歳以上12歳未満の小児、12歳以上のそれぞれの用法・用量が設定された。EAファーマと持田製薬が共同開発。同一製品名で両社が共同販売する。

ベオーバ錠50 mg(ビベグロン、杏林製薬)
薬効分類:259(その他の泌尿器生殖器官及び肛門用薬)
効能・効果:過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁
薬価:50mg1錠 185.70円(1日薬価:185.70円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数75.9万人、販売金額185億円
加算なし

膀胱のβ3受容体に作用し、膀胱弛緩作用で症状を改善する選択的β3アドレナリン受容体作動薬。1回50mg、1日1回投与。米メルクが創製し、杏林が日本での独占的開発・製造販売権を取得し、キッセイ薬品と共同開発した。杏林とキッセイが同一製品名で共同販売する。

トラディアンス配合錠AP、同配合錠BP(エンパグリフロジン/リナグリプチン、日本ベーリンガーインゲルハイム)
薬効分類:396(糖尿病用剤)
効能・効果:2型糖尿病(ただし、エンパグリフロジン及びリナグリプチンの併用による治療が適切と判断される場合に限る)
薬価:配合錠AP1錠 283.30円(1日薬価:283.30円)
配合錠BP1錠 395.60円
市場予測(ピーク時8年後):投与患者数13万人、販売金額142億円
加算なし

DPP-4阻害薬トラゼンタ錠(リナグリプチン)とSGLT2阻害薬ジャディアンス錠(エンパグリフロジン)を配合した製剤。配合量はリナグリプチン5mgに、AP錠はエンパグリフロジン10mg、BP錠はエンパグリフロジン25mg。NBIと日本イーライリリーで共同販促する。DPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬の配合剤は、カナリア、スージャヌに続く3製品目。14日処方制限なし。

メトアナ配合錠LD、同配合錠HD(アナグリプチン/メトホルミン塩酸塩、三和化学研究所)
薬効分類:396(糖尿病用剤)
効能・効果:2型糖尿病(ただし、アナグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される場合に限る)
薬価:配合錠LD1錠 62.20円
配合錠HD1錠 62.20円(1日薬価:124.40円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数13万人、販売金額59億円
加算なし

DPP-4阻害薬スイニー錠(アナグリプチン)とメトホルミン塩酸塩を配合したもので、アナグリプチン100mgに、メトホルミンはLDで250mg、HDで500mg。DPP-4阻害薬とメトホルミンを配合した薬剤は、エクメット、イニシンクに続く3製品目。14日処方制限なし。

ゾスパタ錠40mg(ギルテリチニブフマル酸塩、アステラス製薬)
薬効分類:429(その他の腫瘍用薬)
効能・効果:再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病
薬価:40mg1錠 1万9409.10円(1日薬価:5万8227.30円)
市場予測(ピーク時2年後):投与患者数506人、販売金額71億円
加算:
有用性加算(II)(A=5%):理由「FLT3(FMS-like tyrosine kinase3)等のチロシンキナーゼ阻害作用を有する新規作用機序医薬品。本剤は、再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病患者を対象とした臨床試験で、一定の寛解率が認められており、臨床的意義があると評価されていることから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断」

先駆け審査指定制度加算(A=10%):理由「新規の作用機序を有し、世界に先駆けて日本で承認されたものである一方で、『日本における承認事項の基礎となった臨床試験』に該当する中核的な探索的試験を、日本において実施していないことから限定的な評価とした」

新薬等創出加算に該当。希少疾病用医薬品として指定されているため。

FLT3遺伝子変異陽性患者に対する治療薬は初めて。腫瘍の増殖に関与するFLT3を介したシグナル伝達を阻害することで、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。1日1回120mgを経口投与して用いる。

ベージニオ錠50mg、同錠100mg、同錠150mg(アベマシクリブ、日本イーライリリー)
薬効分類:429(その他の腫瘍用薬)
効能・効果:ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん
薬価:50mg1錠 3258.70円
100mg1錠 5949.20円
150mg1錠 8460.10円(1日薬価:1万6920.20円)
市場予測(ピーク時8年後):投与患者数6.2千人、販売金額254億円
加算:新薬創出等加算に該当。加算適用品等の収載から3年以内3番手以内のため。

サイクリン依存性キナーゼ(CDK4/6)阻害薬。CDK4/6は細胞周期の調節に主要な役割を果たしており、細胞増殖を引き起こすが、同剤はCDK4/6を選択的に阻害して細胞周期の進行を停止させ、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。CDK4/6阻害薬としては、イブランスカプセルに続く2剤目。

ベージニオ、イブランスとも内分泌療法剤と併用して用いるが、ベージニオは通常、1回150mgを1日2回経口投与で用いる。イブランスは通常、1日1回125mgを3週連続投与して1週間休薬することを1サイクルとして用いる。

ローブレナ錠25mg、同錠100mg(ロルラチニブ、ファイザー)
薬効分類:429(その他の腫瘍用薬)
効能・効果:ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性または不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
薬価:25mg1錠 7216.40円
100mg1錠 2万5961.00円(1日薬価:2万5961.00円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数1.2千人、販売金額75億円
加算:
有用性加算(II)(A=5%):理由「既存のALK-TKIに耐性となる変異として報告されているG1202R変異等を有する患者に対して奏効が認められたことから、治療方法の改善が示されていると考えられる。ただし、奏効率の結果を基に、本薬の延命効果に関する評価を行うことは困難であることから、有用性加算(II)(A=5%)とすることが妥当と判断」

新薬創出等加算に該当。加算適用のため。

非小細胞肺がん患者のうちALK陽性は3~5%で、それら患者に対する治療薬は3製品ある。ローブレナは、それらALK阻害剤が効かなくなった患者の腫瘍に生じた変異(耐性変異)を解明することにより創製された薬剤。1日1回100mgを経口投与。

重篤で有効な治療方法が乏しいこの疾患に対し、日本も参加した国際共同第1/2試験で一定程度の有効性と安全性が確認されたことから、早期に実用化を後押しする「条件付き早期承認制度」が適用された第一号製品。製造販売後に全例調査や市販後直後調査など、有効性・安全性の再確認等のために必要な調査等を実施することなどが承認条件となる。

ロラピタ静注2mg(ロラゼパム、ファイザー)
薬効分類:113(抗てんかん剤)
効能・効果:てんかん重積状態
薬価:2mg1mL1瓶  2225円(1日薬価:8900円)
市場予測(ピーク時5年後):投与患者数3.4万人、販売金額1.4億円
加算:小児加算(A=5%):理由「小児に係る用法・用量が明示的に含まれていること、比較薬は小児加算を受けていないことから、加算の要件に該当。加算率は、国内臨床試験における症例数が限られていること等から、5%が妥当であると判断」

てんかんの重積状態は、発作が繰り返されたり、一定時間以上続いたりする状態を指す。海外の治療ガイドラインでは、同剤が第一選択薬。日本てんかん学会から、てんかん重積状態の治療薬として開発するよう要望を受けて厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が検討し、開発の必要性が高いと判断、同省の開発要請を受けてファイザーが開発した。

ビーリンサイト点滴静注用35μg(ブリナツモマブ(遺伝子組換え)、アステラス・アムジェン・バイオファーマ)
薬効分類:429(その他の腫瘍用薬)
効能・効果:再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病
薬価:35μg1瓶(輸液安定化液付) 28万1345円(1日薬価:15万51円)
市場予測(ピーク時5年後):投与患者数191人、販売金額23億円
加算:
有用性加算(II)(A=10%):理由「腫瘍用薬として初めての二重特異性抗体であり、T細胞とB細胞性腫瘍細胞を架橋することにより、T細胞が活性化し、腫瘍細胞を傷害する新規作用機序医薬品である。本剤の臨床試験では、主要評価項目である全生存期間について、既存化学療法群に対する本薬群の優越性が検証されているものの、比較薬とは直接の比較試験が実施されていないことを踏まえ、有用性加算(II)(A=10%)とすることが妥当と判断」

小児加算(A=5%):理由「18歳未満の小児を対象に国内で臨床試験が実施され、小児に係る用法・用量が含まれていること、比較薬は小児加算を受けていないことから、加算要件に該当する。加算率は、国内臨床試験における症例数が限られていること等から、5%が妥当と判断」

新薬創出等加算に該当。希少疾病用医薬品に指定されているため。

T細胞誘導(BiTE)抗体製剤。BiTE抗体は、生体に備わっている免疫システムががん細胞を察知して標的とするのを助けることによって抗がん作用を発揮する。この抗体は、T細胞とがん細胞が架橋するように設計された修飾抗体であり、T細胞を標的細胞の近くに誘導し、T細胞を介した殺作用によりがん細胞をアポトーシスに導くとされる。

フィラジル皮下注30mgシリンジ(イカチバント酢酸塩、シャイアー・ジャパン)
薬効分類:449(その他のアレルギー用薬)
効能・効果:遺伝性血管性浮腫の急性発作
薬価:30mg3mL1筒 30万1704円(1日薬価:30万1704円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数269人、販売金額9.8億円
加算:
有用性加算(II)(A=5%):理由「遺伝性血管浮腫に用いられる皮下投与製剤である。遺伝性血管浮腫の発作時にはできるだけ早く治療することが必要であるところ、本剤は従来の静脈内投与製剤と比較して早期に治療を開始でき、治療上の利便性が高いと考えられることから、有用性加算(II)(A=5%)とすることが適当と判断」

市場性加算(Ⅰ)(A=10%):理由「希少疾病用医薬品の指定を受けていることから加算の要件を満たす。ただし、効能・効果が同一の医薬品が既に薬価収載されていることから、限定的な評価とし、市場性加算(Ⅰ)(A=10%)を適用することが適当と判断」

新薬創出等加算に該当。希少疾病用医薬品として指定されているため。

急性発作では死亡することもある。既存薬は静注製剤だったが、同剤は皮下注製剤で、医療機関の受診が難しいケースに自己注射により早期治療を可能にするよう設計された。これまでと薬剤作用が異なり、急性発作に関与するブラジキニンの作用を、この薬剤のブラジキニン受容体拮抗作用で症状を緩和する。プレフィルドシリンジ製剤で、1回30mg。

この疾患は、C1インアクチベーターの量的または質的な欠損で、身体の様々な部位に浮腫が発生する遺伝性疾患。患者数は数百人とされる。現時点での標準的治療法は血漿由来人C1インアクチベーター製剤(製品名:ベリナートP静注用)の補充療法。

ジビイ静注用500、同静注用1000、同静注用2000、同静注用3000(ダモクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え)、バイエル薬品)
薬効分類:634(血液製剤類)
効能・効果:血液凝固第8因子欠乏患者における出血傾向の抑制
薬価:500国際単位1瓶(溶解液付) 7万5376円
1000国際単位1瓶(溶解液付) 13万9307円
2000国際単位1瓶(溶解液付) 25万7462円
3000国際単位1瓶(溶解液付) 36万8761円(1日薬価:7万240円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数241人、販売金額67億円
加算なし

血友病Aに対する治療薬で、半減期延長型の遺伝子組換え第8因子製剤。定期補充療法では通常、12歳以上の患者で週2回。状態に応じて申請のもとに5日ごと、または週1回の用法・用量が定められている。

エイベリス点眼液0.002 %(オミデネパグ イソプロピル、参天製薬)
薬効分類:131(眼科用剤)
効能・効果:緑内障・高眼圧症
薬価:0.002%1mL 945.30円(1日薬価:47.30円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数171千人、販売金額89億円
加算なし

参天が宇部興産から導入し、共同で開発。選択的プロスタノイドEP2受容体に作用して、房水流出を促し、眼圧を低下させるという。1回1滴、1日1回点眼。

◎マヴィレット 新薬価は1万8135.20円に 2月1日から適用

このほか、C型肝炎治療薬・マヴィレット配合錠については、6月診療分のデータを活用した結果、市場拡大の特例の要件として、「年間販売額が1000億円超1500億円以下、かつ基準年間販売額の1.5倍超」に該当したと判断。最大の引下げ幅となる25%の引下げを受けた。新薬価は1万8135.20円で、2月1日から適用する。なお、現行薬価は2万4180.20円。年4回ある新薬収載の機会を活用した四半期再算定で、市場拡大を理由に薬価引下げが行われたのは初めて。
 

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