流改懇 一次売差マイナス解消など流通改善の継続要請 増税改定など取引環境の厳しさ見据え

公開日時 2018/12/10 03:51
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厚労省の「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」(流改懇)は12月7日、東京都内で会合を開き、4月から実施した流通改善ガイドライン(GL)下で初めての取引となった上期(4~9月)の流通実態を評価し、下期、来年度以降の取り組みに向けて議論を行った。課題の一次売差マイナスの解消、単品単価取引については、上期は改善したとの認識が大勢を占めた。しかし、来年度には消費増税に伴う薬価改定も予定され、下期以降、取引環境が厳しくなることを踏まえ、製薬企業、医薬品卸、医療機関・保険薬局の各流通当事者に対し改善に必要な課題を明示し、取り組みの継続を要請した。論点の一つだったGLの見直しを求める意見はなかったことから、厚労省は、現行GLの取り組み状況をフォローアップしていく姿勢を強調し、流通当事者の改善意識の引き締めを図った。

三村優美子座長(青山学院大学経営学部教授)は、「流通改善GLの適用で、流通改善の流れが生まれた。さらに改善を前進させるための引き続きの取り組みが必要である」と、この日の会をまとめた。

一次売差マイナスの状況は仕切価率の上昇を納入価率の上昇が上回り、マイナス幅は縮小した。18年度上期の仕切価率は87.8%(税抜)で17年度と比べ0.6ポイント増。それに対し納入価率は85.6%(同)と1.8ポイント増となり、マイナス幅は1.2ポイント縮小。薬価調査のあった16年度との比較でも0.7ポイント縮小した。

また、単品単価取引の割合は、60%前後で推移してきたが、80%超に上昇した。調剤薬局チェーン(20店舗以上)で96.5%(17年度より34.2ポイント増)、200床以上の病院で84.4%(同28.2ポイント増)となった。厚労省は、単品単価契約の割合の上昇とともに、納入価の水準が上昇したとの見方を示した。日本保険薬局協会(NPhA)は、60%前後で推移していた卸との単品単価契約推進のための覚書締結率が73.1%に上昇したことを報告し、取引の改善に寄与したことを説明した。

川上 仕切価・リベートの再検討に道筋

仕切価、納入価水準に対し、医療施設側の委員からは苦言が呈され、小山信彌委員(日本私立医科大学協会病院部会担当理事)は、納入価水準の上昇で「大変苦労した」と吐露。森昌平委員(日本薬剤師会副会長)とともに、仕切価水準の上昇に問題意識を示した。それに対し事務局は、流通改善の課題である「過大な値引き交渉の是正」の結果として、納入価水準の上昇があると説明し、仕切価については川上の当事者間による適切なリベート・アローアンスの設定に今後本格的に取り組むことで理解を求めた。

それらを踏まえ流改懇では、川上の課題として仕切価やリベート内容の再検討を提示。日本製薬工業協会と日本医薬品卸売業連合会のワーキングチーム(川上WT)がまとめた卸機能に応じたリベート項目・内容を踏まえた適切な仕切価・リベートの設定に向け、両会員社による取り組みの促進、フォローアップすることを要請した。厚労省としても対応状況を見ていくと表明した。

川下 契約に基づいた単品単価取引に

川下の課題としては、卸連側から19年度に予定される消費増税に伴う薬価改定で、年複数回契約、価格交渉の煩雑化、部分妥結の増加が見込まれ、流通改善への懸念が指摘されたことなどを踏まえ、契約に基づいた単品単価取引・交渉を課題として提示。そのため、納入単価とその有効期間を明記した卸とNPhA会員間の覚書締結のさらなる推進と、締結率が後退しないよう両団体が検討することを要請した。また、増加が懸念される部分妥結、過大な値引き交渉に対し、実態把握と対応が必要だと指摘した。

また、GLに基づく交渉が行き詰まったケースを相談する場として同省が新設した「相談窓口」については、「相談内容によっては相談者が特定され、取引に影響が及ぶことを恐れて窓口への相談を躊躇せざるを得ないため、匿名性が担保されることを希望する」との意見も寄せていれることから、慎重かつ注意深い運用が必要だとされた。

増税改定の対応も議論 取引の混乱回避 本体価格交渉の推進

この日は、来年度に予定される消費増税に伴う薬価改定による流通上の課題にも議論が及んだ。中原岳志委員(日本医薬品卸売業連合会 卸・薬価問題検討委員会委員長)は、卸連の意見として、10月改定となった場合は価格交渉が煩雑になるほか、改定前に返品、買い控え、新薬創出等加算品などの薬価が上昇する一部製品の駆け込み需要の発生などで、「流通改善が後退することが危惧される」と表明、流通改善の推進の混乱回避に国の支援を求めた。その中では、部分妥結の増加も予想され、妥結率の下落により、薬価調査の信頼性を損なうおそれがあると指摘し、早期妥結、単品単価契約に向け、医療施設側の理解を求めていく考えを示した。

長坂良治委員(日本製薬工業協会 流通適正化委員会委員長)は、最重要課題の単品単価取引の割合が大幅に増えたことに関係者に感謝を述べつつ、「1品ごとの単品単価交渉が重要だと思っている。さらに踏み込んで充実を図ってほしい」と要望。その上で、妥結率が9月に急激に上昇したことを指摘し「1品ごとの交渉は時間がかかることなので、気になるところだ」と述べた。

長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「医療機関にとって医薬品にかかる消費税は極めて重要な問題。消費税額を把握するため、税込みと税抜きの価格の両方を示してほしい」と、国と卸連に対応を求めた。同省医政局の三浦明経済課長は、長年の課題との認識を示し、対応を「検討していきたい」と述べた。折本健次委員(日本医薬品卸売業連合会理事)は、「卸連としても問題視している。社員向けのマニュアルを使ったり、見積にも本体価格からの値引率と併記する形で日本医師会と相談して作ったりしてきている。なかなかこれまでの商慣行が抜けない。今の指摘をふまえてさせていただきたい」とし、国にも指導を求めた。

厚労省・三浦経済課長 「まだまだ道半ば」 「課題見える化」で流通当事者の取り組み後押し

GLが導入され国主導による流通改善となったが、厚労省医政局の三浦明経済課長は会合の終了後、流通改善の状況について「まだまだ道半ば」との認識を示し、取り組みを継続し、定着させていく重要性を強調した。

三浦課長は「GLを作った勢いでここまで来たが、商慣行を変えていくには継続してやらなければない」と指摘。その上で「通期に向け、そして来年以降も(流通改善)の定着を見るにはさらなる努力が必要」と述べ、今回、川上、川下双方の「課題を見える化」することで取り組みを促す形にしたことを明らかにした。その中でも、優先して検討を進めてきた適切な仕切価・リベートの設定に向け、川上の当事者間の協議に期待を寄せた。単品単価取引が大幅に増えたことについては「認知度が上がったのではないか」と話した。

相談窓口に寄せられた件数が21件だったことについて、想定より少なかったとした上で「多い、少ないより、問題になりそうな兆しをつかまえてQ&A(質疑応答集)を発出してきた」と述べ、窓口の運用改善とQ&Aの発出などを組み合わせて取り組んでいく考えを示した。

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