製薬協・政策提言2019で中山会長が本誌と会見 イノベーション適切評価で「社会的課題の根源的な解決に貢献」

公開日時 2019/02/13 03:52
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日本製薬工業協会(製薬協)の中山讓治会長(第一三共会長)は2月12日、政策提言2019について本誌と会見し、「イノベーションが適正に評価されることで、社会課題の根源的な解決に貢献できる」と語った。ゲノム医療や人工知能(AI)などの最新テクノロジーがサイエンスを飛躍的に発展させるなかで、「医薬品の価値そのものが変わってきた」と中山会長は強調する。少子高齢化や人口減少に伴う労働生産性の向上、介護者の負担軽減など、”社会的価値”に見合う革新的新薬を創出する製薬産業に対し、政府に多面的価値評価を求めていくことは必然の流れとの立場だ。ただ、その前提条件は国民の理解や産業を見る社会の眼でもあるとし、医薬品の枠組みを超えたソリューション開発などを通じ、産業として社会的評価を国民から得る活動に注力することが大切だと訴えた。

中山会長のインタビュー、一問一答はMonthlyミクス3月号(3月1日発行)に掲載予定です。

2018年度薬価制度抜本改革では、新薬創出等加算の見直しが断行されるなど、製薬業界にとって厳しいものとなった。中山会長は、”ひとつの象徴”として、「イノベーションを支援し、促進する施策が大きく後退したと感じている」と語った。ただ、中山会長は、今年10月に実施予定の消費増税を経て、社会保障・税一体改革は一つの節目を迎えると指摘。社会保障制度改革のターゲットも、労働生産性人口の減少が直撃する2040年へと移る。「医療費削減が進められるなかで、革新的新薬が開発されずイノベーションが衰退することが医療の質低下を招き、健康寿命が短縮、支え手が減少し、経済成長力が低下する“デビルサイクル”に陥る」との見方を示した。その上で、国が単年度の予算措置を意識するなかで、「薬価改定で切り込むしかなく、そうしている限りはイノベーションの流れが日本から生まれる希望は薄い」と語った。

◎イノベーションの発展は医療費を削減するパワーがある

中山会長は政策提言2019の立案に至った経緯を振り返りながら、「こうしたサイクルから脱出する方法として最も期待されているのはライフサイエンスの進歩、新たな知見だ」と語った。特に、政府のSociety5.0 に代表されるビッグデータやAIが登場するなかで、「医薬品や医療の概念は大きく変わる」と表明。すでに認知症などで、疾患の発症・進行メカニズムに着目した予防・先制医療ソリューションの開発に取り組む動きもあるとし、遺伝子背景や環境要因から無症状の段階から早期診断・介入する“先制医療”の可能性にも言及した。

中山会長はまた、イノベーションの発展により、「個人にとって負担が少なく、医療費も削減ができる」と期待感を示した。そのためにはビッグデータに基づいたバイオマーカーの開発の必要性を強調した。さらに、予防医療の観点からワクチンによる疾患の根絶性の可能性も触れた。中山会長は、「この方向に行けば、明るい社会が開けるはず。いまたじろいで、投資意欲を減ずる施策を打つことは極めてナンセンスだ」と述べた。

◎医薬品の枠組みを超えるソリューション開発も視野に 他産業との協働も

「こうした環境で生み出される“ソリューション”は、医薬品の枠組みを超えている。だからこそ国民の理解をいただきたい。一つの産業の話ではなく、国全体がいずれ直面する課題だ。理解していただければ、ある程度のことは受け入れてもらえると考えている」-と中山会長は語る。すでに、バイオなどでは、製薬業界だけでなく、IT企業やバイオベンチャーなど様々な他産業が市場に参入し、イノベーションの構造改革を巻き起こしている。中山会長は、「色々な連携は始まっており、国にとって価値を生み出す源泉になると思っている」と自信をみせた。

そのうえで、製薬企業や医薬品卸、医療機関が薬価差に依存するビジネスは「そろそろ限界にある」と中山会長。「薬価差とは独立して、医薬品のあるべき評価、価値というものをもう一度問いただし、作っていく時代になったのではないか」と話した。

◎医薬品の”多面的価値” 有効性・安全性に‟社会的価値“を加えた二次元ベクトルで評価

製薬協は政策提言2019の中で医薬品の”多面的価値”について提案した。中山会長は、「日本の薬価制度はかなりよくできている。世界のほかの国と比べてもトップクラスの評価能力がある」と述べた。そのうえで、現行の薬価制度については、有効性・安全性など一つのベクトルしかなく、複雑化していると指摘。“社会的価値”を加えた「二次元のベクトル化し、わかりやすくしたほうが国民にもわかりやすいだろうと考えた」と政策提言に込めた想いを解説した。社会的価値については、患者の社会復帰、就労などによる労働生産性向上、介護負担の軽減、コンパニオン診断薬などで医療費の効率化が望めるものなどをあげた。

中山会長は治療を通じて社会復帰した患者を引き合いに社会全体が得られる評価と比べると現行の薬価制度での評価は「局地的な評価に過ぎない」と指摘。「本来の価値を理解したうえで適切に評価するためには、単に効能だけでなく、生み出されるトータルでの価値を正しく見極めないといけない」と理解を求めた。

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