18年の国内医療用薬市場1.7%減 2年連続で市場縮小 IQVIA

公開日時 2019/02/20 03:51
  • Twitter
  • 印刷

IQVIAは2月19日、2018年(18年1~12月)の国内医療用医薬品市場が薬価ベースで10兆3374億円、前年比1.7%減だったと発表した。暦年での市場縮小は2年連続となる。額では前年を約1770億円下回った。18年4月の薬価改定で市場平均7.48%の薬価引き下げを受けたが、C型肝炎治療薬マヴィレットや、がん免疫療法薬キイトルーダといった革新的新薬の急成長で押し返し、市場全体では2%未満の縮小にとどまった。国内売上トップ製品はマヴィレットで、売上は1328億円だった。

文末の「関連ファイル」に医薬品市場全体、上位10薬効、売上上位10製品及び四半期ごとの売上推移などの資料を掲載しました(2月20日のみ無料公開、その後はプレミア会員限定コンテンツになります)。

■10兆円超は4年連続

国内市場が10兆円を超えたのは15年から4年連続だが、前年に引き続きマイナス成長となった。市場別にみると、100床以上の病院市場は4兆5403億円(前年比0.7%増)、99床以下の開業医市場は2兆1155億円(2.3%減)、主に調剤薬局で構成される「薬局その他」市場(以下、薬局市場)は3兆6816億円(4.1%減)――。病院市場は微増ながらもプラス成長に転じたが、開業医市場と薬局市場は3年連続のマイナス成長となった。

薬価改定や後発品の急速な市場浸透が市場縮小の主因となる。その一方で、成長著しいマヴィレットやキイトルーダ、がん免疫療法薬オプジーボは病院市場で使用されることが多く、これが18年の市場別動向に表れたといえそうだ。

■売上1000億円以上に3製品 売上1位のマヴィレット、発売1年でピークアウト

売上上位10製品をみてみる。売上1位は17年11月発売のマヴィレット。IQVIAによると、前年からの伸び率は10倍以上という。ただ、同剤の18年の四半期ごとの売上推移は、第1四半期(1~3月)は334億円、第2四半期(4~6月)は423億円、第3四半期(7~9月)は299億円、第4四半期(10~12月)は270億円――で、発売から1年でピークアウトした模様だ。同剤は8週投与との使い勝手の良さに加え、あらゆるジェノタイプに使え、難治例にも使えることが特長。多くの患者で根治が期待できることから、市場が縮小局面に入ったと考えられる。

2位は抗がん剤アバスチンで、売上は1175億円(2.9%増)だった。前年順位は1位。

3位はオプジーボで、売上は1062億円(6.0%増)だった。前年順位も3位。同剤の薬価は用法用量変化再算定により、18年4月に23.8%、同年11月に37.5%それぞれ引き下げられた。それでも18年の四半期ごとの売上は、第1四半期が281億円、第2四半期が246億円、第3四半期が254億円、第4四半期が279億円――と、第2四半期を底に右肩上がりに推移した。近年、効能追加した腎細胞がん、頭頸部がん、胃がんなどでの使用拡大が背景にあるようだ。

なお、これら売上上位3製品が年間売上1000億円以上製品となる。

■キイトルーダ、タケキャブもトップ10入り ジャヌビア、オルメテック、モーラスが圏外に

オプジーボの競合品で17年2月発売のキイトルーダは今回、一気に6位にランクインした。売上は781億円、前年から2.5倍増となった。

4位以下は、4位が疼痛薬リリカで売上986億円(前年比5.9%増、前年4位)、5位が抗潰瘍薬ネキシウムで売上916億円(10.2%減、前年2位)、6位がキイトルーダ、7位が自己免疫疾患用薬レミケードで売上757億円(8.6%減、前年5位)、8位が抗凝固薬イグザレルトで売上731億円(2.2%増、前年6位)、9位が降圧剤アジルバで売上694億円(7.1%増、前年10位)、10位が抗潰瘍薬タケキャブで売上681億円(24.6%増、前年10位圏外)――だった。

今回、マヴィレット、キイトルーダ、タケキャブがトップ10入りした一方で、前年7位の糖尿病薬ジャヌビア、前年8位の降圧剤オルメテック(第一三共分)、前年9位の消炎鎮痛貼付剤モーラス(久光製薬分)が10位圏外となった。

■抗腫瘍薬の市場規模、1兆2000億円台に

薬効領域別の市場規模トップ10を見てみる。17年に薬効領域として初めて1兆円を突破した抗腫瘍薬市場は引き続き成長し、18年の市場規模は1兆2001億円(9.6%増)だった。薬効内トップはアバスチン、2位はオプジーボ、3位はキイトルーダで、そろって増収。加えて、16年5月発売の分子標的薬タグリッソも42.7%増、薬効内6位となり、これらが同市場をけん引した。

2位は糖尿病薬市場で、売上は5493億円(0.2%減、前年2位)だった。薬効内トップのDPP-4阻害薬ジャヌビアは7.9%の減収となる一方で、DPP-4阻害薬とビグアナイド薬との配合薬エクメットは20.5%増、GLP-1受容体作動薬トルリシティは52.2%増、SGLT2阻害薬ジャディアンスは55.2%増となった。

3位は抗血栓症薬市場で、売上は4280億円(2.2%減、前年4位)。薬効内トップのイグザレルトの増収に加え、2位に順位を上げたリクシアナは51%の大幅増となるなどしたが、プラビックス、オパルモン、プレタールの2ケタ減収をカバーできなかった。

4位は免疫抑制薬市場で、売上は3894億円(5.5%増、前年5位)。薬効内トップのレミケードは減収だったが、ヒュミラ、シンポニー(ヤンセン分)、ステラーラが売上げを伸ばした。

■降圧剤、脂質調整剤市場でマイナス成長続く

5位はレニン‐アンジオテンシン系作用薬市場で、売上は3511億円(23.9%減、前年3位)。市場の大幅縮小は、降圧剤オルメテックなど主要製品が相次ぎ特許切れし、後発品に置き換わったため。薬効内トップ製品は、これまでのオルメテックから今回、アジルバに交代した。同市場は14年からマイナス成長が続く。

6位は制酸剤、鼓腸及び潰瘍治療薬市場で売上は3497億円(7.4%減、前年6位)。薬効内2位のタケキャブは2ケタ成長した。しかし、トップのネキシウムは18年度薬価改定で特例拡大再算定による16%強の薬価引下げを受けて2ケタ減収となり、加えて多くの製品に後発品が参入しているため、市場全体もマイナス成長となった。

7位は全身性抗ウイルス薬市場で売上は3460億円(2.1%増、前年9位)。薬効内トップのマヴィレットは急成長し、18年3月発売の抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザも売上を伸ばしたが、C型肝炎薬ハーボニーは63%減、ソバルディは90%減となった。同市場は17年にハーボニーだけで約2300億円の減収となったことで40%を超える市場縮小となったが、18年は2%台のプラス成長に転じた。

8位は眼科用剤で売上3429億円(1.0%増、前年8位)。薬効内トップの加齢黄斑変性症治療薬アイリーアや同ルセンティスが堅調に売上を伸ばした。

9位は脂質調整剤及び動脈硬化用剤で売上3129億円(16.1%減、前年7位)。後発品が参入した脂質異常症薬クレストールの大幅減がマイナス成長の理由となる。薬効内トップ製品は、これまでのクレストール(塩野義分)から今回、ロトリガに代わった。同市場は3年連続で前年を下回っている。

10位は「その他の中枢神経系用剤」で売上3079億円(0.2%減、前年10位)。薬効内トップ製品は認知症薬メマリーとなっている。

■企業別売上ランク 1位が武田、2位が第一三共で変わらず 3位はファイザー

企業別の売上ランキング上位20社を見てみる。医薬品卸に製品を販売し、その代金を回収する機能を持つ「販売会社」ベースでは、売上1位は武田薬品(6934億円、2.0%減)、2位は第一三共(6548億円、2.1%減)だった。両社とも前年と順位は変わらない。

3位は前年4位のファイザー(5020億円、4.5%増)。前年3位だったアステラス製薬は今回、売上4871億円、前年比11.6%の2ケタ減収で、4位に後退した。17年6月に後発品が参入した降圧剤ミカルディスファミリーの減収影響が大きかったとみられる。

今回、最も成長した企業は16位にランクインしたアッヴィ合同会社で、売上1761億円、前年比162.5%増だった。マヴィレットの急成長が主因となる。17位に入ったヤンセンファーマも売上1754億円、17.7%増と2ケタ成長した。

アッヴィとヤンセンの2社が今回、ランキング上位20位に初めてランクインした企業になる。一方で、前年16位だった大日本住友製薬、前年17位だったアストラゼネカは今回、20位圏外となった。

上位20社のうち順位を上げた企業は6社(内資系3社、外資系3社)、下げた企業は3社(全て内資系)、順位が同じだった企業は11社(内資系5社、外資系6社)――となる。

なお、販促会社が2社以上の場合、製造販売を持っているなどオリジネーターにより近い企業に売上を計上する「販促会社」ベースでのランキングは、ファイザーのトップは変わらなかった。2位は前年3位の中外製薬、3位は前年2位の第一三共と入れ替わった。順位を上げた企業は6社(内資系2社、外資系4社)、下げた企業は7社(同4社、3社)、順位が変わらなかった企業は7社(同2社、5社)――だった。

 

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(1)

1 2 3 4 5
悪い   良い

 

 

広告

広告

広告

広告

広告

広告

市場に密着した医薬情報&マーケティング誌

 

3月号特集
(Promotion)

将来不安を抱く若手MRが増大 業界に影落とす

医療環境の変化で医師とMR間にギャップ拡がる

 

 

3/1発行

バックナンバー

 

ミクス編集部のtwitter

 

ミクスOnlineのモバイルサイトは下記QRコードよりアクセスしてください

QRコード

http://mobile.mixonline.jp/