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厚労省 高齢者の虚弱 “フレイル”総合対策実施へ 経済財政諮問会議で提示

公開日時 2015/05/26 03:52

厚労省は5月25日、2016年度から高齢者の「フレイル(虚弱)」に対する総合対策を実施する方針を固めた。26日の経済財政諮問会議で提示する。フレイルとは、高齢化にともなう筋力の低下などの身体的問題、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含む包括的な虚弱の概念。75歳以上の後期高齢者の要介護の要因としても大きな割合を占めている。超高齢化社会の到来を控え、健康寿命の延伸が重視される中で、厚労省は、フレイル対策が必須と判断。高齢期の疾病予防・介護予防等を推進するために、認知症総合戦略(新オレンジプラン)の推進、肺炎予防の推進、見える化による介護予防の推進に加え、柱のひとつに位置付けた。16年度から栄養指導などのモデル事業を実施し、食の支援などに拡大する方針だ。


75歳以上の高齢者では、フレイルを経て、徐々に寝たきり、要介護に陥るケースが増加している。フレイルが介護要因となる割合は、75~79歳で7.5%、80~84歳で12%、85~89歳で24.9%、90歳以上で43.6%と、加齢に伴って増加傾向をたどる。フレイルになると、転倒リスクも高まり、医療費が増大するとのデータもある。


一方で、栄養療法と運動療法の組み合わせた対策の実施により、筋力を増加させることがフレイル対策に有用とのエビデンスも臨床現場から出始めた。病院、診療所、薬局などで実施される栄養指導、運動指導がこうしたフレイルを予防する対策も注目されている。


◎フレイル予防を国民運動に


第17回日本在宅医学会もりおか大会(4月25、26日、マリオス盛岡地域交流センター)で25日に開かれたシンポジウムでも、フレイルが議論となった。


日本医師会の横倉義武会長は、寝たきりの原因として、脳卒中だけでなく、骨折や関節疾患、サルコペニアなど、整形外科領域の疾患が増加してきていると説明。かかりつけ医をもつ患者の検診受診率などが高いことから、かかりつけ医を浸透させることの重要性を強調した。その上で、「フレイル予防活動は国民活動にしていかないといけない」と述べ、日本医師会としても積極的に取り組む姿勢をみせた。


厚労省の武田俊彦大臣官房審議官は、介護保険事業において現場で簡単なアセスメントでフレイルか、スクリーニングできるとの見解を示した。その上で、フレイルだと診断された高齢者に対しては、「栄養を含めてサポートしないといけない。介護だけでも医療だけでもなく、医療と介護一体になってやる」ことが重要との考えを表明。「日本全体が健康寿命を守る、フレイルを予防するという方向に舵を切るためには、政策的にもメッセージを出す必要がある。行政と医師会で手を組む必要があるのではないか」と述べた。
 

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