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次期調剤報酬改定 「対物」から「対人」へ体系見直し 調剤料は引下げへ 中医協総会

公開日時 2019/09/26 03:52
中医協総会は9月25日、次期調剤報酬改定をめぐり議論し、診療・支払各側が“対物業務から対人業務”へと報酬体系を見直す方針で一致した。調剤料を適正化する一方で、かかりつけ薬剤師指導料をはじめとした薬学管理料を重視する方向へ調剤報酬体系を見直す。医薬分業率が7割超となるなかで、秋の臨時国会で審議する改正医薬品医療機器等法(薬機法)を取りまとめる議論でも、患者がメリットを感じていないとの指摘が相次いだことを受けた格好だ。診療報酬上でも“対人業務”の評価にさらに重きを置く。これにより、地域包括ケア時代に薬剤師・薬局がかかりつけ機能を発揮し、調剤後を含めて薬学管理・指導を行うなど、薬剤師が職能を発揮し、患者、地域から評価される姿へとシフトすることを後押ししたい考え。

この日、焦点の当たった調剤料は“対物業務”の象徴的な点数と言える。一方で、2017年度の技術料の内訳は、薬局維持費などを評価する調剤基本料が約5500億円、いわゆる対人業務を評価する薬学管理料は約3700億円なのに対し、調剤料は約9900億円と半数を占めている。同省は地域包括ケアシステムの構築を急ぐ中で、地域での薬局機能と薬剤師の職能について“対物業務から対人業務へ”という概念を強く打ち出した。調剤報酬上でも、かかりつけ薬剤指導料や服用薬剤調整支援料などで対人業務の評価を進めてきた。ただ、技術料における調剤料の割合は、近年減少傾向にあるが、薬学管理料が2割程度にとどまっている現状がある。

◎診療側・有澤委員「患者にわかりやすく、かつ理解いただけるよう組み直す」


診療側の有澤賢二氏(日本薬剤師会常務理事)は、「患者の視点ということから、対物業務から対人業務への構造的な推進は不可欠で、異論はない」と述べた。そのうえで、「対物業務をすべて切り離すということではなく、現行の調剤報酬体系を患者にわかりやすく、かつ理解いただけるような、対人業務に組み替えると理解している」と述べた。「対物業務から対人業務への転換には賛成だ」(診療側の城守国斗委員・日本医師会常任理事)、「現在の医薬分業については患者にとってメリットが感じられないのが事実。対物業務から対人業務へというのは、非常に重要な観点」(支払側の吉森俊和委員・全国健康保険協会理事)と述べるなど、診療・支払各側が賛成し、異論は出なかった。

診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、薬局の運営維持費についての点数である調剤基本料については、評価に一定の理解を示したうえで、「対物業務となっている調剤料と対人業務となっている薬剤管理料は、整理を明確にし、制度を見直すべき」と注文を付けた。

◎「日数に応じた基本料や加算は見直すべき」診療側・松本委員


調剤料(内服薬)の点数は、処方日数が14日目までは日を追うごとに段階的に増加し、15日以降は階段上に増加する。1日分の調剤であれば5点だが、31日分以上の調剤では86点まで増加する。この日数に応じた制度設計については診療・支払各側から異論が多く出た。「重要なのは患者の病状に合わせた適切な処方であって、日数に応じた基本料や加算は見直すべき」(診療側・松本委員)などの指摘があがった。調剤のオートメーション化が進み、非薬剤師によるピッキング業務が可能になるなど、薬剤師の業務効率化が進むなかでの点数設計の在り方などに言及する声もあがった。

もう一つの焦点となったのが、処方日数が14日以内の処方についての点数の在り方だ。15日以上の点数については過去の改定で複数回見直された経緯がある。診療側の有澤委員は、「14日以下の部分については対物業務から対人業務への構造的転換の推進を図るということを前提とした、一定程度の報酬体系の見直しは取り組むべきであるとは理解する」と述べた。一方で、投与日数が14日以下の処方は全体の45%を占めていることから、「急激な見直しにより、保険薬局の経営状況に大きな影響与えないよう、段階的、かつ慎重的な対応が不可欠」との姿勢も示した。

◎政府方針は「調剤料などの技術料、適正な評価に向けた検討を行う」

厚生労働省は2015年に「患者のための薬局ビジョン」を策定。診療報酬上も2016年度改定以降一貫して、かかりつけ薬剤師指導料、服用薬剤調整支援料など、対人業務の評価に当たる薬学管理料に手厚い評価を行ってきた。18年度改定では、ポリファーマシーへの対応や医療機関などへの情報提供、重複投薬への対応について評価した一方で、調剤料の引下げや門前・大型チェーン薬局の調剤基本料を適正化するなどメスを入れてきた。薬機法改正に向けた取りまとめの議論でも、薬剤師の職能発揮に向けて、「診療報酬・調剤報酬において医療機関の薬剤師や薬局薬剤師を適切に評価することが期待される」とされており、さらなる対応が求められていた。

今年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」でも、調剤料などの技術料について、「適正な評価に向けた検討を行う」ことが明記されている。


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