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エーザイ・内藤CEO レカネマブ上市で1年後に「シンプルなペイシェント・ジャーニー確立目指す」

公開日時 2023/05/16 04:53
エーザイの内藤晴夫代表執行役CEOは5月15日、決算会見に臨み、アルツハイマー病治療薬候補・レカネマブのフル承認を見据えた1年後の姿を描き、「シンプルなペイシェント・ジャーニーの確立を目指す」と表明した。認知症機能検査やAβ検査など、患者の気づきから診断、治療に至る各段階において、環境整備に注力する姿勢を強調。「なるべく大きな負荷なく、認知症の診断、そして治療に移行し、その効果が確認されるという手順とジャーニーを確立したい」と語った。治療段階では、2023年度中に、レカネマブの皮下投与と維持投与について申請することも明らかにし、同剤の「価値最大化」に注力する姿勢も示した。

◎「レカネマブは早期ADの第一選択としてのポジショニングを確立」 皮下投与・維持投与申請で「価値最大化」

「レカネマブが早期アルツハイマー病に対して第一選択としてのポジショニング、有効性・安全性を確立していきたい」-。レカネマブの日米欧中でのレカネマブのフル承認を見据え、内藤CEOは、「1年後に到達していたい姿」を描き、こう口にした。レカネマブをめぐっては、米国では優先審査に指定されており、PDUFAアクションデート(審査終了目標日)は7月6日とされている。日本では第2四半期(7~9月)、欧州・中国では第4四半期(24年1~3月)として、23年度中にグローバルでのフル承認を取得する見通しを示した。グロバーバルでのプレゼンス確立を目指す考えを示した。

23年度中には皮下投与(オートインジェクター製剤)、維持投与(4週に1回投与)の申請を行う方針だ。この新たな申請について内藤CEOは、「我々は、アルツハイマー病の治療は一定期間で終了するとは考えていない。継続して治療が必要だ。そのために、この2つの新しい価値の創造ということは大変重要な意味を持っている」との認識を示した。

◎日本でも環境整備着々

同剤を必要とする患者に届けるための“シンプルなペイシェント・ジャーニー”確立の重要性も強調した。初期の兆候を認識する段階から、専門医への紹介、診断、レカネマブによる治療の各段階に対し、アプリを活用した認知機能検査やAβ検査などに、同社としてもコミットしていく姿勢を強調した。迅速承認を受けた米国ではフル承認に向けてすでに準備を進めており、認知機能検査の開発や、診断薬メーカーや臨床検査センターと連携したPET/CSFの普及や保険償還、血液バイオマーカーの活用など取り組みが進む。日本でも、アミロイドPET 検査用イメージング剤の効能又は効果の追加に関する一部変更承認申請数が増加しており、環境整備が着実に進んでいると説明した。

G7長崎保健大臣会合で採択された宣言にアルツハイマー病治療薬について明記されたことも追い風との認識を示し、「各国における保険償還の推進をしっかりと図って参りたい」と強調。米国で約半数の州・準州の司法長官が FDAに承認されたアルツハイマー病治療薬のメディケアでの保険償還を求めるレターを米国保健福祉省とCMSに発出したことにも触れた。

◎「ブロックバスターのローンチもSOVを活用する時代は終わった」 オムニチャネルでアプローチ

このほか、迅速承認された米国でのステークホルダーへのアプローチも紹介した。400人体制でオムニチャネルによるアプローチを行っていると説明。実際のデータをAIで解析して次のアクションにつなげる「デジタルベースのアプローチを用いながら、効率的な展開を目指していきたい」と述べた。プロモーション体制については、「ブレークスルー的な大商品のローンチ(上市)も、いわゆるシェア・オブ・ボイス(SOV)を用いて取り組む時代は終わったと考えている」と表明。「適切なFTEで効率よく展開することが、米国社会から要請されていることではないか。我々は、非常に適切なローンチに向けたフィールドの整え方をしていると考えている」と述べた。

◎23年度は「レケンビの市場導入と価値増大に向けて大きな投資」 24年度以降の飛躍に自信

同社の2022年度売上高は1.6%減の7444億200万円、営業利益は25.5%減の400億4000万円だった。抗がん剤・レンビマが573億円増、不眠症治療薬・デエビゴが129億円伸びるなど、医薬品事業は2桁成長を達成したものの、ロイヤリティ収入が前年度比で790億円減となったことが響き、減収となった。内藤CEOは、「認知症領域に研究開発費・販売管理費で、合計約600億円投入した結果」であることを強調した。

23年度は売上高が4.4%減の7120億円、営業利益は24.9%増の500億円と、減収増益を見込む。内藤CEOは、23年度も認知症治療薬・レケンビに1100億円強を投入するとして、「我々の最大の使命とも言えるレケンビ(レカネマブ)の着実なる市場導入と着実なる価値増大に向けて大きな資源投入を決意している年度」と説明。「24年度以降は飛躍的成長に向かう」と強調。「32年に向けて、トップライン、ボトムラインとも、二桁成長を成し遂げていく」と意欲を語った。

同社の売上を牽引する抗がん剤・レンビマの22年度売上高は29.8%増の2496億円。23年度も2610億円と成長を見込む。23年度は、最大市場である米国において、腎細胞がんで30%、子宮内膜がんで45%の新規患者数トップシェア獲得を目指す。

【22年度の連結業績 (前年同期比)  23年度予想(前年同期比)】
売上高 7444億200万円(1.6%減) 7120億円(4.4%減)
営業利益 400億4000万円(25.5%減) 500億円(24.9%増)
親会社帰属の純利益 554億3200万円(15.6%増) 380億円(31.4%減)

【22年度のグローバル主力製品全世界売上高 (前年同期実績) 23年度予想、億円】
レンビマ  2496(1923)2610
デエビゴ 294(164)425
ハラヴェン 413(394) 345
フィコンパ/Fycompa 371(319) 255

【22年度の国内主要製品売上高 (前年同期実績) 23年度予想、億円】
ヒュミラ 472(506)135
デエビゴ 242(127) 350
レンビマ  137(103)175
メチコバール 103(108)100
ハラヴェン 85(83)85
ジセレカ 73(15)150
エレンタール 70(68)70 ※
グーフィス 65(61) 80 ※
フィコンパ 61(54)75
モビコール 58(49) 70 ※
パリエット 55(71) ※
アリセプト 42(69)

ルネスタ 69(139)
リリカ 57(215)

※EAファーマ取り扱い製品
※パリエットには、「ラベキュアパック400/80」0および「ラベファインパック」の売上収益含む
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