サワイHD トラストファーマに追加投資で生産能力を増強 HDで30年度の250億錠体制実現へアクセル
公開日時 2025/08/18 04:51
サワイグループホールディングスは8月12日、子会社のトラストファーマテック(福井県あわら市)の清間第二工場、清間第三工場の生産能力を増強すると発表した。トラストファーマテックの生産能力を現状の30億錠から28年度までに55億錠に引上げる。サワイHDは長期ビジョンで、30年度に250億錠以上の生産能力を確立することを目標に掲げており、実現に向けてアクセルを踏む。木村元彦専務執行役員(沢井製薬代表取締役社長)は同日開いた26年3月期(25年度)第1四半期決算説明会で、「生産能力を上げることで、沢井製薬の生産のフレキシビリティを高める」重要性を強調。これにより、医薬品の供給不足解消や今後の業界再編を見据えた迅速な対応が可能になるとの考えを示した。
◎27年度までに約195億円を投資 清間第二工場で10億錠、第三工場で15億錠を増強
今回の計画では、トラストファーマテック清間第二工場では生産設備が未実装となっていたスペースを活用し、新たに製剤設備を設置することで、10億錠の能力を追加する。また、清間第三工場は既存の建屋を活用しつつ、15億錠の生産能力を増強する計画だ。清間第二工場は27年6月、清間第三工場は28年1月からの稼働開始を目指す。投資額は27年度までの3年間で約195億円。今回の投資を通じて、グループ全体では245億錠体制となる予定。
決算会見で、中岡卓常務執行役員は、「当社は業界トップクラスの生産能力と販売数量を有しており、医薬品の安定供給に向けた責任を果たすとともに、供給不足の早期解消、新製品の上昇、さらには業界の再編・集約化といった、将来の変化を見据えた対応が不可欠であると考えている」と説明。こうした認識の下で、生産能力増強を進めているとした。そのうえで、「今後も社会的責任である医薬品の安定供給を果たしながら、持続的な成長を実現するため、あらゆる手段を講じて生産体制の強化に取り組む」と強調した。
◎木村専務 供給不安や再編への対応見据え「生産増強でフレキシビリティ高める」 投資を迅速に判断
木村専務執行役員は、新たな生産設備の稼働には時間がかかることに加え、「ジェネックそのものの置き換率も非常に高くなっている。250億錠体制でいいのかどうかもよく見ながらやっていかないといけない。できるだけ早めの投資の判断をしたというところだ」と説明した。
「まだ限定出荷解除もできない品目もある。これから他社が(生産を)辞めていく品目もサワイがしっかりカバーしていくということから考えると、フレキシビリティを得る必要がある。できるだけ早く生産余力を持とうということで決断した」と強調。品目統合の必要性も指摘されるが、そのものは直接的な目的とはしないものの、「我々の能力を早く高めていくと、その先には一対一で他の会社と品目統合の話もできるような、フレキシビリティが確保できる」とも話した。
新たな生産設備の稼働には時間がかかることに加え、「ジェネックそのものの置き換率も非常に高くなっている。250億錠体制でいいのかどうかもよく見ながらやっていかないといけない。できるだけ早めの投資の判断をしたというところだ」と説明した。
生産体制の増強に際して人員の増強も必要になる。木村専務執行役員は、「清間第二工で40~50人のプラス、清間第三工場も90人近くの増員が必要」と説明。「福井では小林化工の名前は非常に売れていたが、サワイの名前、トラストの名前はまだまだこれから。できるだけ早めにあの採用活動をスタートして、人員確保に努めていきたい」と意欲をみせた。