■全身性抗ウイルス薬と眼科用剤　薬効別ランクでトップ10入り

薬効別に市場規模を見てみる。市場規模トップは引き続き抗腫瘍薬市場で、売上8203億円（1000万円以下、切り捨て）、前年比9.7％増だった。IMSによると、薬効領域で8000億円突破は今回が初めてという。

上位10 薬効のうち市場拡大したのは１位の抗腫瘍薬、３位の糖尿病治療薬（5129億円、6.4％増）、４位の全身性抗ウイルス薬（4971億円、125.3％増）、５位の抗血栓症薬（4699億円、6.6％増）、６位の脂質調整剤及び動脈硬化用剤（4026億円、0.6％増）、８位の免疫抑制薬（3645億円、 7.5％増）、９位の喘息及びCOPD治療薬（3319億円、4.6％増）、10位の眼科用剤（3264億円、8.7％増）――の８薬効。

このうちハーボニーなど新規のC型肝炎薬の急伸があった全身性抗ウイルス薬と、加齢黄斑変性症用薬アイリーアなどが好調な眼科用剤が新たにトップ10入りした薬効となる。その一方で、10位圏外となったのは全身性抗菌薬と向精神薬だった。また、上位10薬効のうち市場が縮小したのは、２位のレニン-アンジオテンシン（RA）系作用薬（5674億円、7.1％減）と、７位の制酸剤、鼓腸及び潰瘍治療薬（3897億円、1.9％減）――の２薬効となる。

■喘息薬市場　シングレアが薬効内トップ製品に　アドエアに替わって

薬効領域ごとに詳細にみてみると、抗腫瘍薬市場は薬効内トップのアバスチンなどの分子標的薬が引き続き市場をけん引し、例えばスプリセルは前年比13.3％増だった。RA系作用薬市場は２年連続のマイナス成長。ARBのブロプレスやディオバンはそれぞれジェネリックの影響で売上が半減、薬効内トップのオルメテック（第一三共分）も0.3％減と振るわなかった。オルメテックの微減は、競合薬ジェネリックの伸長に伴う機会損失や、競合新薬アジルバの好調が影響しているとみられる。

糖尿病薬市場はDPP-4阻害薬トラゼンタや同テネリア、SGLT2阻害薬スーグラが売上を伸ばした。全身性抗ウイルス薬市場はハーボニーやソバルディのほか、14年９月発売のＣ型肝炎治療薬ダクルインザが595.5％増、同年同月発売の同治療薬スンベプラが580.6％増と、新規のＣ肝薬はそろって売り上げを大きく伸ばした。

抗血栓症薬市場では薬効内トップのプラビックスが減収だった一方で、ファクターXa阻害薬のイグザレルト、エリキュース、リクシアナがそろって増収。脂質調整剤市場は薬効内トップのクレストール（塩野義分）、２位のクレストール（アストラゼネカ分）が好調を維持した。制酸剤市場は薬効内トップのネキシウムが２ケタ成長したが、売上上位製品の多くがジェネリックによる「大幅な売上減」となり、同市場はマイナス成長が続いている。

免疫抑制薬市場は薬効内トップのレミケードがバイオ後続品の影響もあって微減となる一方、ヒュミラが9.0％増、レブラミドが19.2％増 となっている。喘息及びCOPD治療薬市場は薬効内トップ製品がアドエアに替わってシングレアとなった。眼科用剤市場は薬効内トップのアイリーアが64.0％増と好調なうえ、コソプト（参天製薬分）やアレジオン（参天製薬分）も同市場の成長に寄与した。

■企業別売上　ギリアドとBMSが上位20社にランクイン

企業別の売上ランキング上位20社を見てみる。医薬品卸に製品を販売し、その代金を回収する機能を持つ「販売会社」ベースでは、売上トップ３社が武田薬品、アステラス、第一三共の順で、これは前年と変わらない。

新たに上位20社にランクインしたのは15位のギリアド・サイエンシズ（2294億円、－）と、17位のブリストル・マイヤーズ（BMS、1956億円、 91.6％増）の２社。ギリアドはハーボニーとソバルディの２製品の売上で企業売上の100％を占める。BMSはダクルインザ、スンベプラの好調によるもの。これら２社のランクインに伴い、ヤンセンと小野薬品が20位圏外となった。

ギリアドやBMSのほか、15年に２ケタ成長したのは12位の日本イーライリリー（2615億円、13.4％増）のみだった。なお、前年より売上げを伸ばした企業は11社、売上げを減らした企業は９社。

販促会社が２社以上の場合、製造承認を持っているなどオリジネーターにより近い企業に売上を計上する「販促会社」ベースで企業ランキングを見てみる。こちらも上位20社に新たにランクインした企業はギリアドとBMSの２社で、塩野義と小野が20位圏外となった。トップ３社はファイザー、武田薬品、第一三共で順位変動はなかった。