塩野義製薬は８月18日、経口用セフェム系抗生物質製剤フロモックス（一般名：セフカペン　ピボキシル塩酸塩水和物）の後発品（＝ジェネリック）を５月に発売した沢井製薬に対して、同日付で大阪地裁に特許権侵害訴訟を提起したと発表した。同時に後発品の製造販売の中止を求める仮処分命令の申し立ても行った。塩野義は、11年３月25日まで有効な同剤の結晶特許（特許番号：2960790号）に沢井の後発品が抵触していると主張している。

塩野義によると、フロモックスの物質特許は08年10月23日に満了しているものの、物質を安定化させて品質を保持するための結晶特許が存続しているという。この結晶特許に基づく訴訟は、同剤後発品原末の輸入会社の伊藤忠ケミカルフロンティアを相手に２月に起こしており、沢井が２件目となる。

10年４月の次期薬価改定でフロモックスは、過去の事例から、初めて後発品参入を受けた先発の局方品として、３％の特例引き下げを受ける可能性がある。塩野義は現在のところ、沢井に対する訴訟で損害賠償請求までしていないが、特例引き下げを受けるなどした場合は損害賠償請求する構えも見せている。

沢井は本誌取材に「訴状の内容を確認していないので、コメントは控えたい」としている。