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中医協総会 診療側「診療報酬引き上げを」、支払側「引き上げ反対」

公開日時 2009/11/19 04:02

中医協総会が11月18日に開かれ、10年4月の次期診療報酬改定について診療側と支払い側がスタンスを明確に示した。診療側はこれ以上医療崩壊が進まないためにも診療報酬の引き上げが必要と訴える一方、支払い側は賃金・物価が下がり、失業率も高い社会環境の中で国民負担増、保険者負担増につながる診療報酬の引き上げに反対と表明した。新メンバーとなった中医協でも、改定前の恒例のやり取りが繰り広げられた。

厚労省はこの日の総会に、改定率の決定にあたって参考にする賃金・物価の動向を示した。人事院勧告を基にした賃金動向は08年度、09年度の2年間でマイナス2.4%、消費者物価を基にした物価動向は同マイナス0.5%で、賃金・物価ともマイナス基調。前回08年度改定(全体マイナス0.82%、診療報酬本体プラス0.38%、薬価等マイナス1.2%)では賃金がプラス0.7%、物価がプラス0.6%だった。

総会では診療報酬の上げ下げに関して、診療側の鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事)が、医療従事者は専門職であり、その確保も難しく、中小医療機関は公立機関に比べ賃金も低いことを挙げ「(引き下げを)おいそれとはできない」と口火を切った。これに支払い側の白川修二委員(健保連常務理事)が、賃金・物価動向、高い失業率、経済成長の低迷といった社会環境の中で「診療報酬だけを上げるのに我々は反対の立場だ」と表明した。

その後も各側が応酬。診療側は安達秀樹委員(京都府医師会副会長)が「看護師、理学療法士、医師らを雇用しようとすると赤字基調。病院でこの基調が強い」、嘉山孝正委員(山形大学医学部長)は「現場を預かっている我々の仕事は、国民の求める医療をいかに担保するかということ。(診療報酬引き下げとなると)国民に対して医療の質を保証できるか不安」と述べた。西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)は、「国民に医療や介護を提供したくても人が集まらない。もう少し報酬を上げて職員の処遇を改善しないと日本の医療介護は崩壊する」と声を荒げ、全病院が算定する入院基本料の大幅増額を求めた。

一方、支払い側は北村光一委員(日本経団連社会保障委員会部会長代理)が「医療で是正すべきところはしないといけないが、賃金物価の低下や失業問題の中で負担は患者や健保。ここも大変厳しいことも念頭においてほしい」と診療報酬引き上げに難色を示した。中島圭子委員(連合総合政策局長)や伊藤文郎委員(愛知県津島市長)は、人材確保が困難な医療現場の現状に理解を示しながら、「全てを診療報酬だけで解決できるのか。地域間格差の問題もある」(中島委員)として、診療報酬と補助金のあり方を検討すべきと指摘した。遠藤会長は、補助金は中医協のテーマでないとしたものの、「地域の事情を反映した診療報酬のあり方」の議論には関心を示した。

 

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