久光製薬は４月８日に09年度通期決算（09年３月～10年２月）を発表し、最主力品の外用消炎鎮痛剤モーラステープ群（一般名：ケトプロフェン）の売上高は757億6500万円と前期比5.4％増（38億6800万円増）だった。同剤の08年度の売上高は前期比10.1%増（66億1700万円増）だったため、09年度は成長率が鈍化したことになる。この理由について同社は会見で、「（10年４月の薬価改定を前にした）買い控えによるもの」と説明し、競合品のロキソニンテープとの競争よりも買い控えが大きく影響したとの見方を示した。

非ステロイド性外用消炎鎮痛剤のテープ剤市場では、モーラステープがシェア43.2%（09年度実績、前期比0.6ポイント増）とトップシェアを獲得している。ただ、第一三共のロキソニンテープが08年７月に発売されて市場競争が激化したとされる。久光は同日の会見で、「モーラステープからロキソニンテープに直接の切り替えはほぼない。ただ、ロキソニンテープは新規患者の獲得や、（各社の）パップ製剤からの切り替えが進んでいる。（処方量は）モーラステープも増えている」と09年度の市場環境を振り返った。

10年度はモーラステープが発売15周年を迎えることもあって、MR数を９月を目途に650人体制（08年９月比200人増）にすることなどにより競争力を高め、売上高812億円（7.2%増、約54億円増）を目指す方針だ。09年11月に非ステロイド性外用消炎鎮痛剤で国内初の関節リウマチの効能を取得したことも追い風となりそう。同社は「医師の使用実態や要望を受けて開発したもの。リウマチ治療の中で主要な位置を目指すのではなく、治療の１つの選択肢を提供できると考えている」とコメントした。

一方、久光の09年度連結業績は、モーラステープなど主力品の伸長や、09年８月に買収した米ノーベン社の４ヵ月分の売上24億6600万円の計上などで、売上高は1298億3400万円（前期比＝以下同、4.2%増）と増収だった。利益面は、ノーベン社買収に伴う関連費用（インプロセスR＆D費）の計上で減益となった。10年度業績見込みは、４月に7.2%の薬価マイナス改定を受けたものの、ノーベン社の売上が12か月分（93億円見込み）計上されるほか、がん性疼痛緩和用貼付剤「HFT-290」（クエン酸フェンタニルのテープ剤）や非がん性疼痛緩和用貼付剤「BTDS」（ブプレノルフィンの貼付剤）といった新薬の上市も見込み、増収増益を計画している。

【連結業績（前期比）　11年２月期通期予想（前期比）】
売上高　　1298億3400万円（4.2％増）　1444億円（10.9％増）
営業利益　285億8500万円（12.1％減）　275億円（3.8％増）
経常利益　312億3100万円（3.8％減） 　325億円（4.1％増）
純利益　　184億2300万円（3.6％減） 　202億円（9.6％増）

【製品単体売上（前期比）、11年２月期通期予想（前期比）、億円】
モーラステープ群　757.65（5.4％増） 812（7.2％増）
モーラスパップ群　111.25（7.3％減） 103（7.4％減）
ナボール群        21.51（7.3％増）  22（2.3％増）
エストラーナ      9.81（30.6％増）  10(1.9％増)
インサイドパップ  8.16（14.5％減）  7（14.2％減）