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この際、「段取り」「プロジェクト・マネジメント」「PDCA」を身に付けてしまおう

公開日時 2012/03/14 04:00

イーピーエス株式会社
榎戸 誠

 

一流MRの行動指針

社内外の一流MRの行動をつぶさに観察した結果、そして、自分の行動の成功例を振り返った結果、「段取り・スピード・連携」が私の行動指針となった。これは、MRだけでなく、どのような仕事にも、また、仕事だけでなく、プライヴェットなことにも、さらに、個人だけでなく、組織にも通じる行動指針なので、常日ごろ仲間たちに励行を勧めている。

 

個人の仕事は「段取り八分(はちぶ)」

MR活動を決まり切った定型業務(ルーティン・ワーク)と考えるか、あるいは、明確な目標を持った期限付きのやりがいのある課題と捉えるかで、気持ちの持ち方、取り組み、成果が全く異なってくる。
 

絶妙な「段取り」の技術』(吉山勇樹著、明日香出版社)は、仕事を進める上での基本中の基本が段取りだ、「段取り八分」という言葉があるように、段取りがうまくいけばその仕事の80%が進行したようなものだという。
 

段取りは4つのステップ――「ゴール設定」「計画立案」「実行・進捗管理」「評価・仕組み化」――に分けて考えると分かり易い。「ゴール設定」に際しては、問題とは何かということが重要となる。問題とは、理想(あるべき姿)と現実(事実)とのギャップのことであり、問題が解決すべきものとして捉えられたとき、課題となるのである。次の「計画立案」は、ゴール設定に基づいた必要作業(タスク)の洗い出し→役割分担→スケジューリング→リスク洗い出しと対策立案、の順で進めていく。その次の「実行・進捗管理」では、実施→確認→実施→確認と節目ごとにチェックとレヴューを繰り返すことで大きなズレ(遅れ)を起こさないようにする。最終の仕上げ段階では、「評価」と、失敗から教訓を得て、次に繋げる「仕組み化」が欠かせない。

 

組織のプロジェクト成功の進行手順

企画・立案から実行計画の策定、スジュール管理まで、仕事の過程を管理する米国生まれの手法をプロジェクト・マネジメントという。
 

よくわかるプロジェクトマネジメント』(西村克己著、日本実業出版社。出版元品切れだが、amazonなどで入手可能)を読むと、「段取り=プロジェクト・マネジメント」であることがはっきりする。プロジェクト・マネジメントの一番重要なノウハウは3つのステップ――「ステップ1:テーマ設定と解決策の立案」「ステップ2:実行計画の立案」「ステップ3:実行と評価」――に凝縮されている。ステップ1の具体的な手順は、①解決したいテーマ・目的を決める、②現状を把握する、③基本方針・解決方針を決める、④解決策を決める。ステップ2の手順は、①作業計画とスケジュールの作成、②組織体制・役割分担の明確化、③予算の作成/投資対効果の評価、④リスク・マネジメント。ステップ3の手順は、①プロジェクトの発足と関係者への周知、②実行と進捗管理、③問題発生時の是正処置/実績評価――となっている。
 

また、成功するプロジェクト・リーダーの条件として、目的志向、目標達成への熱意、強靭な精神力、前向きなプラス思考、意思決定力、情報収集・分析・処理力、コミュニケーション能力が挙げられている。

 

組織のPDCAサイクルの回し方の実践例

MRやモニターやデータマネジメント担当者が、チームやグループで仕事を進める場合、PDCA――plan、do、check、act(動詞で統一するため、私は「action」でなく「act」と表現)――サイクルを回すことによって、問題点を解決したり、仕事の効率を上げたりすることができる。
 

最近、社内の若手幹部の「PDCA発表会」を傍聴する機会があり、大いに刺激を受けた。どの発表も内容が充実していて聞き応えがあったが、特にYさんのPDCAサイクルの回し方が具体的で、大変勉強になった。
 

●ステップ1:PDCA1周目のテーマの選定→●ステップ2:現状の把握と目標設定→●ステップ3:要因の解析→●ステップ4:対策の立案→●ステップ5:対策の実施→●ステップ6:効果の確認→●ステップ7:歯止め→●ステップ8:反省と今後の計画→●ステップ9:PDCA2周目へ――がスピード感を持って、的確に実践されているのだ。
 

「ステップ3:要因の解析」は、「特性要因図」を活用し、「material(データ)」「machine(ツール)」「method(方法)」「man(人)」の4つの角度から四次元的に解析・検討されているが、この「特性要因図」によって問題点が明確に浮かび上がってくる。
 

「ステップ7:歯止め」は、「マニュアル・チェック・シートの更新」「参考資料の更新」「最新のチェック基準の共有会議の開催」と具体的に明記されている。
 

「ステップ6:効果の確認」の段階で、PDCA1周目にそれなりの改善を得ていたが、9名のメンバーを率いるデータマネジメント部門の才色兼備のYグループ・リーダーは、一定の進歩は認めながらも満足することなく、「ステップ8:反省と今後の計画」を踏まえて、PDCA2周目に取り組んだのである。再びステップ1~8のサイクルを粘り強く回したのだ。こういうリーダーと仕事ができるメンバーは幸せだと思う。

 

発想の転換

段取りやプロジェクト・マネジメントやPDCAをそれと意識することなく実行し、素晴らしい実績を上げているMRやリーダーがいることは確かだ。しかし、これらの手法を学ぶことによって、さらに効率を上げ、スピード・アップを図り、関係者間の連携を強化することが可能となる。大局的な見地から系統立てて仕事を進めることで、やるべきことの抜けや漏れを防ぎ、かつ無駄な重複を避けることができる。「段取り・スピード・連携」を実現することができるのだ。
 

優れた手法・技法は確かに役に立つが、気持ちの持ち方はもっと重要である。目標達成が困難に思われる時、進行が遅れ気味の時、新たな問題やクレームが生じた時、暗い気持ちになる代わりに、これらは個人や組織が成長・進化している証しだ、自分や組織を鍛えるチャンスだと発想を転換し、勇気を奮って、前向きに仕事を進めていこう。

 

 

 

 

 

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