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サノフィのGMP違反問題、一部抗がん剤供給に影響

公開日時 2012/08/24 04:00

フランス・サノフィの膀胱がん治療薬TheraCys(BCG生ワクチン膀胱内投与)の製造施設を中心としたGMP違反問題で、米食品医薬品局(FDA)が同問題解決にはサノフィの工場についての全世界的な評価が必要と指摘、同社経営幹部との協議を求めている。


FDAがGMP違反問題で経営幹部との協議を求めるのは異例で、FDAが同問題に重大な関心を寄せていることを浮き彫りにしている。


FDAは、7月12日付で、サノフィのOlivier Charmeil上級副社長(ワクチン担当)に対して警告書を発行した。警告書では、「サノフィは品質管理ユニットにおいて、生物製剤および中間体のアイデンティティ・力価・品質・純度などについて確認すべき責任を十分に果たしおらず、現行GMP規範を順守していない」と指摘した。FDAは警告書発行に先立つ3月にはSanofi Pasteur Ltdのトロント工場(カナダ)、4月にはSanofi Pasteur SAのMarcy l’ Etoile工場(フランス)の査察を行った。これら工場は主にワクチンを製造している。


しかし、FDAは、警告書で、「サノフィの全製品がFDAの求める要件を満たすことを保証するために、全ての製造業務を包括的かつ全世界的に評価する必要がある」ことを要求したため、今回の問題が同社の全ての製造施設に影響を及ぼす可能性がある。


FDAは、トロント工場においては、同工場で生産されたTheraCysの滅菌試験のバリデーションが保障されないと指摘した。今年3月から4月に実施された同試験法の再バリデーションも静菌/静真菌試験の合否基準に合致しなかった。このようなことを背景にサノフィは4月にはトロント工場の製造工程改善のため一時的にTheraCysの製造を中止した。


FDAは同剤の不足を補うため、関係会社と調整を行った結果、米メルクが同じ膀胱がん治療薬TICE BCG(BCG生ワクチン)を2倍以上生産することになった。サノフィでは、2013年後半には同剤は流通可能になると見ている。
また、サノフィはジフテリア・破傷風・Hib・ポリオなどの5価ワクチンPentacelについて、一定のロットが出荷に適さないとの理由で出荷停止を行った。一時的出荷停止は2013年第1四半期まで継続すると見られる。同社はPentacelの代替品として、3価ワクチンとHibワクチンおよびポリオワクチンの併用を勧める考え。


ドイツ銀行のアナリストは、今回のTheraCysおよびPentacelの製造上の改善問題にかかる売上への影響は2012年は2,000万ユーロから3,000万ユーロ(2,400万ドル-3,600万ドル)に、2013年には7,000万ユーロになり、これは、それぞれ、2011年売上の0.7%および2.0%に相当すると推定している。


サノフィは、このGMP違反問題の回復に努めているところで、Charmeil上級副社長ら幹部とFDAの協議の日程を調整している。


The Pink Sheet 7月30日号

 

※おことわり 上記記事中で米食品医薬品局(FDA)が指摘しているのは、カナダ、フランスにおける生物学的製剤の工程に関するものです。(2012年8月24日11:15)
 



 

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