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Stivarga  大腸がん適応での費用対効果に疑問

公開日時 2012/12/18 04:00

 科学誌「ランセット」は11月22日付で、バイエル/Onyx Pharmaceuticalsの抗がん剤Stivarga(レゴラフェニブ)は、大腸がんの適応では、有効性および安全性の観点から費用対効果に疑問があるとの論評を掲載した。


同論評は英国の腫瘍専門医が執筆、レゴラフェニブの2本のフェーズIII試験、転移結腸直腸がん(mCRC)を対象としたCORRECT試験と消化管間質腫瘍(GIST)を対象としたGRID試験の結果と一緒に掲載された。経口のマルチキナーゼである同剤は、米国では、9月にmCRCの適応で承認され、欧州では審査中だ。同剤の価格は1か月サイクルで、9,350ドルである。


ピボタル試験であるCORRECT試験(難治性患者760例)では、Stivargaは、BST(ベストサポーティブケア)と比べ、OS(全生存期間)を1.4か月改善させた。GRID試験では、ノバルティスのGleevec(イマチニブ)およびファイザーのSutent(スニチニブ)が奏功しなかった、転移または切除不能なGIST患者199例で、プライマリーエンドポイントである無病生存期間(PFS)はBSTと比べて有意差のある3.9か月延長を示した。しかし、セカンダリーエンドポイントである全生存期間では有意差を示さなかった。


「ランセット」論評の著者らはこの結果について、GISTは希望があるとしたが、mCRCについては、悲観的に見ている。1.4か月のOSベネフィットに加え、非常に僅かだが、統計的に有意なPFS(1.9か月対1.7か月)を示したが、客観的腫瘍反応は示さなかった。グレード3-4の副作用は、BST/プラセボの14%に比べ、54%だった。
CORRECT試験の担当医らは、試験結果が難治性mCRCの患者に対する新規の標準治療になることを示唆していると結論付けたが、「ランセット」論評の著者らは、生存ベネフィットが小さいことや報告された毒性の観点、また同剤が費用対効果に優れているとの結果がでる可能性が低いとの観点から標準治療になるとの結論には同意できないとしている。


大腸がんの薬剤の価格が高すぎるという批判は、ロシュ/ジェネンテクのAvastin(ベバシズマブ)、米メルク/ブリストルマイヤーズスクイブ/イーライリリーのErbitax(セツキシマブ)の市場参入以降、すでに言い尽くされている。
最近、サノフィ/Regeneron PharmaceuticalsのmCRC治療薬Zaltrap(zif-aflibercept)が、Memorial Sloan-Kettering Hospitalから採用を拒否され、サノフィが価格を半額に引き下げることを決めた。同病院の医師らが米紙「New York Times」に採用拒否を寄稿、大きな話題となった。


コンサルタント会社Kanter HealthのGordon Gochenauer氏は、Stivargaは、Zaltrapと同じような価格にける「陥穽」にははまらないと見ている。同氏は、同剤の価格は、ロシュのZelboraf(ベムラフェニブ)やファイザーのXalkori(クリゾチニブ)のようなコンパニオンダイアグノスティクスを伴う新規経口抗がん剤の価格に添ったものになると見ている。


Gordon氏は、Stivarga とZaltrapには大きな違いがあると指摘する。Zaltrapは、作用機序がAvastin と似ており、価格も用量の柔軟さから低価格で入手可能であり、がん治療の初期で使用される、しかし、Stivargaは、複数の治療が奏功しなかった後で、しかも治療オプションがない段階で使用される。従って、同氏は、「価格は高いように見えるが、保険支払者は大腸がんの後期段階に適応を持った既承認の薬剤がないので、同剤を拒否することはなかろう」と見通している。


バイエルは「ランセット」の論評に対して、医療供給者、保険支払者などに同剤の価格は他の経口抗がん剤と十分に競争的であることを説明、また、患者自己負担の補助や薬剤無料提供を行うBayer REACH Programという患者支援プログラムを実施する。同剤は、11月初めに、全米総合がん情報ネットワーク(NCCN)ガイドラインに記載された。


同剤の欧州での保険償還事情は国によって様々だ。フランスのKanterのRichard Wagner氏は、CORRECT試験で示されたOSのベネフィットは、ドイツやフランスでは償還の道を開くと思えると話す。スペインとイタリアでは、一定の条件付きで償還が認められるのでないかと推測している。しかし、英国では、NICE(国立医療技術評価機構)が、Stivargaの価格が米国並みだったら、同剤が、NICEの分析で適切な費用対効果を示す可能性は低いと見ている。


The Pink Sheet 12月3日号                                                   

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