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【ISC2013事後リポート】MR RESCUE 画像診断活用した患者選択による急性期の血管内治療 優越性示せず

公開日時 2013/02/20 08:00

発症から8時間以内の虚血性脳卒中急性期の治療として、CT/MRIで確認された、ペナンブラ(血流量が低下しているが、細胞死を免れている)を指標に、第一世代のデバイスである、Merci RetrieverまたはPenumbra Systemを用いた機械的血栓除去によるベネフィットを得られる患者を特定することはできなかった。また、機械的血栓除去は、標準療法を上回る機能的転帰改善を示すことができなかった。フェーズⅡbとして実施された、ランダム化比較オープンラベル試験「MR RESCUE(Mechanical Retrieval and REcanalization of Stroke Clots Using Embolectomy)」の結果から分かった。2月6~8日の日程で、米・ハワイ、ホノルルで開催された国際脳卒中学会(ISC2013)で、8日に開かれたPlenary Sessionで、米・ワシントンのGeorgetown Stroke CtrのChelsea S. Kidwell氏が報告した。
 

虚血性脳卒中急性期の治療として、発症から4.5時間以内のt-PA静注療法の有効性は示されているものの、time windowは短く、症候性頭蓋内出血のリスクもあることから、実臨床においてはそのベネフィットは限られているのが現状だ。一方で、血管内治療は、高い再開通率を示しているにもかかわらず、標準療法である薬物療法と比較したランダム化比較試験は実施されていなかった。また、time windowを過ぎても転帰が良好である患者を選択する指標の1つとして、CTやMRIを用いた画像診断で確認されたペナンブラが用いられており、これを指標に積極的な治療を行うことで予後が改善することが期待されている。


試験は、発症から8時間以内の、大血管前方循環脳卒中患者を対象に、Merci RetrieverまたはPenumbra Systemを用いた機械的血栓除去、もしくは、標準療法の2群にランダムに割り付け、①ペナンブラが確認できた患者では機械的血栓除去への反応性が高い②血栓除去を施行された患者の機能予後が改善する――という2つの仮説を検証する目的で実施された。主要評価項目は、90日後のmRS(modified Rankin Scale)。
対象は、▽脳卒中重症度評価スケールNIHSS≥6▽発症から8時間以内に最初の手技を実施▽内頸動脈(ICA)、中大脳動脈(MCA)のM1、M2の閉塞▽発症前のmRS 0~2で、18~85歳の患者とした。t-PAの静注療法を受けた患者も登録可とした。2004~11年の間に、北米22施設から127例が登録され、このうち118例が解析対象とされた。


すべての患者は、CTまたはMRIを撮影し、マッピングした結果から、治療による救済が可能な組織が存在し、梗塞コアが小さい群(以下、ペナンブラ良好群)と、梗塞コアが大きい、またはペナンブラがない、もしくは小さい群(以下、非ペナンブラ群)の2群に分け、それぞれ機械的血栓除去療法(Merci RetrieverまたはPenumbra System)、標準療法に割り付け、治療効果を比較した。ペナンブラ良好群は、梗塞コアが90ml以下で、予測される梗塞組織はリスクのある領域の70%以下と定義付けた。

患者背景は、平均年齢が65.5歳、NIHSS(IQR、中央値)が17、登録までの時間は5.5時間、t-PAの静注を受けていた症例は37%(44例)、標的閉塞は、ICAが17%(20例)、M1が66%(78例)、M2が17%(20例)だった。ペナンブラ良好群は58%(68例)だった。



◎ 再灌流、再開通達成群では良好な結果に



その結果、機械的血栓除去療法群で主要血管の閉塞血管再開通率(TICI)が2a~3が67%、90日後の死亡率は21%、症候性頭蓋内出血は4%で、群間差はみられなかった。主要評価項目の平均mRSは、機械的血栓除去療法群全体(64例)で3.9、標準療法群全体(54例)では3.9で有意差はみられなかった(p=0.99)。ペナンブラ良好群でも、機械的血栓除去療法群(34例)3.9(95%CI:3.3-4.4)、標準療法群(34例)3.4(95%CI:2.8-4.0)で、差はみられなかった(p=0.23)。非ペナンブラ群は、機械的血栓除去療法群(30例)4.0(95%CI:3.4-4.6)、標準療法群(20例)4.4(95%CI:3.6-5.2)で、同様に差はみられなかった(p=0.32)。画像診断によるペナンブラの結果や、治療法による交絡はみられなかった(p=0.14)。


標準治療により、再灌流を達成した(>90%)43例の平均mRSは3.2(95%CI:2.6-3.8)で、達成しなかった43例の4.1(3.7-4.5)で、達成した群で有意に良好で(p=0.04)、梗塞サイズの増加(中央値)も、達成しなかった群の72.5ml(95%CI:5.6-120.7)に比べ、9.0ml(-13.7-50.3)で有意に少ない結果となった(p<0.001)。
また、機械的血栓除去療法群では、部分的/完全再開通(TICI2a-3)を達成した79例は、mRSが3.5(95%CI:3.1-3.9)で、達成しなかった22例の4.4(95%CI:4.0-4.8)に比べ、有意に良好な結果となった(p=0.04)。また、梗塞サイズの増加も、達成しなかった群の60.3(95%CI:19.9-93.3)、達成群の17.7ml(-8.8-89.2)で、達成群で少ない傾向を示した。


◎Kidwell氏 新世代のデバイス用いた臨床試験の必要性強調


Kidwell氏は、登録に8年という長期間の期間を要したことや、第一世代のデバイスのみを用いていること、画像検査もベースライン時に1回のスナップショットでしかないことなど、試験に限界があると指摘した。

その上で、Kidwell氏は「虚血性脳卒中急性期の血管内治療において、ペナンブラを活用した患者選択できるという仮説の検証に失敗した」と指摘。治療法による差もみられなかったとした。ただし、▽第一世代のデバイスによる低い再開通率だった▽CTとMRIで画像診断の精度が異なる▽ペナンブラがある患者では治療法によらず良好な転帰をとる可能性がある▽ペナンブラを活用した患者選択の仮説に欠陥があった――ことなどが影響している可能性を示唆。画像診断もデバイスも進歩を遂げていることに触れ、「新しい世代のデバイスを用いた、さらなるランダム化比較試験が必要だ」との考えも示した。
 

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