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ビッグデータ活用、課題はコストか 専門家らが論議

公開日時 2014/03/28 03:50

3月4~5日に米国ニューヨーク市で、がん治療を発展させる目的でビッグデータの活用について議論するCancer Progress会議が開催された。同会議では、個別化医療を目指して、遺伝子シークエンシグの結果としての日常的に使用できる複雑で膨大なデータセットであるビッグデータを活用するために最大の障害は何かについて検討した。


大きな障害のひとつがコストであることには驚きはないが、保険者が、遺伝子シークエンシグのコストが低減し、高価な医薬品の使用を抑制するよう指示されても、広範なデータ収集の費用負担を喜んで受けるかどうかはいまだ明確でない。


個別化医療については、最近、がんの分野で大きな進歩を見た。ファイザー社の非小細胞肺がん治療薬Xalkori(クリゾチニブ)とALK遺伝子変異を検出する同コンパニオン診断薬、および、ロシュ社/ジェネンテック社の転移黒色腫治療薬Zelborafとそのコンパニオン診断薬となるV600BRAF遺伝子検査キットの組み合わせが話題となった。


しかし、一定の患者を選択する検査のランニングコストは、現状では、適正な患者に適正な薬剤を投与するメリットよりも大きいといわれる。だが、技術および医療リーダーらは、受診するがん患者は誰でも、治療方針決定を伝えられる際に、データをどのように共有し、蓄積し、使用するかについての問題を提起する遺伝子シークエンシング‐それはコストのかかるプロセスではあるが‐を受けられる日が来ると予想している。


大手保険会社Aetna社のMichael Kolodzieji氏は、「我々はすべてのデータを蓄積し、すぐに行動を起こせるコンピュータ能力を持つことは素晴らしいことだ」と評価しながらも、治療方針決定を伝えるほどには複数のソースからのデータの信頼性については疑念を持つとの考えを示した。


一方、マネージドケア会社UnitedHealth Group社はより楽観的な考え方を持っている。同社は、同グループの研究機関Optum社と医療機関Mayo Clinicと合弁会社(JV)Optum Labsを設立した。このJVに米ファイザー社が最近、個別化医療推進やビッグデータ分析の新規の方法を開発あるいは試すために、参画した。


Averaがん研究所(サウスダコタ州)のBrian Leyland-Jones副社長は、「ビッグデータは普及しつつある」として、問題は、「ベネフィットがコストを正当化しうるかだ」と指摘する。同副社長は、ジョージア州のEmory Universityから Averaがん研究所へ転職して以来、乳がん研究での遺伝子シークエンスプログラムをリードしてきた科学者である。同氏は、「大量の遺伝子シークエンシグが非常にチャレンジングであることは言を俟たないが、私にとって変革をもたらすもの」と述べ、同一患者でのデータをDNA、RNAおよびタンパクなど無数に幅広く検査する意義の重要性を示唆する。それにより、Pharmacyclics社/Janssen Biotech社のファーストインクラスのBTK(ブルトンチロシンキナーゼ)阻害剤が2013年にマントル細胞腫の適応で承認され、次いで今年になって、慢性リンパ性白血病の適応追加を取得したと説明した。


Leyland-Jones副社長は、「遺伝子シークエンス試験全体を患者が受けることが適正な治療を受けることを意味するなら、それはコストに見合うものだ」と指摘する。「我々は、そのコストを2万ドルから2万2千ドルにまで低減させた。」と述べたうえで、「それを乳がん治療薬トラスツズマブやペルツズマブの1か月のコストと考えるなら、この技術から得られるものは大きい」と話している。


遺伝子シークエンシグのコストが低減しているなか、ビッグデータの使用が医療現場にメリットを与える可能性は限りなく大きそうだが、この分野での今後の進展が注目される。


The Pink Sheet 3月10日号
 



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