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抗血小板薬エフィエント 効果発現早く「確実な効果を期待」 東邦大・中村教授

公開日時 2014/05/29 03:51


東邦大医療センター大橋病院の中村正人教授は5月28日、抗血小板薬・エフィエント(一般名:プラスグレル)の発売を受けて開かれた第一三共主催の記者会見で、同剤の特徴として効果発現が早く、遺伝子多型の影響を受けないことを挙げ「確実な効果が期待できる」と述べた。経皮的冠動脈形成術(PCI)を留置した虚血性心疾患患者への抗血小板療法では、投与開始1~2日目など早期にステント血栓症が発生することから、同剤の登場でこれらの課題が克服できることに期待感を示した。


エフィエントは、第3世代のチエノピリジン系薬(ADP受容体阻害薬)。同クラスにはほかに、パナルジン(チクロピジン)、プラビックス(クロピドグレル)の2剤がある。中村氏はエフィエントとプラビックスの違いとして、活性代謝物になるまでの作用機序の違いを説明。エフィエントは中間体の生成率が高く、肝臓での代謝回数が少ないことから、少量で、かつ迅速な効果発現が期待できる。



抗血小板療法は個々の症例で発現のタイミングや強さが異なることが指摘されているが、この背景にも代謝に関連する肝代謝酵素CYP2C19の遺伝子多型の影響がある。プラビックスは、遺伝子多型の影響を受け、個々の症例で発揮される抗血小板凝集能にバラツキがみられることがあることも指摘されている。中村氏は、遺伝子多型と血小板凝集能との関連を検討したデータを提示。エフィエントは、遺伝子多型によらず、抗血小板凝集能を発揮していると同剤の特徴を強調した。



中村氏はその上で、「個々の症例の不確実性を評価する方法がない」と指摘。「確実な方法を選択することを考えると、(PCIを留置した虚血性心疾患患者では)全例エフィエントを投与してもよいのではないか」との見解を示した。ただ、長期処方が当面できないことから、高リスクの虚血性心疾患患者への投与を推奨する考えも表明した。特に、急性冠症候群(ACS)患者への有効性を強調。「当院でもACS患者はすべてエフィエントに変わる」と述べた。そのほか、「糖尿病、慢性腎臓病(CKD)、左主幹部近くに病変がある場合、複数のステントを留置しているなど、リスクが高い患者であれば、2週間処方の期間であってもエフィエントを優先して使いたい」との見解を示した。



一方、安全性については臨床第3相試験「PRASFIT-ACS」のデータからプラビックスと大きな差は認められないと説明した。ただ、穿刺部出血が多いことも指摘。「カテーテル治療に伴う出血リスクが高くなることには注意が必要。大腿動脈を穿刺した場合にリスクが高まることには留意しないといけない」と述べた。また、ワルファリンなど抗凝固薬との併用での安全性データが十分に構築されていないと指摘。併用により、出血リスクが高まることが予想されることから、留意することが必要との見解を示した。



◎木村氏 PCI施行の循環器専門医の情報提供に注力「標準薬を目指す」



第一三共執行役員医薬営業本部長兼マーケティング部長の木村悟氏も同日の会見で講演し、「製品情報・適正使用情報を確実に伝え、日本のPCI治療における標準薬を目指す」と述べた。


PCIを施行する医療機関を中心に、循環器専門医への情報提供に注力する考えで、「まず、PCIを施行している先生方に確実に情報提供していきたい」と述べた。営業体制は、同剤のための特別な体制は敷かず、循環器領域のラインアップを豊富にもつ同社の強みを活かし、情報提供を行う。

 

 

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