アステラス製薬は10月31日、2015年３月期（14年度）第２四半期決算（４～９月）を発表し、国内市場は高脂血症治療薬リピトール、入眠薬マイスリー、統合失調症治療薬セロクエルなどの長期収載品が20％～30％台の減収だったことが大きく影響し、国内医療用医薬品の売上は計2295億円で、前年同期比7.1％の減収だった。長期収載品の減収は４月の薬価改定とジェネリックの影響によるもの。４月の消費税増税に伴う駆け込み需要の影響で、消炎鎮痛薬セレコックスや喘息治療薬シムビコートといった売上100億円以上の製品で各５％の減収となったことも業績に影響した。

上半期に新発売した製品の売上は、SGLT2阻害薬スーグラ（４月新発売）が26億円、前立腺がん治療薬イクスタンジ（５月新発売）が56億円だった。このうちイクスタンジは、同社が薬価収載にあたって提出した資料でピーク時売上予測を３年後に33億円としていたが、発売４か月余りで売上予測を上回る状況になっている。両剤とも通期売上計画は開示していない。

同社が強みを持つ泌尿器科領域の過活動膀胱治療薬の売上は、新規機序の選択的β3アドレナリン受容体作動薬ベタニスが61億円（前年同期比27％増）となる一方、抗コリン薬ベシケアが118億円（16％減）だった。同社は期初に、両剤合算で増収を目指す方針を示していたが、両剤合算では179億円、前年同期比５％減だった。なお、同社はこの日、通期計画を修正し、ベシケアの通期売上を期初計画の242億円から269億円に上方修正する一方、ベタニスは同209億円を147億円に下方修正した。

そのほか、最主力品のARBミカルディス（配合剤含む）の上期売上は471億円で、１％の減収にとどめた。通期計画は期初の975億円の計画を993億円に上方修正している。

■イクスタンジ　全世界で上期売上546億円

同社の連結業績は増収増益だった。日本市場は前述の通り苦戦したものの、イクスタンジが全世界で546億円（前年同期比166％増）を売り上げ、前年同期と比較して341億円の増収だったことが大きく貢献した。各種過活動膀胱治療薬や免疫抑制剤プログラフの売上が拡大したことも寄与した。

【14年度上半期連結業績（前年同期比）　14年度通期予想（前年同期比）】
売上高　5944億5300万円（9.3％増）　１兆2100億円（6.1％増）
営業利益（コア業績）　1191億7500万円（29.8％増）　2100億円（12.7％増）
純利益（コア業績）　810億5100万円（28.4％増）　1540億円（16.0％増）
（コア業績は経常的な収益性を示す指標。日本基準での特別損益などを含まない）

【14年度上半期グローバル製品売上高（前年同期実績）　14年度予想　億円】
プログラフ　952（893）1875
ハルナール　274（294）564
ベシケア　666（632）1299
ベタニス／ミラベトリック／ベットミガ　223（106）524
ファンガード/マイカミン　185（176）381
プロトピック　121（120）197
XTANDI/イクスタンジ　546（205）非開示
エリガード　95（89）非開示

【14年度上半期国内売上高（前年同期実績）　14年度予想　億円】
プログラフ（グラセプター含む）　237（253）496
ハルナール　78（104）149
ベシケア　118（140）269
ベタニス　61（48）147
ファンガード　57（60）119
イクスタンジ　56（-）非開示
リピトール・ファミリー　245（321）471
（内、カデュエット）　52（53）非開示
ミカルディス・ファミリー　471（473）993
（内、ミコンビ）　54（58）非開示
（内、ミカムロ）　114（101）非開示
ガスター　95（133）179
マイスリー　98（144）197
セロクエル　66（104）126
ワクチン　126（106）371
セフゾン　26（32）53
セレコックス　196（206）426
ジェニナック　43（49）120
ボノテオ　61（65）135
シムビコート　145（152）353
アーガメイト　29（31）59
キックリン　７（６）18
ゴナックス　16（10）39
シムジア　24（13）60
スーグラ　26（－）非開示