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外部人材をCEOとして招聘する理由

公開日時 2014/12/17 03:50

サノフィは、11月にChris Viehbacher前CEOは解任させたが、突然だったために、まだ、後任者が見つからないでいる。ただ、各社の新CEO探しを過去に遡ってみると、外部人材からCEOを招聘することは、大きなリスクがあることがわかる。


市場調査会社Strategy & とPwC(PricewaterhouseCoopers)が実施した2500社を対象としたCEOに関する調査では、2013年現在でのCEOの75%以上が内部人材からの抜擢となっている。これは企業が、(事業の)継続プランを維持するために、「積極的、かつ熟慮したアプローチ」をしていることを示す。


調査報告書をまとめたStrategy &のGary Neilson上級パートナーは、「外部に(人材を)求めることはやや高いリスクがある」と指摘した。その上で、「それには種々の要因があるが、そのひとつには、内部の人材はよりよく社内事情に精通しているが、外部の人材は精通していないことがある」と説明する。


報告書によると、2000年以降、CEOが外部人材の場合と内部人材の場合にわけ、株主還元を比較すると、外部人材が上回ったのは、13年間のうち2年のみ。内部人材がCEOになった場合の方が、一貫して高い株主還元を生み出しているという。


人材コンサルタント企業Korn/Ferry InternationalのDennis Carey副会長は、「経営誌Fortuneのよる100社のうち、外部人材からCEO職を埋めたのは、過去10年間でわずか10%にすぎない」とした上で、大企業が外部人材を抜擢する理由として、①現在の経営陣、取締役会が内部人材の育成を怠った、②現職のCEOが、病気または予測不可能な事態あるいは他社にヘッドハントされるなどして、当該企業において後継者を育成する十分な時間がなかった、③戦略的に新規分野に移りたい場合や、前経営陣の欠陥および失敗から距離を置きたい––の3点を挙げる。


サノフィの場合は、上記の①及び②に該当することも指摘されている。


Viehbacher前CEOの解任問題は、なぜフランスの企業が国際的人材を育成しなかったかの好例を示したといえるという。Viehbacher前CEOはグラクソ・スミスクライン(GSK)米国事業部の部長だったが、2008年にAndrew Witty氏のGSK・CEO就任後、競合社であるサノフィに入社した。同氏は、ドイツとカナダの二重国籍を持つが、サノフィでは初の非フランス人CEOとなった。サノフィはフランス人以外の幹部を育成する必要がなかったわけである。


Strategy & /PwCの報告書によると、CEOの約80%は、本社の所在地のある国あるいは地域の出身である。Gary Neilson上級パートナーは、この傾向は、グローバルな思考が欠如していることを示すと指摘。その上で、「企業がグローバル化するにつれ、その数が減少するのを見てみたい」と今後の展開に注目する姿勢をみせた。


Korn/Ferry InternationalのCarey副会長は、サノフィが、今回、新CEOを探すにあたり、▽現役CEOとしての経験、他の取締役会メンバーとの接触状態(良好な関係)、▽実績の記録、ウォール街・規制当局・メディアとの前向きな関係––などの条件を考慮すべきとの見方を示した。さらに個人的資質として、情熱、謙遜さ、スタッフとの協力関係などを加えた。


サノフィのCEOは誰になるのか。注目されるところだ。



(The Pink Sheet 12月1日号より)
 

 


 

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