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薬食審・第一部会 新薬など8製品審議、承認を了承 国内2剤目の週1回GLP-1受容体作動薬など

公開日時 2015/06/08 03:52

厚労省の薬食審医薬品第一部会は6月5日、新薬など8製品の承認の可否について審議し、全ての承認を了承した。国内2剤目となる日本イーライリリーの週1回投与のGLP-1受容体作動薬トルリシティ皮下注や、「筋萎縮性側索硬化症(ALS)における機能障害の進行抑制」の適応を追加する田辺三菱製薬の脳保護薬ラジカットなどが含まれる。ALSでは現在、リルゾール錠50mg「AA」が使われているのみで、作用機序の異なるラジカットはリルゾール同様、第一選択薬と位置づけられる模様だ。

【審議品目】(カッコ内は成分名と会社名)
ザイヤフレックス注射用(クロストリジウムヒストリチクス菌由来のコラゲナーゼ、旭化成ファーマ):「触知可能な拘縮索を有するデュピュイトラン拘縮」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。15年1月現在で海外22か国で承認されている。

デュピュイトラン拘縮は、手のひら内部の腱膜と呼ばれる線維組織が肥厚し、病態の進行とともに手指の屈曲拘縮が生じる。対象患者数は年間約1800人~2800人。日本での主な治療法は手術療法だが、侵襲性が高く、手術による神経損傷や動脈損傷などの合併症の問題がある。承認されれば、日本での薬物治療に道を開くことになる。

ランタスXR注ソロスター(インスリングラルギン遺伝子組換え、サノフィ):「インスリン療法が適応となる糖尿病」を効能・効果とする新剤形医薬品。再審査期間は4年。15年2月現在で米国のみで承認されている。

持効型溶解インスリンアナログ製剤。既存のランタス注100単位/mLに対して、製剤中の濃度を300単位/mLに3倍にした薬剤。臨床上の位置づけは、▽ランタス注と比較して低血糖の発現が少なく、投与時間をより柔軟に設定できる▽より少ない注射液量で同じ単位が投与可能なため、Basalインスリンを高用量必要とする患者に適している――としている。

トルリシティ皮下注0.75mgアテオス(デュラグルチド遺伝子組換え、日本イーライリリー):「2型糖尿病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。15年2月現在で米国、欧州、その他4か国で承認されている。

週1回投与のGLP-1受容体作動薬。シリンジにあらかじめ注射液が充填されているペン型注入器を用いており、注射針も29ゲージと細いことが特徴のひとつ。なお、既存のGLP-1受容体作動薬にはバイエッタ皮下注(一般名:エキセナチド遺伝子組換え、1日2回)、ビデュリオン皮下注(同、週1回)、ビクトーザ皮下注(リラグルチド遺伝子組換え、1日1回)、リキスミア皮下注(リキシセナチド遺伝子組換え、1日1回)――があり、トルリシティ皮下注は同作動薬として4成分目、同作動薬の週1回製剤としては2剤目となる。

ストレンジック皮下注12mg/0.3mL、同18mg/0.45mL、同28mg/0.7mL、同40mg/1mL、同80mg/0.8mL(アスホターゼアルファ遺伝子組換え、アレクシオンファーマ):「低ホスファターゼ症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は10年。希少疾病用医薬品。15年3月現在で米国、欧州、カナダ、オーストラリアで承認されている。

承認されれば低ホスファターゼ症に対する国内初の治療薬となる。低ホスファターゼ症は、骨石灰化不全を特徴とする遺伝性、慢性の進行性疾患。骨破壊や重度の筋力低下、けいれん発作などの症状を伴い、呼吸不全や早期死亡に至る場合もある。発症はあらゆる年齢層にまたがる。小児期の発症で予後が不良とされる。国内患者数は100~200人と推定されている。

同薬は、遺伝的欠損で不足する酵素を補充することでミネラル代謝過程を正常化し、疾患の症状を予防、改善することが期待されている。

リバロ錠1mg、同2mg、同OD錠1mg、同OD錠2mg(ピタバスタチンカルシウム水和物、興和):「家族性高コレステロール血症」に小児適応を追加する新用量医薬品。再審査期間は4年。15年2月現在、小児に対する適応で承認されている国はない。

同薬を含むスタチン系薬は国内で8成分承認されているが、小児適応を持つ製剤はない。家族性高コレステロール血症はLDL受容体遺伝子の変異によって、遺伝的に血中のLDLコレステロールが高い疾患。両染色体の遺伝子に変異があるホモ型と、片方のみ変異があるヘテロ型があり、ホモ型の方が重篤で平均寿命は37歳とされる。同薬が承認されれば、ヘテロ型で積極的な治療が必要な小児患者に対して新たな治療の選択肢となり、ホモ型ではLDLアフェレーシス療法(血液浄化療法)に対する補助的な治療となる。

エムラクリーム(リドカイン/プロピトカイン、佐藤製薬):▽「皮膚レーザー照射療法時の疼痛緩和」への小児適応の追加 ▽「注射針・静脈留置針穿刺時の疼痛緩和」の効能・効果の追加――を行う新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(2020年1月17日まで)。13年9月現在、一般用医薬品として発売されている国を含め世界88か国で承認されている。

リドカイン及びプロピトカインを等量配合した外用局所麻酔薬。同様の効能・効果を持つ既存薬にはペンレステープ18mg(リドカイン)があるが、エムラが承認されればこの効能・効果で初のクリーム剤となる。ただ、密封法により60分間塗布する必要がある。

ボトックス注用50単位、同100単位(A型ボツリヌス毒素、グラクソ・スミスクライン):「斜視」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。14年5月現在、39の国・地域で斜視の効能・効果で承認されている。

承認されれば、斜視に対する国内初の薬物療法となる。斜視は眼位のズレが生じ、両眼の視線が同じ方向に向かない状態となる眼科疾患。眼球に付着する6つの外眼筋の筋緊張のバランスが変化することで生じる。日本での斜視の治療は屈折矯正や視能訓練といった非観血的療法から始め、十分な効果が認められなかった場合には一般的に手術療法が適応される。

日本眼科学会と日本弱視斜視学会からの開発要望があって「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で検討された結果、厚労省から同社に開発要請されていた。

ラジカット注30mg、同点滴静注バッグ30mg(エダラボン、田辺三菱製薬):「筋萎縮性側索硬化症(ALS)における機能障害の進行抑制」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間は10年。希少疾病用医薬品。15年3月現在、同剤の海外での製造販売は行われていない。

ラジカットは脳梗塞急性期治療薬。今回の申請は、ALS患者を対象とした国内臨床試験で病勢進展の程度が軽減されたことに基づく。ALSの病態で上昇するフリーラジカルの発生を抑制し、運動ニューロンを酸化ストレスから保護するほか、小胞体ストレスやアポトーシスの抑制を介して運動ニューロンを保護し、病態の進行を遅延させると考えられている。患者数は約9000人。

日本ではALSに対してリルゾール錠50mg「AA」のみ承認されている。ラジカットは、リルゾールとは異なる作用機序でALSに有効性を示すと考えられており、リルゾールと同様にALSの薬物療法の第一選択薬に位置付けられる。

【報告品目】(カッコ内は成分名と会社名)
報告品目は、PMDAの審査の段階で承認が了承され、部会での審議が必要ないと判断された製品。

アイリーア硝子体内注射液40mg/mL、同硝子体内注射用キット40mg/mL(アフリベルセプト遺伝子組換え、バイエル薬品):「網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」の効能・効果を追加する新効能医薬品。再審査期間は残余(2020年9月27日)。これまでの「網膜中心静脈閉塞症に伴う黄班浮腫」との効能・効果から今回、「中心」を削除した。

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