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製薬協・広告作成要領を改定 副次的結果の記載を限定 比較試験記載は可能に 科学的な情報提供を

公開日時 2015/09/14 03:52

日本製薬工業協会は9月14日、「医療用医薬品製品情報概要記載要領広告作成要領」の改訂をホームページ上で発表した。承認された効能・効果の範囲内の患者を対象にした治療において副次的にもたらされる結果、例えば降圧薬における心血管イベント抑制効果などについては“参考情報”として効能効果との明確な区別を求めた。特定項目製品情報概要での記載範囲は、表紙とDI頁を除いた紙面の1/4を超えることは認めない。記事体広告でのKOLによる座談会やインタビューでも、参考情報をテーマとすることを禁じ、承認外への使用を推奨しないことを求めた。一方で、“比較=誹謗”ではないことも明確に打ち出し、臨床比較試験については記載できる範囲を拡大。科学的記載であることを条件とした上で、臨床比較試験での対照薬の記載が可能とした。改訂により、より科学的な根拠に基づいた情報提供をうながしたい考えだ。


“参考情報”とは、①承認された効能・効果の範囲内の患者を対象とした治療において副次的にもたらされた結果、②効能・効果との関連が十分には明らかにされていない薬理作用—のことと定義づけした。


例えば降圧薬では、血圧値の低下が承認を受けた主たる効果となる。そのため、脳出血や心筋梗塞、腎障害などの腎イベントの発症や、尿たんぱくや微量アルブミン尿など臨床検査値への影響は、副次的結果となる。この副次的結果は、あくまで添付文書に基づいて判断され、臨床試験の副次評価項目とは必ずしも一致しない。また、インスリン感受性や脂質への影響など効能効果との関係が十分に明らかでない薬理作用も同様に位置づけた。


特定項目製品情報概要での記載は、試験ごとに参考情報であることを明記することを求め、表紙とDI頁を除いた紙面の1/4を超えず、さらには表紙やそれに続く頁への記載はしないよう求めた。監修者のコメントなども記載できない。参考情報に監修者のコメントのみの1枚のリーフレットなどは作成できないことになる。作用を強調する表現も禁止した。例えば、「腎保護効果」、「腎機能改善作用」などは誤解を与える表現とし、「腎機能に及ぼす影響」にとどめることを求めた。


記事体広告では、有効性に関する臨床成績の記載は、承認された効能・効果、用法・用量の範囲内とし、参考情報を記載できないこととなる。座談会、講演会、インタビューなどでの医療従事者の発言であっても、承認外の疾患に対して有効であるような印象を与える表現または推奨するような記載はしないことを求めた。医師提供のデータや学会発表データで論文化されていないデータの掲載も認めないこととした。


◎品名広告ではキャッチフレーズの記載を禁止


臨床比較試験については、これまで臨床試験のタイトルには、対照薬名を記載できなかったが、これを改め、一般名での記載を可能とした。自社製品同士の比較臨床成績の場合では販売名での記載も認める。公平かつ客観的にデザインされた比較試験であれば誹謗には当たらず、試験概要がより分かりやすくなると判断した。一方で、データの科学的根拠を重視し、統計解析の手法や信頼区間やP値などの結果についての明記を求めた。統計学的解析が行われていない場合は、結果の数値を記載するにとどめることとした。サブグループ解析については、当初より試験計画に記載されたものでかつ、科学的妥当性のある結果を除いては原則として利用できないこととした。いわゆる後付け解析は掲載できない。図の縦軸、横軸などの倍率を変えることや、矢印を用いて差を強調することも禁止した。


そのほか、品名のみを主体とする、いわゆる品名広告では、キャッチフレーズのイラスト化や英文のキャッチフレーズを禁止。“発売10周年”、“世界から日本へ”、“投与期間制限解除”などの記載も認められなくなった。ただし、DI広告のあるリーフレットなどの情報提供はこれまで同様認めることとする。


また、これまでの紙ベースの資材に加え、iPadなどタブレット型端末を活用したデジタルコンテンツについても明記。総合製品情報概要と同様の主旨に沿って作成することも求めている。


今回の改定は、ARBの臨床研究不正が指摘されたディオバン事件やARB・ブロプレスの行政処分を受け、広告そのものについての議論がなされたことなどを踏まえて実施された。製品情報概要や専門誌掲載広告などを「医療関係者に積極的に提供することを前提とした医薬品情報資材」とした一方で、学会抄録集や文献別刷、患者向け資材・製品一覧などを「医療関係者に積極的に提供することを前提としていない医薬品情報資材」と明確に分離したのも特徴となっている。


日本製薬工業協会医療用医薬品製品情報概要審査会の山本鉄夫委員長は本誌取材に対し、「(誇大広告などの問題を受け)日本の自主審査体制は危機に立たされていると言っても過言ではない。資材を作成するルールは提供したが、それを使ってどう行動するかが重要だ。各企業には、MRの活動を含め、きちんと教育してほしいというのが切なる願いだ」とコメントしている。



 

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