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中医協・薬価専門部会 業界側「基礎的医薬品」選定要件提示 収載から25年以上も

公開日時 2015/11/05 03:52

中医協薬価専門部会が11月4日開かれ、収載後十数回の薬価改定を経たにもかかわらず、臨床上の必要性が高い“基礎的医薬品”について、製薬業界側が「薬価上の措置が必要な基礎的医薬品の主な特徴と選定要件」を提示した。基礎的医薬品は、薬価収載から25~30年以上経過しているにもかかわらず、医療現場で標準薬として汎用され、有効性・安全性プロファイルが確立している医薬品を指す。例えば、抗結核薬・ストレプトマイシン、モルヒネなど、抗生物質や中枢系医療用医薬品、抗がん剤などが含まれる。薬価改定のたびに価格が引き下げられた結果、長期間市場にある医薬品では不採算に陥るケースもある。こうした医薬品に対して、不採算に陥る前の、いわばセーフティーネットとして、薬価を下支えする仕組みを構築することで、将来的にも安定的な医薬品供給を促したい考えだ。今後は、基礎的医薬品の概念を検討した上で、個別品目について中医協で承認の可否を検討する。


経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)では、基礎的医薬品の安定供給に向けて必要な措置を行うことが求められ、医薬品産業強化総合戦略にも盛り込まれている。


この日、業界提案で示された基礎的医薬品の主な特徴は、▽長期間にわたり、医療現場で使用、▽有効性・安全性プロファイルが明確、▽医療現場からの継続供給の要望、▽薬価改定により価格水準が相対的に低下、▽採算性の観点から継続的な供給維持が困難――とした。選定要件は、▽薬価収載からの期間が長く、価格水準が低い、▽ガイドラインへの記載など臨床上不可欠、▽不採算品再算定適用品目など採算性が低い――ことをあげた。実際に、抗不安薬・ジアゼパム、抗生物質・ペニシリン、注射用水などは、複数回不採算品再算定が適応されている。


こうした医薬品は、収載から時間が経過しているにもかかわらず、臨床現場で汎用され、医薬品の有効性・安全性の情報提供や、安定供給が医療現場から強く求められている。一方で、薬価改定のたびに薬価が引き下げられた結果、結果として25年経過すると薬価は半減する。不採算品再算定となった医薬品も25~30年経過した製品が大半を占める。一方で、不採算となった理由は、製造設備更新や原薬・原材料調達の問題など、長期の継続を供給するためには追加投資が必要となる。不採算品再算定は、原価計算方式で営業利益がないように設定されることから、こうした追加投資を行うのが難しい。そのため、業界側は新たな枠組みを求めた。



専門委員の加茂谷佳明氏(塩野義製薬常務執行役員)は、「追加投資が必要になる場合も供給を辞めることはできない。再算定もやむなく希望している実態」と述べ、企業努力だけでは安定供給が難しい窮状を説明した。その上で、「薬価の下支えの仕組みを構築させていただきたい」と要望した。また、最低薬価が設定されていない剤型があることにも触れ、不採算品再算定の確実な適用や、最低薬価の区分新設など現行ルールの拡充も求めた。


◎診療側・松原委員「基礎的医薬品を守っていただきたい」 支払い側からは異論も


業界提案に対し、診療側からは同意が得られた一方で、支払い側からは現行ルールの中での対応を求める声があがり、各側で意見が分かれた。


診療側の松原謙二委員(日本医師会副会長)は、ジアゼパムを例に「絶対に必要な患者がいる。不採算になっても作っていただきたいが、企業なので赤字ではいけないということであれば、国の責任である程度対応するのは当然」と主張。「基礎的医薬品を守っていただきたい」と強調した。


一方、支払い側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、鉄道や飛行機などの公共機関を引き合いに、利益を上げている製品が売れていない製品をカバーするのが企業としての在り方との考えを表明。「企業の収益全体を見て、個別に判断して救っていくのが妥当であれば不採算を適合していく」との考えを示し、現行ルールの中で救済していくのが妥当」と述べた。


これに対し、加茂谷専門委員は、「基礎的医薬品は必ずしも大企業が行っているわけではない。専業の企業も存在する」と説明し、企業全体でのカバーが難しいケースがあると説明。「薬価上の安定性が投資要件には、重要かつ不可欠」と述べ、生産設備への投資には薬価の安定が必須との見方を示した。


支払い側の石山恵司委員(日本経済団体連合会社会保障委員会医療・介護改革部会部会長代理)は、「極端に言えば、1社でも供給が止まれば、日本の医療が維持できないこともある」との考えを表明。厚労省側に、基礎的医薬品の要件や、リスト化を求めた。



厚労省保険局医療課の中井清人薬剤管理官は、「不採算再算定は、企業の側から見れば一定の制限があり、安定供給に苦しい時代があった」との認識を示した上で、「基礎的医薬品がどういうものかという土台は作りたいと考えているが、個別品目については中医協で議論していただくことが必要ではないか」と述べた。



◎長期収載品 置き換え率20%未満の医薬品でZ2拡大考慮も 


この日の薬価専門部会では、14年改定の答申書付帯意見で引き続き検討することを求められていた長期収載品の薬価についての議論もなされた。経済財政運営と改革の基本方針2015(骨太方針)で、2017年央に後発医薬品数量シェア70%以上、18~20年度までに80%との目標が示されたことを踏まえたもの。現行のルールでは、一定期間(5年)を経ても適切な置き換えが進んでいない医薬品に対して特例的に薬価を引き下げるルール(Z2)での引き下げ幅は、最も置き換えが進んでいない後発医薬品置き換え率20%未満の医薬品で2.0%引き下げられる。



支払い側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、後発医薬品の目標値を「重く見て検討する」とした上で、後発医薬品の置き換え率20%未満の医薬品については「(現行の)2%のルールを維持するのか、それを拡大するのかを考えないと、国家戦略を達成できない」との見方を示した。


加茂谷専門委員は、長期収載品の売上高の推移を示し、Z2対象品目では、2013年度の-7.4%から-10.6%、Z2対象外の品目でも-8.2%から-12.1%になったとのデータを提示。Z2が導入された14年改定以降、長期収載品全体として後発品への置き換えが加速したと説明した。その上で、新薬創出・適応外薬解消等促進加算のコンセプトとして、特許期間中に前倒しして研究開発投資を回収できることを説明し、「前倒しで開発原資を得られるよう新薬創出・適応外薬解消等促進加算の維持をお願いしたい」と改めて訴えた。
 

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