慢性腰痛患者 治療目標設定で治療満足度が2倍以上に 塩野義・日本リリー調査
公開日時 2016/10/25 03:50
塩野義製薬と日本イーライリリーはこのほど、慢性腰痛症患者の3人に1人が慢性的な痛みで仕事を辞めたいと思ったことがあるとの患者意識調査結果を発表した。5人に1人は、症状が最もひどい時期で月2~3回以上欠勤したと回答し、慢性腰痛症は患者のQOLに大きな影響を及ぼしていることが改めて確認された。また、治療目標を設定した患者の方が設定していない患者より、治療満足度が2倍以上高いこともわかった。両社は「患者、医師の間で合意した治療目標をしっかり設定しておくことの大切さが浮き彫りになった」としている。
調査は20歳以上の慢性腰痛症患者2350人と、慢性腰痛症の治療経験のある整形外科医111人を対象に実施した。この調査対象患者は47都道府県で各50人(男女各25人)、慢性腰痛症で現在治療中もしくは治療していた人となる。調査方法はインターネット調査(実査はマクロミルに委託)。調査時期は9月12日~20日。
調査結果によると、患者の94.4%が日常生活に何らかの支障があり、多くが「物を持ち上げる動作」(66.1%)や「立ち上がる、しゃがむなどの動作」(63.1%)に支障があるとした。そして、仕事を辞めたいと思ったことがある人は35.2%だったほか、患者の過半数は「これまで楽しめていた趣味」や「週末や休日などの外出」に支障があると回答した。
医師と話し合って治療目標を設定している患者と設定していない患者では治療満足度に差があり、設定している患者の満足度は69.6%であったのに対し、設定していない患者は33.5%だった。治療満足度向上のために治療の目標設定が重要なことがわかる。
ただ、治療目標を設定しているとの医師は40.5%であるのに対し、患者は24.2%にとどまった。治療目標を設定しているとの医師が半数以下であることも課題だが、医師と患者の認識の差も大きく、医師が治療目標を設定したと思っていても患者はそう思っていない可能性も示唆された。