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中医協・薬価専門部会 薬価制度抜本改革で議論スタート 年内とりまとめへ

公開日時 2016/12/01 03:52

中医協薬価専門部会が11月30日開かれ、薬価制度の抜本的改革に向けた議論をスタートさせた。安倍晋三首相が経済財政諮問会議に、薬価制度の抜本改革の基本方針を年内にもまとめるよう指示したことを受けたもの。中医協でも並行して議論を進める。焦点となるのが、薬価の毎年改定だ。毎年薬価改定は、これまでに中医協で何度も検討され、業界が断固として導入を反対し続けてきた経緯がある。この日の中医協でも、業界代表である専門委員に加え、診療側の中川俊男委員が「日本医師会としても、毎年薬価改定には賛成することができない」と述べるなど、反対の声があがった。ただ、17年2月の抗がん剤・オプジーボの臨時薬価改定、19年の消費増税改定を間にはさみ、実質的には2016年度から20年度にかけて、毎年薬価改定とも言える状況になだれ込む。官邸が毎年薬価改定に対して強い姿勢で臨む中で、業界側が明確な根拠を示すことができなければ、導入阻止は難しいとの見方も出始めている。


この日の薬価専門部会では、異例とも言えるが、経済財政諮問会議での安倍首相の指示部分が資料に盛り込まれた。安倍首相は、諮問会議の民間議員の指摘する薬価の改定ルールの抜本的見直し、透明性の向上、新薬の評価の際の費用対効果評価の反映を踏まえ、諮問会議で議論し、年内に基本方針を取りまとめるよう指示。菅官房長官から「薬価の毎年改定と新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度の強化」を求める声があがったことが報告された。背景には、抗がん剤・オプジーボに端を発した高額薬剤問題が国家財政に与える影響の大きさに対する懸念がある。こうした中で、国民皆保険の持続性と、イノベーションの推進を両立させる、新たな薬価制度を早期に確立することが求められるようになってきた。


「効能追加等に伴う一定規模以上の市場拡大について、年4回の新薬収載の機会を最大限活用して、柔軟に薬価の見直し」、「一定以上の薬価差が生じた品目(後発医薬品を含む)について、少なくとも年に1回、これまでの改定時期に限らず薬価を見直し」--。塩崎厚労相が諮問会議に提案した検討の方向性では、こうした内容が盛り込まれた。改定頻度は毎年よりもさらに増加することが予想されるが、品目数が絞られ、単純な毎年薬価改定とは異なる。一定以上の市場拡大が想定される品目としては、PD-1抗体やPD-L1抗体などライフサイクルマネジメントを行う限られた品目が該当するとみられている。

一方で、薬価差が生じる品目としては、後発医薬品が該当する可能性が強いとみられている。後発医薬品については、初収載の価格引下げなども諮問会議の民間議員からあがっており、価格の下落への圧力が増す。これを読み解けば、イノベーションへの評価が必要な新薬市場に対し、長期収載品、後発医薬品ではさらなる低価格市場にシフトすることが想定される。特に低価格市場に対しては、MRなど人的リソースの配置を含めて抜本的に見直すことも必然で、今後の営業体制にも影響を及ぼすことが予想される。


◎毎年薬価改定 加茂谷専門委員「企業の競争力を弱体化」 支払側は実状把握求める



この日の中医協では、毎年薬価改定をめぐり、専門委員の加茂谷佳明氏( 塩野義製薬常務執行役員)は、オプジーボの薬価引下げが決まった11月16日に、日薬連と製薬協が「今回の措置が毎年改定の契機になるようなことがあってはならない」との声明を出したことを説明。「毎年薬価改定が仮に実施されると企業の競争力を弱体化する。日本企業に直撃し、イノベーションの創出や安定供給に支障を生じかねないものと危惧している」と強調した。専門委員の吉村恭彰氏(アステム代表取締役社長)は、「流通の立場から、薬価改定の時期、頻度の変更。医薬品の安定供給に対し重大かつ深刻な影響を及ぼす可能性が高い、慎重に審議をお願いしたい」と反対する姿勢を鮮明に打ち出した。


一方で、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「支払側としては実際にそぐわない価格を払い続けるのはあってはならない」との考えを表明。実際に、薬価と市場実勢価格がどのような形でかい離していくか、実状を把握することの重要性を強調。その上で、毎年薬価改定の必要性を判断すべきとの考えを示した。


◎新薬創出加算の在り方も論点に



もう一つの議論の柱となるイノベーションの推進については、菅官房長官が新薬創出・適応外薬解消等促進加算の強化を求めている。診療側の中川委員は、「新薬創出加算がどれくらい役立っているのかわからない」と指摘。研究開発税制などで、イノベーションは評価すべきとの考えを示した。これに対し、専門委員の加茂谷氏は、「後発品が出てくるなかで、いわゆる新薬の特許期間中に確保していかなければ研究開発を考えられない。新薬創出加算は企業にとって非常に重要だという認識だ」と反論する一幕もあった。


そのほか、この日の中医協では、薬価制度の課題として、10の論点が示された(ダウンロードファイル参照)。①新医薬品の薬価設定、②イノベーションの評価、③外国価格との調整、④後発品の薬価設定、⑤改定頻度、流通価格の把握方法、費用対効果評価の導入を含めた既収載品の薬価設定、⑥効能追加、予想を超えた売上増、流通価格の変化など状況変化への柔軟な対応、再算定の在り方、⑦新薬創出加算の制度の在り方、⑧長期収載品の薬価の在り方、⑨後発品の価格帯、⑩薬価算定プロセスの透明性――をあげた。基本方針策定後、中医協薬価専門部会では、具体的方策について、必要な検討や関係者の意見聴取を行い、取りまとめを行う。
 

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