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中医協総会 敷地内薬局への厳格な評価も視野 18 年度改定の論点に浮上

公開日時 2017/03/30 03:52

厚生労働省は3月29日の中医協総会に、保険医療機関と保険薬局が同一敷地内にある、いわゆる“敷地内薬局”について、調剤基本料の新設も含めて今後調剤報酬の中での位置づけを検討する考えを示した。新たなカテゴリーを定め、門前薬局を上回る厳格な評価を行うことも視野に入れる。診療側の安部好弘委員(日本薬剤師会常務理事)もこの日の中医協総会で、「敷地内にある保険薬局に関しては、今後調剤報酬の考え方の中でどうあるべきか。かかりつけ機能を持たない薬局についてどう評価するかはご議論いただきたい」と述べた。

敷地内薬局は、患者の利便性向上などの観点から、規制改革会議が薬局の構造上の独立性について規制緩和を求め、原則保険医療機関と保険薬局が同一敷地内にある形態も認められた。ただ、出入口を公道から容易に確認できない場合や、休診日に公道などから薬局に行き来できない場合など、実際に医療機関を受診した患者の来局しか想定できない場合は、敷地内薬局と認められない。地方厚生局が、現地の状況から個別に、敷地内薬局に該当するか、判断を行っている状況だ。

一方で、調剤報酬上は現在、敷地内薬局は明確な定義はなく、処方せん回数や集中率などから門前薬局と同等に扱われている。


◎診療側・安部委員 敷地内薬局の実態に「薬剤師としては遺憾、嫌悪」


この日、厚労省が提示した資料では、薬局の特徴として、「かかりつけ薬剤師・薬局」、「門前薬局」、「同一敷地内薬局」、「院内調剤(外来)」に区分。敷地内薬局を門前薬局よりも、かかりつけ機能を有さないと位置付けた。患者の服薬状況を一元的・継続的に把握する“かかりつけ薬剤師・薬局”を推進する中で、特定の医療機関の処方せん集中率の高い、いわゆる門前薬局など、かかりつけ機能を有さない薬局については、調剤報酬点数が引き下げられてきた経緯がある。敷地内薬局についても、門前薬局以上にかかりつけ機能を有さないと判断されれば、厳格な評価をされる可能性が高い。


診療側の安部委員は、厚労省が策定した患者のための薬局ビジョンで“門前からかかりつけ、そして地域へ”を打ち出していることを引き合いに、むしろ門外から門内へとの流れを進める敷地内薬局は、「こういう対応とは真逆と感じている」と指摘。「敷地内の保険薬局を入札で公募して高額な賃貸費用が発生する。処方せん枚数が多ければたくさん請求するという公募まで見受けられる。薬剤師としては遺憾だ。嫌悪すら感じる状態だ」と述べた。保険薬局と保険医療機関は、第二薬局問題などの歴史的経緯を踏まえて構造的・経営的な分離が求められているが、実質的には敷地内薬局では、医療機関と一体的な経営と捉えかねられない実態があることも指摘した。


◎かかりつけ薬剤師指導料 支払側・幸野委員「多剤投与や認知症などの患者要件設定を」


16年度改定で新設された、かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料についての要件などの見直しを求める声もあがった。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「多剤投与や認知症、高齢者など管理しづらい患者になってもらうのが本来の目的だった」と説明。その上で、患者がかかりつけ薬剤師を選ぶべきだが、「現場では、かかりつけ薬剤師を取りに行くという感じになっている」と述べ、制度の趣旨と現場の動きとの間に乖離があると指摘した。

幸野委員は、「多剤を服用している方、頻回に薬局を訪れる方、高齢者、認知症の疑いがある方などの要件を設定するなど、見直しをしていく必要がある。風邪をひいてめったに来ない人がかかりつけ薬剤師の同意をさせられたということは あってはならない」と述べた。


診療側の安部委員も、「普通の薬剤師の薬学管理でも十分管理できる人、若くてあまり病気をしないような患者に算定していることが、調査で出れば制度として歯止めをかける必要があると思う」と述べ、幸野委員に同意した。



◎支払側・花井委員「医薬分業は患者を守る装置として優れている」


そのほか、この日の中医協では、医薬分業の趣旨そのものにも議論が及んだ。かかりつけ薬剤師の普及などを通じて、残薬や重複投与を解消するとの方向性について、診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)は、「医薬分業でなければできないとは到底思えない」と発言。診療側の委員から、かかりつけ医も残薬の解消などに取り組んでいることや、院内調剤の方がかかりつけ機能を果たせるなどの声が相次いだ。

支払側の花井十伍委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は、「本来患者本位であるべき医薬分業という立てつけは、患者を守るために構想されたものだ。処方権と調剤権という役割の中で、患者を守るというのは大前提だ」と説明した。医薬分業は、いわゆる老人病院などで行われてきた薬漬け医療の解消を背景に浸透してきた。一方で、医薬分業が本当に患者のためになっていないとの批判を受けたこともあった。花井委員はこうした経緯を踏まえた上で、「医薬分業は、最初の構想通り患者本位のものにするという(厚労省側の)強い意思がある。医薬分業が患者を守る装置として優れているという前提がある。そこは(診療側、支払側で)共有すべきだ」と事務局である厚労省側に毅然とした対応を求める一幕もあった。
 

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