厚労省は6月9日に新薬の承認の可否などを検討する薬食審・医薬品第一部会を開催する。田辺三菱製薬が承認申請したDPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬の配合剤など6製品を審議する。
【審議予定品目とその内容】(カッコ内は一般名と申請企業名)
▽パルモディア錠0.1mg(ペマフィブラート、興和):高脂血症を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
興和の承認申請時の発表によると、同剤は血中の中性脂肪(トリグリセライド:TG)低下させる核内受容体PPARαを活性化することで効果を発揮するとれさる。国内治験では、TG低下作用とHDLコレステロール増加作用を確認。スタチン製剤との併用試験でも、臨床上問題となる薬剤血中濃度の変化はなく、単独投与と同様に有効性や安全性が確認されたという。
▽ルボックス錠25、同50、同75(フルボキサミンマレイン酸塩、アッヴィ)
▽デプロメール錠25、同50、同75(同、Meiji Seika ファルマ)
:強迫性障害の適応に小児の用法・用量を追加する新用量医薬品。
厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で小児適応の開発が必要とされ、同省から当該企業に開発要請されていた。一物二名称で併売されている。
▽ビプレッソ徐放錠50mg、同150mg(クエチアピンフマル酸塩、アステラス製薬):双極性障害におけるうつ症状を対象疾患とする新効能・新剤形医薬品。
厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で追加適応症について開発が必要とされ、同省から当該企業に開発要請されていた。活性成分は、統合失調症に用いる非定型抗精神病薬セロクエル(製品名)と同じだが、適応症、用法用量が異なるため、別名称で承認申請された。アステラスは、同剤について日本での流通、販売、プロモーションを精神科領域に強い共和薬品に委託する契約を締結している。
▽スピンラザ髄注12mg(ヌシネルセンナトリウム、バイオジェン・ジャパン):乳児型脊髄性筋委縮症を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
脊髄性筋萎縮症は、遺伝的要因により、脊髄や下位脳幹の進行性の運動ニューロンの脱落を特徴とする疾患で、重篤で進行性の筋委縮や筋無力を引き起こす。最も重篤なタイプでは麻痺状態となり、呼吸や嚥下など生命維持のための基本的な身体機能に支障をきたす恐れがある。
同剤は、標的RNAと結合して遺伝子発現を調節するようデザインされた短鎖の合成ヌクレオチド(=ASO(アンチセンスオリゴヌクレチオド))。SMN2遺伝子のスプライシングを変えるようデザインされ、完全に機能するSMNタンパク質の産生を増やす、アンチセンス核酸医薬品。
▽カナリア配合錠(テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物/カナグリフロジン水和物、田辺三菱製薬):2型糖尿病を対象疾患とする新医療用配合剤。
DPP-4阻害薬テネリアとSGLT2阻害薬カナグルの配合剤。この組み合わせの配合剤は承認されれば国内初となる。
【報告予定品目とその内容】(カッコ内は一般名と申請企業名)
報告品目は、PMDAの審査段階で承認が了承され、部会での審議が必要ないと判断されたもの。
▽オルダミン注射用1g(モノエタノールアミンオレイン酸塩、富士化学):胃静脈瘤の適応を追加する新効能・新用量医薬品。現在は食道静脈瘤に対する適応を持つ。
▽ジャドニュ顆粒分包90mg、同360mg(デフェラシロクス、ノバルティスファーマ):輸血による慢性鉄過敏症に用いる鉄キレート剤「エクジェイド懸濁用錠」の新剤形医薬品。
▽リツキサン注10mg/mL(リツキシマブ(遺伝子組換え)、全薬工業):慢性特発性血小板減少性紫斑病を適応に追加する新効能・新用量医薬品。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の検討を経て公知申請された。そのため既に保険適用されている。