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製薬とITなど89社・機関 研究から市販後までAI導入でプロジェクト 日本発技術で研究開発の生産性向上目指す

公開日時 2017/11/08 03:50
医薬品の研究開発支援のためのAI技術開発などを進める、主要製薬企業とIT企業などからなるコンソーシアム「LINC」(Life Intelligence Consortium)の代表で、京都大学大学院医学研究科教授の奥野恭史氏は11月7日、日本製薬工業協会主催のメディアフォーラムで講演し、LINCに89の企業・機関が参加し、創薬研究から市販後までの各段階にAI導入を目指す技術開発プロジェクトが進んでいることを説明した。16年12月からスタートし、3年程度でモデル構築を終え、そのあと産業界に実用化を委ねる。奥野教授は日本発のモデルにすることを強調。現在の13年程度かかる承認までの研究開発期間を、AI導入で9年程度にまで短縮できると試算し、研究開発の費用低減、生産性の向上につなげる。
 
LINCは、ライフサイエンス分野のAI 、ビッグデータ技術を開発することで、関連産業振興と国民の健康寿命の延伸、生活の質の向上を目的に設立。企業は化学やヘルスケア関連のライフサイエンス分野の企業が参加しているが、武田薬品など主要な製薬企業の参加が多い。大学のほか日本製薬工業協会医薬産業政策研究所も参加している。参加費は無料だが、開発への人員拠出は義務で、550人以上が参加、事業規模は厚労省や文科省の資金などで最低5億円程度という。
 
ニーズを持つ企業側がテーマを提案し、アカデミアが間に入って、応じられる技術を持つIT系企業とマッチングする。16年12月中旬に150のテーマ提案を受け、17年6月までに29テーマに絞り込み、創薬研究から市販後までの各段階にAIを導入するプロジェクトがそれぞれ動いている。
 
具体的には、文献情報や公共データベースなどを元に、創薬テーマの創出、標的分子探索、疾患タンパク質に対する化合物の結合予測や化合物設計、非臨床データからのADME予測、治験の効率化、有害事象の情報基盤のほか、プレシジョン・メディシンをにらんだ国産ゲノムによる分子シミュレーションによる抗がん剤反応性予測や創薬も進める。健診データによる発症予測など予防医療分野にも取り組む。
 
奥野教授は、コンソーシアムを3年と期限を区切り、この間に創薬研究から市販後までの各段階へのAI導入モデルの構築を進め、実用化を見据えた基盤をつくる方針。「国益にかかわること」と述べ、日本発技術の確立に意欲を見せた。
 
政策研・森田総括研究員 企業のビッグデータ利活用、データの必要性や成果の説明必要 医療に好循環もたらすエコシステム構築を
 
セミナーでは、日本製薬工業協会医薬産業政策研究所の総括研究員・森田正実氏も講演、「医療健康分野のビッグデータ 期待される活用と課題(2次活用の立場から)」をテーマに話し、利活用する企業に対し、研究、開発、PMS、マーケティング・流通の各バリューチェーンにおける利活用目的を明確にし、必要なデータ、期待される成果を説明し、理解を得ていく必要性を強調した。利活用を推進するには、国のコスト支援、医療現場の負担に見合うメリットの提供、企業の目的・ニーズの明確化と見合った費用負担などの関係者間の協力と成果の医療への還元により、次の利活用に結び付いていくという「継続的な正のスパイラルを回すエコシステムがなければならない」と指摘した。
 
また、森田氏は、患者中心に利活用を想定する場合、ウエアラブル測定デバイスなどを通じた家庭でのバイタルデータ、運動や食事記録、服薬記録などのPHR情報が「健康医療情報ネットワークのキー」との認識を示し、医療機関の電子カルテデータなどEHR情報とPHR情報の統合の必要性を強調。それによって、健康・医療・介護までの個人の情報が生涯にわたって蓄積される「ライフコースヘルスケアデータ」の構築を目指すべき将来像として示した。
 
そのための課題として▽普及が遅れている電子カルテの普及と地域医療情報ネットワーク間の互換性などEHRネットワークの拡大▽PHR情報の二次利用を視野に入れたデータの標準化や測定デバイスの精度評価▽個人データの名寄せが可能な環境整備――などを挙げた。
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