JCHO北海道病院 診療室の会話をAI音声認識システムでテキスト化 電子カルテへの反映も 医療DX推進
公開日時 2026/01/20 04:51
独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)北海道病院は1月19日、診療室における患者と医師の会話をAI音声認識システムでテキスト化し、最終的に電子カルテに反映させる取り組みを開始したと発表した。これまで医師が行っていた電子カルテへの記録時間を削減する一方で、患者への診療(対話)時間の拡大を目的とするもの。実施に際しては、プレシジョン、シーエスアイ、 NTTドコモビジネスが協力する。まずは、総合診療科とその他の内科系専門診療科に先行導入する方針で、将来的には他業務やJCHO グループ病院への展開も検討する。
◎医師の業務負担を軽減し、患者と直接向き合う対話時間を確保
同事業は、厚生労働省の「ICT 機器を活用した勤務環境改善の先駆的取組をおこなうモデル医療機関調査支援事業」に採択されたもの。診察から記録までの一連の業務をAIで包括的に効率化し、医師の業務負担を軽減し、患者と直接向き合う対話時間を確保して、医療の質と患者満足度のさらなる向上を目指す。スキームは、プレシジョンの提供するAI音声認識システム「今日のAI音声認識」とNTTドコモビジネスが提供するスマートフォンを JCHO 北海道病院に導入し、シーエスアイの電子カルテシステム MI・RA・Is V(ファイブ)との連携を進める。
◎生成AIサーバで解析・要点整理し、カルテ下書きを生成
同院の1日平均外来患者数は約620人で、カルテは24時間以内に入力することになっている。今回の取り組みでは、診察室の会話を入力する端末としてスマートフォンを活用し、医療情報保護要件に準拠した院内セキュア環境において AI音声認識システムによりテキスト化を行う。その上で、院内ネットワークに設置したオンプレミス生成AIサーバで解析・要点整理し、カルテ下書きを生成することで、院内で処理が完結する運用を実現する。
すでに米国など海外ではこうした院内システムの導入は進んでおり、LLM を活用した診療記録支援により、記録業務時間が大幅に削減されたとの報告も多数ある。JCHO北海道病院としては、今回の取り組みを通じて、医師による電子カルテ記録時間の削減を図るほか、患者との対話により多くの時間を費やすことによる患者の満足度向上や治療継続へのモチベーションなどに役立てたい考えだ。将来的には看護記録やリハビリ記録など他業務への展開なども視野に入れている。
同院の古家乾院長は、「1台のスマートフォンが医療者と患者の間の自然なコミュニケーションを保ちつつ、リアルタイムで場所や時間に捉われない正確な診療記録、診療行為、SDM(共同意思決定)、ACP(人生会議)の記録などをエスコートできる日が来ると期待している」とコメントした。