中外製薬 長期収載品13製品の製造販売承認を譲渡、太陽ファルマに212億円で
公開日時 2017/11/15 03:52
中外製薬は11月14日、抗がん剤フルツロンやセフェム系抗生物質製剤ロセフィンなど長期収載品13製品の製造販売承認について、太陽ファルマに譲渡することで同日に合意したと発表した。中外は2018年1月に譲渡益として212億8000万円を受け取る。中外は長期収載品の譲渡により新薬事業に注力する。18年4月から順次、中外から太陽ファルマに製造販売承認を譲渡し、18年末までに終了させる。
譲渡する長期収載品は、▽バクトラミン(合成抗菌薬/カリニ肺炎治療薬)▽ジゴシン(ジギタリス配糖体製剤)▽オイグルコン(経口血糖降下薬)▽フルツロン(抗悪性腫瘍薬)▽グリセオール(頭蓋内圧亢進・頭蓋内浮腫治療薬/眼圧降下剤)▽カイトリル(5-HT3受容体拮抗型制吐剤)▽マドパー(パーキンソニズム治療薬)▽塩酸プロカルバジン(抗悪性腫瘍薬)▽ピドキサール(活性型ビタミンB6製剤)▽レスプレン(鎮咳・気道粘液溶解剤)▽リボトリール(抗てんかん薬)▽ロセフィン(セフェム系抗生物質製剤)▽チガソン(角化症治療薬)――。16年の売上は計116億円。
中外としては、これだけの規模の長期収載品を一度に譲渡するのは初めて。譲渡理由は、「イノベーションをもたらすための活動により一層注力するべく、長期収載品を譲渡することにした」と説明した。譲渡対象製品の選定理由は開示していない。中外はこれまでに太陽ファルマやその親会社の太陽ホールディングス(HD)とビジネスを展開したことはないが、「(太陽の)今後の事業計画を検討した結果、譲渡先として最適と判断し、パートナーとして選んだ」(中外広報部)としている。
18年末までに全製品の譲渡を完了させる予定だが、医薬品の安定供給に鑑み、しばらくは中外製品が流通する。
■太陽ファルマ コントラクトMR60人体制で展開
太陽ファルマは8月2日に設立した製薬企業で、主に長期収載品と後発医薬品を扱う方針。親会社の太陽HDはプリント配線板用部材事業への依存度が高く、新規事業として太陽ファルマを立ち上げ、医薬品事業に参入することにした。今回の長期収載品の譲受が、太陽ファルマとして扱う初の製品となる。
太陽ファルマは今後も長期収載品の譲受を進め、製品ラインナップを充実させる。ただ、今後の具体的な計画は開示していない。情報提供活動はコントラクトMR約60人で行う。