【World Topics】トランプ政権がオバマケア容認
公開日時 2018/06/12 03:50
6月7日、トランプ政権は、テキサス州連邦裁判所において「今後、トランプ政権はAffordable Care Act(いわゆるオバマケア)をめぐる違憲立法審査などの訴訟については公判を維持しない」と述べ、同日、司法長官Jefferson B. Sessions III名で、趣旨と方針を説明するレターを上下両院の議長あてに送付した。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
https://www.justice.gov/file/1069806/download
3ページにわたる司法長官のレターは、当該のテキサス州の訴訟について、テキサス州が主張する「州民個々人に医療保険購入の義務を課すことの違憲性」については原則として同意するが、「ペナルティを支払ってオプトアウトできるとの条件がなければ違憲であるが、この条件がある限り違憲ではない」とし、さらに、これはすでに司法判断のついた議論であってこれ以上争う必要がないとの見解を述べ、同様の違憲立法審査請求訴訟については今更争う必要のないものと判断するとし、今後は連邦予算を支出しない(すなわち連邦政府としては公判を維持しない)と通達した。
あらためていう言うまでもなく、違憲立法審査の訴えは共和党支持者が多数を占める州で提起されているものであり、司法判断を求めるという法廷闘争の形をとった共和党内のオバマケア反対派による政治闘争だ。したがい、米国では、トランプ政権がこれらの法廷闘争を維持しないとし牽制したという事実は、すなわち、トランプ政権が実質的にオバマケアを容認・推進するとの意思表明をしたことと同義であると受け止められている。