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自民党・外用貼付剤勉強会設立 基礎的医薬品としての拡充も視野に

公開日時 2018/06/28 03:50

自民党の「我が国の誇る外用貼付剤の推進に関する小委員会」は6月27日、都内で設立総会を開いた。貼付剤をめぐっては、いわゆるOTC類似薬の保険外しの焦点となっているほか、長期収載品が多いことから18年4月実施の薬価制度改革の影響も強い。18年度薬価・診療報酬改定では、外用貼付剤の最低薬価も新設されたが、業界内では、薬価を維持する“基礎的医薬品”としての位置づけを求める声があがっており、こうした視点も視野に検討が進むことになりそうだ。

貼付剤をめぐっては、貼り心地など患者の使用感が処方の決め手となり、後発品の置き換え率が低いことなども指摘されている。実際、18年度薬価改定で新設された長期収載品の薬価引下げルール、いわゆるG1、G2ルールが導入されたが、外用貼付剤はすべて"C"(置き換え比率が低く、G1、G2による引下げを受けない品目の補完的引き下げ)に該当している。

市場は2016年度改定で貼付薬の70枚処方制限を設けられたことなどを受けて縮小傾向で、13年度の1890億円をピークに17年度には1500億円規模となっている。こうした状況を踏まえ、勉強会では、貼付剤が「厳しい状況に置かれている」と指摘した。

18年度薬価・診療報酬改定で制度化された基礎的医薬品は、過去3回の薬価調査において平均乖離率が2%以下であった薬効が対象とされており、貼付剤はこの中に含まれていない。長期収載品も多いことから、薬価の引下げが大きな影響を与えているとの声もある。勉強会では、「安定供給確保のための薬価制度」を論点のひとつに掲げており、基礎的医薬品の中での位置づけも含め、薬価維持に向けた議論がなされることとなりそうだ。

また、6月15日に閣議決定された、政府の経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)にも「市販品と医療用医薬品との間の価格のバランス」を考慮し、薬剤の自己負担引き上げを検討するとされている。今後医療保険財政への圧力が厳しさを増す中で、「将来にわたる保険給付の堅持」についても議論する。

外用製剤協議会の藤岡実佐子会長(帝國製薬社長)は、「国民の健康増進、健康寿命伸長のために外用貼付剤は医療用医薬品としてなくてはならない」と述べ、理解を求めた。


◎経皮投与型ワクチンなど次世代型貼付剤への期待も


貼付剤には、患部への直接効果が期待でき、全身性の副作用が起こりにくいなど、内服薬と異なる特徴がある。食事に関係なく使用が可能で全身性作用を期待する製剤が登場するなど、技術革新もある。こうした中で、「有用性に対する正しい理解が広がっていない実情がある」ことも指摘した。すでにアジアや欧米など海外に販路を開く企業もある。さらにマイクロニードルなどによる次世代型貼付剤(経皮投与型ワクチンなど)の実用化も期待されており、イノベーションの評価・促進などについても議論する。

勉強会は、自民党厚生労働関係議員と内資系製薬企業などで構成される「製薬産業政策に関する勉強会」(会長:衛藤晟一参院議員)の下部組織に位置付けられる。最高顧問に尾辻秀久参院議員、会長に野田剛衆院議員、幹事長に田村憲久衆院議員、事務局長に渡嘉敷直美衆院議員が就いた。勉強会にはこのほか、厚労省の橋本泰宏大臣官房審議官(医薬品等産業振興担当)ら、日本臨床整形外科学会の新井貞男理事長らが出席した。勉強会では今秋をめどに提言を取りまとめ、親会の製薬産業政策に関する勉強会に提案する方針。

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