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PhRMA・ジョンソン委員長 中国への投資拡大で日本政府を牽制 2019年は「軌道修正の年」

公開日時 2019/02/08 03:52

米国研究製薬工業協会(PhRMA)のパトリック・ジョンソン在日執行委員会委員長は2月7日、次期薬価制度改革や費用対効果評価の本格導入を見据え、「2019年こそ軌道修正する年だと考えている」と強い口調で語った。ジョンソン会長は、中国でビジネス環境の整備が進んでいることを引き合いに、日本への投資メリットが相対的にも減少していると指摘した。国際競争に打ち勝ち、イノベーションを創出するために、「継続的に投資が集まる場所になる」ことが必要との考えを表明。新薬創出等加算の見直しなどで「イノベーションが実現できる条件を世界最高のもの」とすることの重要性を強調した。これにより、健康長寿社会の実現や、日本経済へも貢献できるとの考えを示した。

◎日本は「選択すべき時を迎えている」

今後5年間(2019~23年)の市場動向をみると、欧米や中国では5%前後の成長が見込める一方、日本は主要市場のなかで唯一、マイナス成長の可能性がある。中国では知的財産権の基準変更などでビジネス環境の整備にも取り組む。巨大マーケットであることも相まって、すでに次世代医療を牽引するCAR-T細胞医療の治験数では欧米を大きく上回るなど、世界中の投資が集まりつつある。ジョンソン会長は、「日本は必ずしも投資先のリストの上位には含まれない」と指摘。そのうえで、「日本は、革新性を求めるべきか、選択すべき時を迎えている」として、日本政府に決断を迫った。

イノベーション加速に向けた優先的な施策としては、新薬創出等加算の要件見直し、リアルワールドデータ(RWD)や先駆け審査指定制度などの規制改革に加え、4月に本格導入される費用対効果評価をあげた。費用対効果評価では特に、増分費用効果比(ICER)のみで判断する点を問題視。「医薬品の社会的側面を評価」することを求めた。さらに、患者団体を含めたステークホルダーが議論に参画する必要性を強調。世界の経験を踏まえた”ベストインクラス”の費用対効果評価を実施すべきと訴えた。ジョンソン会長は、イノベーションへの投資加速こそが「日本の健康長寿社会の実現という目標に貢献するために最大の価値を提供できる方法だと考えている」と述べた。

◎費用対効果評価に患者の声を


この日の会見では、国内外のアカデミアや医療経済学者、患者団体などを交えたパネルディスカッションも行われた。英国医療経済研究所(OHE)のエイドリアン・タウズ名誉理事・上席研究員はカナダでは製薬企業と同様に患者団体がエビデンスを提出していることを紹介。費用対効果評価での意思決定に患者団体が参画する重要性を指摘した。

患者の立場で登壇した、一般社団法人日本希少がん患者会ネットワークの眞島喜幸理事長は、費用対効果評価に用いるICERの閾値が定められることに、「国民が理解したうえで、決めていただきたい。そのようなディスカッションがないままに決められることはいかがなものか」と指摘した。希少がんなどで個別化医療が進むなかで、検査が保険適応とならずに治験に参加できないこともあり、依然として”ドラッグ・ラグ”を患者の立場では感じることも語った。そのうえで、「患者は革新的新薬を求めている」として、新薬創出に向けた環境整備を求めた。

中央大学大学院戦略経営研究科の真野俊樹教授(多摩大学大学院特任教授)は、「ヘルスケア分野も、産業的視点を無視できなくなってきている」との考えを表明。個別化医療の進展など医療の在り方が変化するなかで、「旧来型の社会保障の枠組みを変えないといけない」と述べた。

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