厚生労働省は、4月19日に新薬の承認の可否などを検討する薬食審・医薬品第二部会を開催する。部会では、日本イーライリリーの抗EGFR抗体で非小細胞肺がん治療薬として承認申請したポートラーザ点滴静注液など2製品を審議する。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽ポートラーザ点滴静注液800mg(ネシツムマブ(遺伝子組換え)、日本イーライリリー):「非小細胞肺がん」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
承認されれば、非小細胞肺がん治療薬としては初の抗EGFR抗体となる。
▽イナビル吸入懸濁用160mgセット(ラニナミビルオクタン酸エステル水和物、第一三共):「インフルエンザウイルス感染症」を対象疾患とする新剤形医薬品。
イナビルは、純国産の長時間作用型ノイラミニダーゼ阻害剤。2010年10月から販売され、現在は、「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療及びその予防」を効能・効果としている。既存薬も吸入剤だが、同剤はネブライザーに懸濁した薬液を投入し、霧状にし、自発呼吸で薬剤を吸い込めるよう設計した薬剤。小さい子どもや肺機能が悪い患者に使いやすくする。
アバスチンのバイオ後続品登場へ ファイザー申請
【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽ベバシズマブBS点滴静注用100mg、同400mg「ファイザー」(一般名:ベバシズマブ(遺伝子組換え)[ベバシズマブ後続1]、ファイザー):「結腸・直腸がん」を対象疾患とするバイオ後続品。
中外製薬の主力抗がん剤アバスチンのバイオ後続品で、承認されれば第一号。先行品は、非小細胞肺がんや乳がんなどの適応も持つが、今回の申請は結腸・直腸がんのみ。
▽アクテムラ点滴静注用80mg、同200mg、同400mg(トシリズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「成人スチル病」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
成人スチル病は、国の指定難病で、自己免疫疾患の一つとされる。通常16歳以上で発症する疾患を「成人発症スチル病」と呼ぶ。39度以上の発熱、関節炎、淡いピンク色の皮疹の3つの症状を主徴とする。白血球中の単球やマクロファージが炎症性サイトカインを大量に産生することで、体内に強い炎症が起こると推定されている。同社によると、副腎皮質ステロイドを用いた炎症の抑制が標準治療となっているが、ステロイド抵抗性の難治例に対して保険適用のある薬剤がなく、アンメットメディカルニーズの高い疾患だという。
▽ジェムザール注射用200mg、同1g:(ゲムシタビン塩酸塩、日本イーライリリー):「非小細胞肺がん」を対象疾患とする新用量医薬品。
今回の申請は、審議品目に上がっているポートラーザと使うことを前提としたもので、同社が公知申請した。
▽ポマリストカプセル1mg、同2mg、同3mg、同4mg(ポマリドミド、セルジーン):多発性骨髄腫において、デキサメタゾンとボルテゾミブとの3剤併用の用法・用量を追加する新用量医薬品。希少疾病用医薬品。
現在承認されているのはデキサメタゾンとの2剤併用。3剤併用で再発患者の治療選択肢を増やす。
▽ゲンボイヤ配合錠(エルビテグラビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩、日本たばこ産業):HIV感染症において、小児適応の範囲を広げる新用量医薬品。希少疾病用医薬品。
4成分配合の抗HIV薬。既存の小児適応では「体重35kg以上」としているが、より軽い体重の小児にも使えるようにする。