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【FOCUS CSOは転換期に ソリューション事業化へ向け買収・協業に動く】

公開日時 2019/05/09 03:52
CSOのコントラクトMR(CMR)に対する需要低迷が続いている。製薬企業のMR数抑制が主な要因だ。市場の主力品が、生活習慣病薬などのプライマリーから抗がん剤や希少疾病用薬などのスペシャリティに変わり、MRの大量動員によるSOV型営業の脱却が進む。CSOは継続的なCMRの大規模受託が望みにくい環境にある。CMR派遣を成長エンジンとしたCSO事業は転換期を迎えている。ここに来て、EPSホールディングスが2月末に、IQVIAサービシーズジャパンが3月末に同業の事業を買収。4月にはシミック・アッシュフィールドが、製薬企業向けCRM大手のVeeva Japanと協業を開始した。これら動きの背景にはCMR派遣に頼る既存事業に対する危機感がある。買収、協業は、顧客基盤の強化とともに、提供サービスの多様化を図り、ソリューション事業へ転換を狙ったものだ。それにより製薬企業が進める営業改革に伴い多様化するニーズの取り込みを図る。

◎MR派遣だけでは成長しにくく

需要の低迷は、CMR数の減少傾向に見ることができる。日本CSO協会(JCSOA)の調査によると、2018年のCMR数は、ピークだった14年と比べ約1000人減の3110人。11~12年の水準である。JCSOA会員社数は11年発足時には9社あったが、19年4月時点では6社まで減った。

JCSOAは22年までには、全MR数に対するCMRの割合が10%程度になると予測しているが、18年現在で約5%。JCSOA幹部は、将来的には10%に達するとしつつ「アウトソースに動くスピードと製薬企業がMRを減らすスピードの読み方は難しい。数年は紆余曲折すると思う」と、明確な見通しを示していない。EPS、IQVIAにCSO事業を売却した側には、MRを大量動員するSOV型営業の必要性が薄れ、CMR派遣に頼った事業では成長が望みにくいという判断がうかがえる。

その中での大手3社の買収、協業は、CMR派遣に加え、製薬企業が直面する課題に対し、サービスの幅を広げ、ソリューション事業化することで生き残りを図る動きといえる。国内市場の停滞の中で製薬企業は、新薬の研究開発に重点投資し、販促・販売にかける人員、費用は圧縮せざるを得ない。効率的で生産性の高い営業体制の構築が迫られている。そこに、地域完結型医療体制へのシフトによる販売情報活動の変化、適正使用の徹底の動きが加わる。しかし、それら事業環境に対応する製薬企業の営業体制の再構築はなお途上にある。そこを見据え、複数のCSO経営幹部は「CSOへのアウトソースが本格化する時期が迫っている」と話す。

今回動いたCSO各社は、既存のCMR派遣に加え、リモートディテール、コールセンター、メディカル職、医療従事者教育支援、アドヒアランス支援など多彩なメニューを揃えることで、製薬企業の課題に応えたい考えだ。応えるには、より高度な人材も必要であり、人材を研ぎ澄ます事業を選ぶ道もある。ただ、必要なサービス開発を単独で行うには時間もコストもかかる。各社が買収や協業に動いたのは、いち早く人材と多彩なメニューを取り揃えるとともに、顧客の拡大を図ることに狙いがある。次の商機への備えである。

◎CRO・CSO融合ソリューションで生き残り

その中で大手CSO各社はグループの総合力を活かす。IQVIAサービシーズジャパン、EPSホールディングス、シミック・アッシュフィールドの3社に共通するのは、CROを持つ大手アウトソーシンググループであるということだ。CSOサービスの多様化だけでなく、新薬開発からマーケティング、PMSと、総合的なソリューションをワンストップで提供する事業を目指している。

CSO最大手のIQVIAサービシーズジャパンは、「CSO」「CRO」といった従来のカテゴリーに捉われず、グループの総合力によるソリューション提供が事業戦略だ。欧米の経験では、製薬企業の営業リソース削減でCSO市場も縮小したが、底を打った後に拡大に動いた。日本もいずれ同様に推移すると見る。その際にはCMR派遣以外に、医療従事者教育支援や在宅支援、旧IMSの資産であるデータやコンサルティング機能を一体化したサービスなど多様なサービス提供が強みになると考えている。IQVIAグループは、リアルワールドデータ活用によるPMS支援もメニューに揃える。3月末の約130人のCMRを擁するビーアイメディカルのCSO事業買収は、MRの積極採用を伴った成長戦略の一環と説明する。しかし、目指す事業に必要なサービスを全て揃えたわけではない。今回の事業譲渡には含まれなかった、ビーアイメディカルの強みである「コンタクトセンター」事業との連携については協議を続けており、サービス拡充を視野に入れる。

EPSホールディングスは、CROとCSO事業を行うACメディカルを2月末に買収した。EPSグループは「顧客の経営的なニーズに立って種々のサービスを統合化」をうたう。グループのCSOにはESリンク、EPファーマラインがあり、ACメディカルのCMR、知名度、顧客基盤を活かす考え。そこに強みであるDIやコールセンター、PMSなどと組み合わせたマルチチャネルサービスの提供拡大、新たなサービス創出を目指す。

シミックホールディングスも、研究、開発、製造、販売までの「製薬企業のバリューチェーンの総合的支援」を掲げる。その中でシミック・アッシュフィールドは、製薬企業のニーズ多様化を見据え、総合的ソリューションの提供を目指す。約600人からなるCMRの派遣事業のほか、複数社の非競合品をディテールするシンジケートサービス、セールスチームの完全委受託、リモートディテールなど、ニーズに合わせて組み合わせたサービス提供を進める方針。4月に開始したリモートディテールにおけるVeevaとの協業もこの一環。Veevaは製薬業界で広範な顧客基盤を持ち、顧客拡大を図るには魅力だ。Veevaのリモートディテールアプリケーションを効果的に活用するため、シミックが持つコミュニケーションスキルトレーニングなどのノウハウによって導入から運用までを支援する。それによって互いに顧客の取り込みを図る協業といえる。
(酒田 浩)

<訂正>(5月9日午前10時)
下線部の社名に誤りがありました。正しくは「ESリンク」です。訂正いたしました。
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