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日医工・田村社長 国の後発品数値目標、金額ベースも「当然出てくる」 一定数量供給できる企業が生き残る

公開日時 2019/05/15 03:51
日医工の田村友一社長は5月14日、東京都内で開いた新中期経営計画の説明会で、「日本の後発品市場はまだ拡大すると確信している」と強調した。後発品の数量シェアが80%時代に入るなか、田村社長は国の政策目標として後発品の金額ベースの数値目標が「当然出てくる。必要になる」と見通した。欧米では数量、金額とも80%超となっているが、日本は現在、数量ベースで80%程度、金額ベースで40%程度という。医療費の適正化水準をよりわかりやすく、また明らかにするため後発品の金額ベースでの数値目標が出てくるとの見方を示した格好だ。

田村社長は、後発品の数量シェアが80%超になると、次は後発品のない成分の先発品をターゲットに、いかに同種同効の後発品に置き換えていくかとの方向になると見通した。そして、「この原動力となるのは、地域包括ケアシステムと地域フォーミュラリの進展だと考えている」と述べ、数年内には目に見える動きがあると指摘した。新中期計画の中でも地域包括ケアへの取り組みを促進することを基本戦略のひとつに据えている。

これまで聖マリアンナ医科大学などで病院経営などの観点から院内フォーミュラリが進められてきたが、これをエリアに拡大しようという動きが急速に全国へ広まっている。地域包括ケアシステム時代に突入し、多職種が薬物治療にかかわるなかで、エリアで標準的な薬物療法を確立する重要性が高まっている。
後発品使用促進や病院経営の観点のみならず、エリアで治療成績を底上げする狙いがある。各地域に広まるこうした動きは、品揃えを武器とするジェネリックメーカーにとってはビジネスチャンスの一つだ。

田村社長は今後生き残る後発品メーカーについて、「競争力のあるジェネリック医薬品を一定の数量供給可能なメーカーのみ必要になる」と述べ、多くの後発品を安定供給できる企業のみ生き残ると指摘した。取扱数量が増えるほどコスト削減も期待できる。毎年薬価改定で収益力が継続的に下落するなかで規模拡大の重要性も示した形だ。

■新中計 3年間で150億円以上のコスト削減へ

新中期計画は21年度を最終年度とする3か年の計画。グローバルな「連繋力」で新しいバリューチェーンを構築し、“グローバル総合ジェネリックメーカー”になることを目指す。田村社長は、「国内はもとより、海外を最重点に展開していきたい」と話し、特に16年に買収した米セージェント社によって米国でバイオシミラー(BS)の承認取得と市場参入を果たしたい意向を示した。自己免疫疾患用薬インフリキシマブBSを米国で20年に申請し、21年の上市を計画している。

最終年度の海外売上目標として600億円(19年3月末で355億円)を掲げた。連結売上目標は開示していない。コスト削減にも取り組み、3か年の累計で150億円以上の削減を目指す。取扱数量増によるコスト削減、原薬の複数化、原薬調達ルートの変更などで達成する。また、注射用抗菌薬セファゾリンナトリウムの欠品問題を受けて、原薬複数化比率を自社製品の70%(同45%)に引き上げることにも取り組む。

■BSや抗がん剤GEのラインナップ強化 

新中期計画では▽事業領域のさらなる深化/進化▽徹底したオペレーション最適化の追求▽グローバル水準の品質確保、競争力強化▽ESG活動を基盤としたライフサイエンス企業としての信頼確保――の4つの基本戦略を推進する。

このうち事業領域の深化/進化では、BSや抗がん剤ジェネリックの製品ラインナップ拡充や、地域包括ケアへの取り組み促進、ビジネスパートナーとの戦略的提携の促進に取り組む。オペレーション最適化の追求では、国内後発品市場内で金額ベースで15%を占める国内最大ジェネリックメーカーとしての調達力・生産力を生かしたコスト削減、収益基盤の再構築に取り組む。19年4月に日医工100%子会社となったエルメッド社(旧エルメッド・エーザイ)との重複品目の統合作業、原薬最適化などを進め、今後3年間に25億円のコストシナジーを出す。

■19年度 エルメッド統合効果で増収増益見込み

日医工は19年3月期(18年度)決算を発表した。連結業績は売上1665億円(前期比1.1%増)、営業利益82億円(同20.2%減)の増収減益だった。▽18年4月の薬価改定で同社として12.6%の引下げを受けた▽米国での価格競争▽米セージェント社が所有する無形資産で想定されていた収益が見込まれなくなったため29億円の減損損失を計上した――ことが収益に響いた。

日本の売上は1308億円(同1.8%増)、米国の売上は317億円(同1.0%減)だった。

19年度の連結業績は売上2010億円(同20.7%増)、営業利益85億円(同3.4%増)――を見込む。この増収増益の計画はエルメッドの統合効果が主因となる。


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