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東和薬品・吉田社長 18年度に売上1000億円突破 スズケン、東邦との協業で“新規開拓”成功

公開日時 2019/05/16 03:50
東和薬品の吉田逸郎社長は5月15日、東京都内で開いた2019年3月期(18年度)の決算説明会で、18年度に売上1000億円を突破したことについて、特に医薬品卸との協業が奏功したとの認識を示した。17年度からスズケン、東邦薬品との協業を開始。東和単体の売上に占めるこれら卸ルートでの売上シェアは、17年度の12.5%が18年度に22.4%まで上昇した。従来の直販体制ではカバーできなかった顧客を、卸が「新規開拓してくれた」(吉田社長)ことが好業績につながった。また、吉田社長は“健康”をキーワードにした新規事業を創出することにも意欲を示した。

吉田社長は、卸との協業を始めた経緯について、「これまでの直販体制では(競合他社と比べて)カバー率が低かった。加えて、国のジェネリックの使用促進のスピードは非常に速く、直販体制ではカバーが追いつかない」と判断したと振り返った。スズケンや東邦には、その得意先に東和のジェネリック(GE)を1品ずつ販売してもらったという。スズケンや東邦にとっては従来の得意先への販売・納入、東和にとっては新規開拓となった。

東和の内藤泰史・営業本部長は、卸ルートの売上シェアの内訳について、「東邦薬品、スズケンの両社とも同じような形で推移した」と説明した。そして、「両社とも優良な得意先に東和製品を入れてもらったと実感している」と話すとともに、今後も卸ルートは両社との協業で進めていきたい意向を示した。

■3か年の中期計画 初年度に売上目標達成


東和の18年度連結業績は売上1051億400万円(前年度比12.5%増)、営業利益159億6800万円(同37.1%増)――と2ケタの増収、営業増益だった。原価率は54.0%で、18年4月に薬価改定があったものの、数量増などで前年度から0.1ポイント増にとどめた。特に17年度追補品のミカルディスファミリーのGE、セイブルGE、オルメテックOD錠のGEが業績に寄与した。取引軒数は保険薬局が約5万4500軒、病院が約6900軒、院内調剤がある診療所が1万4300軒。

東和は18年5月に18年度~20年度の3か年の中期経営計画を発表し、最終20年度の売上目標は「1000億円達成」としていたが、初年度で計画を達成してしまった。

19年度は売上1110億円(5.6%増)、営業利益145億円(9.2%減)、原価率55.9%(1.9ポイント増)――を見込む。10月に消費税率引き上げに伴う薬価改定、20年4月に通常の薬価改定と1価格帯への集約が予定されており、後発品業界はより厳しい環境になる。

なお、東和は19年6月追補の新製品として、ゼローダGE、ロナセンGEの2成分4品目の上市を計画している。

■“健康”をキーワードに新規事業

吉田社長は説明会で、コア事業に国内GE事業を据えつつ、新規市場への進出や新規事業の創出に積極的に取り組むとの経営方針を示した。国を挙げて健康寿命の延伸に向けた検討がなされていることから、同社としても“健康”をキーワードに、「健康を一番の基礎において、新規事業を考えたい」と話した。例えば未病に対する貢献や、健康の維持・増進に資する取り組みを検討していくという。

すでに人口減少社会に突入し、人口構造は2025年以降、高齢者の急増から、現役世代の人口の急減との新たな局面に変化する。国は現在、国民の健康寿命を3年以上延伸させ、社会全体の活力の維持と、社会保障制度の持続可能性を確保するねらいだ。吉田社長は、「健康に貢献する」との企業理念と国の政策の方向性、そして日本での後発品の使用促進政策がいつまで続くのかとの危機感もあいまって、健康ビジネスを新たな事業の柱にするべく準備をしていく意向のようだ。

このほか、新規市場への進出について、「医薬品でとなれば、米国ということではないが、日本以外で可能性があるところを検討している」と話すにとどめた。
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