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中医協 新薬創出等加算品を比較薬とした類似比較方式1算定 各側見直し求める

公開日時 2019/09/12 03:52
中医協薬価専門部会は9月11日、新薬創出等加算対象品目を比較薬とした場合の薬価算定について議論した。現行制度では、新薬創出等加算の対象でない品目であっても類似薬効比較方式1で算定された場合は、新薬創出等加算の累積額を控除されていない類似薬で算定されることになる。この日の中医協薬価専門部会では、診療・支払各側ともに見直しの必要性について言及した。支払側は、既収載品で有用性を認められたケースや新薬創出等加算の適用になるケースがあることも指摘。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、新薬創出等加算と、収載後に評価される革新性・有用性の評価について、「セットで考えて結論を出すべきではないか」との意見を繰り広げた。

2018年度薬価制度抜本改革で、新薬創出等加算の対象外であって類似薬効比較方式Ⅱで算定される医薬品については、比較薬の新薬創出等加算の累積加算額を控除して薬価算定を行うように変更した。一方で、類似薬効比較方式Ⅰについては、企業への影響を考慮し、20年度改定まで従来の取り扱いとした。それとともに、20年度改定時までに見直しを検討することとしている。6月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)にも、課題として明記され、結論を得ることとされていた。

◎比較薬と比べ平均で9~11% 最大17%薬価が低くなる可能性も


厚生労働省は中医協に、2018年4月から19年5月までに類似薬効比較方式Ⅰで算定された医薬品52品目のうち、新薬創出等加算の対象外で、かつ比較薬が新薬創出等加算の対象が11品目あったと説明。仮に、累積額を控除して新薬の算定を行う場合比較薬との間に平均で9~11%、最大で17%薬価が低くなる可能性があると説明した。

◎診療側・松本委員 効追ない場合は「累積加算相当額を差し引くのが妥当」


診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、比較薬と一日薬価合わせする現行ルールについて、「市場での公正な競争を確保する上でも、これまで積み上げてきた薬価算定ルールの基本的な考え方だと理解している」との見解を表明。そのうえで、比較薬とされている医薬品も新薬創出等加算の要件から外れた時点で、累積加算額が控除される。そのため、「収載時に累積加算相当額を差し引くことが良いかは議論のあるところだが、少なくとも収載後一定期間経過するまでの間に、新薬創出等加算の対象となる効能や小児効能など、医療上必要な効能が追加されない限りは、累積加算相当額を差し引くのが妥当」と述べた。

◎支払側・吉森委員「累積加算を控除して薬価算定を行うのが自然」


一方、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、「基本的には新薬創出等加算の対象外である以上、累積加算額を控除して薬価算定を行うのが自然だ」と述べ、類似薬効方式Ⅱと同様の対応を求めた。また既存薬との価格差を課題とする点について、「算定方式は仕組みとして限界があるのではないか。対処療法的に対応するのではなく、算定方式の考え方を根本から見直す必要があるのではないか」と述べ、妥当性・合理性のある制度設計を求めた。

支払側の幸野委員は、新薬創出等加算には企業要件があることから、「企業要件も入っている新薬創出等加算は除外して算定すべきということが理屈として正しい」と制度上の矛盾を指摘。そのうえで、「ポテンシャルの高い収載薬であれば、新薬創出等加算を除外していても効能追加の時点で、新薬創出等加算の対象になる、収載時に除外してつけても後で評価されることになる」との見解を表明。「新薬創出等加算の比較薬をどうするかという議論と、既収載品の有用性をどうするかとセットで考えて結論を出すべきではないか」と続けた。

◎効能追加での有用性への評価「新規収載時と同等にすべきでない」

この日の中医協薬価専門部会では、既収載品に対して有用性加算が適用されるような高い臨床上の有用性を示す効能追加があった場合について評価することについても議論。「市場拡大することを考えると、新規収載時と同等に評価するべきではない。新規作用機序で、既存治療に対する有用性が客観的に示されている場合に限定するなど慎重な検討が必要だ」(診療側・松本委員)などの意見があがった。

同省の資料によると、2011~17年度に類似薬効比較方式Ⅰで算定された医薬品186品目のうち、19年3月までに効能追加などがあった件数は76件。過去5回の薬価改定時に希少疾病にかかわる効能追加などで加算の対象となった38品目のうち、類似薬効比較方式Ⅰで算定された品目は13品目あったが、類似薬効比較方式Ⅱで算定された品目で加算を受けた品目はなかった。

◎支払側・幸野委員 効能追加での評価 比較薬の新薬創出等加算除外は「最低限の条件」

支払側の幸野委員は、効能追加による革新性・有用性の評価について、「収載時に有用性を評価されているのに対して、効能追加で評価することはより高く評価することになる。収載時に比較薬が新薬創出等加算になっているものは除外するというのが最低限の条件になる」と述べた。
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