エーザイとバイオジェン エレンベセスタットのフェーズ3中止 共同開発のアルツハイマー薬は1剤に
公開日時 2019/09/17 03:52
エーザイと米・バイオジェンは9月13日、早期アルツハイマー病の適応取得を目指して開発中だったBACE阻害薬・エレンベセスタットの臨床第3相試験を中止すると発表した。独立安全性データモニタリング委員会(DSMB)は、安全性レビューでベネフィットがリスクを上回ることはないと判断。試験中止の勧告に至った。両社は3月にも、アデュカヌマブの開発中止を発表しており、アルツハイマー治療薬の適応取得を目指して共同開発を進める臨床後期の候補物質はアミロイドβタンパク質(Aβ)プロトフィブリル抗体「BAN2401」のみとなった。
エレンベセスタット(開発コード:E2609)は、酵素BACE を阻害することで、Aβの産生を低下させ、脳内のアミロイドプラーク形成を減少させる。これにより、早期アルツハマー病の進行を抑制する疾患修飾作用を有すると期待されていた。
中止するのは、同一プロトコルのMISSION AD1(301試験)およびMISSION AD2(302試験)の2試験。対象は、Aβの蓄積がバイオマーカーで確認されている軽度認知障害(MCI)および軽度認知症と断された早期アルツハイマー病患者2100人。24か月投与し、プラセボ群と二重盲検下で比較する計画だった。日本のほか、欧米などで患者登録がなされていた。これにともなって、臨床第2相試験(202試験)の長期継続投与試験も中止する。
米国では、ハーバード大などに拠点を置くコンソーシアムAlzheimer's Clinical Trials Consortium(ACTC)がアルツハイマーの発症予防に関する臨床試験(A3試験)を計画。同剤が評価対象薬に選定されているが、中止するかは現時点では未定としている。
◎BAN2401の開発に注力 アルツハイマー薬で相次ぐ開発中止
アルツハイマー型認知症をめぐっては、米メルクや米イーライリリー、英アストラゼネカ(AZ)などグローバルファーマが開発に乗り出していたが、開発中止が相次いでいる。エーザイとバイオジェンが開発を進めてきたアデュカヌマブについても今年3月、2本の国際共同臨床第3相試験を中止すると発表されている。今回の試験中止を受け、同社広報部は本誌に対し、「βアミロイド仮説を否定するものではないと考えている」と説明。臨床第3相段階にあるBAN2401の開発に注力する姿勢を示した。