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薬食審・第二部会 新薬9製品の承認了承 アッヴィのJAK1阻害薬リンヴォック錠など

公開日時 2019/11/26 04:52
厚生労働省は11月25日、新薬として9製品の承認の可否を審議し、いずれも承認することを了承した。アッヴィの関節リウマチに用いるJAK1阻害薬リンヴォック錠(一般名:ウパダシチニブ)やMSDの新規のHIV-1感染症治療薬ピフェルトロ錠(ドラビリン)などがある。

がん免疫療法薬の抗PD-L1抗体バベンチオ(アベルマブ)と、抗PD-1抗体キイトルーダ(ペムブロリズマブ)について、腎細胞がんの効能追加を承認することも了承された。バベンチオは審議品目、キイトルーダは報告品目。両剤とも、チロシンキナーゼ阻害薬のアキシチニブと併用して用いる。キイトルーダは頭頸部がんの効能追加も報告された。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)

シムジア皮下注200mgシリンジ、同皮下注200mgオートクリックス(セルトリズマブペゴル(遺伝子組換え)、ユーシービージャパン):「既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬及び乾癬性紅皮症」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。

ペグヒト化抗ヒトTNFαモノクローナル抗体Fab断片製剤。TNFαとTNFα受容体との結合を阻害することによりTNFαの生物活性を中和する。シムジアは乾癬に対し、通常、成人には1回400mgを2週間の間隔で皮下注射し、症状安定後は1回200mgを2週間の間隔または1回400mgを4週間の間隔で皮下注射して用いる。

類薬には抗TNFαモノクローナル抗体レミケードやヒュミラなどがある。海外でのシムジアの乾癬適応は、尋常性乾癬は欧米を含む30以上の国・地域で、関節症性乾癬は欧米を含む50以上の国・地域で承認済。

なお、シムジアは現在、「関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」の効能・効果で使用されている。

リンヴォック錠7.5mg、同錠15mg(ウパダシチニブ水和物、アッヴィ):「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

選択的JAK1阻害薬。1日1回の経口投与で用いる。中等度から重度の関節リウマチ患者に対して、従来型合成DMARDとの併用、非併用に関わらず使用できるよう開発された。関節リウマチに用いるJAK阻害薬はゼルヤンツ(トファシチニブ)、オルミエント(バリシチニブ)、スマイラフ(ペフィシチニブ)――の3剤が上市されており、リンヴォックは承認されれば4番手となる。

海外では米国で19年8月に承認された。

オフェブカプセル100mg、同カプセル150mg(ニンテダニブエタンスルホン酸塩、日本ベーリンガーインゲルハイム):「全身性強皮症に伴う間質性肺疾患」の効能・効果を追加する新効能医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

低分子チロシンキナーゼ阻害薬で、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)αβ及び線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)1,2,3及び血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)を標的とする。

全身性強皮症に伴う間質性肺疾患(SSc-ILD)は、全身性強皮症の死因として最も多く、末期病変まで進行した場合には肺移植以外で機能回復は不可能であるため、早期に適切な治療介入を行うことが重要となる。現在SSc-ILDに使用されている薬剤は免疫抑制薬で、オフェブは抗線維化作用を有する初のSSc-ILD治療薬となる。なお、現在は特発性肺線維症の治療薬として使われている。

海外ではSSc-ILDに対して、米国で19年9月に承認された。

ピフェルトロ錠100mg(ドラビリン、MSD):「HIV-1感染症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

新規の非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)。耐性ウイルスに対して高い活性を示すとされる。核酸系逆転写酵素阻害薬2剤と併用して、1日1回の経口投与で用いる。食事の有無にかかわらず使用できる。

海外では19年7月時点で、欧米を含む36の国・地域で承認済。

ドウベイト配合錠(ドルテグラビルナトリウム/ラミブジン、ヴィーブヘルスケア):「HIV感染症」を効能・効果とする新医療用配合薬。希少疾病用医薬品。再審査期間は6年と1日。

インテグラーゼ阻害薬のドルテグラビル50mgと、核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)のラミブジン300mgを含有する2剤レジメン製剤。既承認のトリーメク配合錠はドルテグラビル、ラミブジン、NRTIのアバカビル硫酸塩の3成分含有製剤だが、このうちアバカビルを除いたのが今回のドウベイト配合錠となる。

HIV感染症の薬物療法は長期間の治療の継続が必要なため、長期服用に伴う副作用の軽減を目指し、2剤併用療法としてドウベイト配合錠が開発された。

ヴィーブは、抗レトロウイルス治療歴がなく、ドルテグラビルおよびラミブジンのいずれに対する薬剤耐性関連変異が認められていないHIV-1成人感染患者の治療を予定適応に申請した。既治療成人患者に対する2剤レジメン製剤はあるが、未治療患者に対する2剤レジメン製剤は、正式承認されれば、今回が初となる。

海外では19年8月時点で欧米を含む30の国・地域で承認済。

ノクサフィル錠100mg、同点滴静注300mg(ポサコナゾール、MSD):「造血幹細胞移植患者又は好中球減少が予測される血液悪性腫瘍患者における深在性真菌症の予防」、「フサリウム症、ムーコル症、コクシジオイデス症、クロモブラストミコーシス、菌種の真菌症の治療」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

アゾール系抗真菌薬。エルゴステロールの生合成を阻害することで、抗真菌活性を示す。血液疾患領域での深在性真菌症は確定診断が困難な場合が多く、発症すると予後不良であるため、同種造血幹細胞移植後等では抗真菌薬の予防投与が国内外のガイドラインで推奨されている。

アゾール系抗真菌薬にはイトリゾールなどがある。海外では18年10月までに、経口懸濁薬として73、錠剤として51、静注用溶液として42の米欧を含む国・地域で承認済み。
 
ザバクサ配合点滴静注用(セフトロザン硫酸塩/タゾバクタムナトリウム、MSD):適応菌種に「セラチア属及びインフルエンザ菌」を、適応症に「敗血症及び肺炎」を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(2027年1月7日まで)。

β-ラクタマーゼ阻害剤タゾバクタム0.5gに新規のセフェム系薬セフトロザン1.0gを配合したもの。現在は血流感染を起こしやすく、重症化することがある尿路感染症や腹腔内感染症の治療に使われている。

海外では、米国や欧州など4つの国・地域で承認済み。

バベンチオ点滴静注200mg(アベルマブ(遺伝子組換え)、メルクバイオファーマ):「根治切除不能又は転移性の腎細胞がん」を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間は5年10か月。

がん免疫療法薬で、ヒト型抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体。チロシンキナーゼ阻害薬インライタ(一般名:アキシチニブ)との併用で用いる。この場合、アベルマブを1回10mg/kg(体重)を2週間間隔で1時間以上かけて点滴静注する。チロシンキナーゼ阻害薬と併用して用いるがん免疫療法薬は今回が初めて。

海外では、根治切除不能または転移性腎細胞がんに対するアキシチニブとの併用療法は米国で19年5月に承認されている。

ニュベクオ錠300mg(ダロルタミド、バイエル薬品):「遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

非ステロイド性のアンドロゲン受容体阻害薬。1回600mgを1日2回、食後に経口投与する。類薬にはアステラス製薬のイクスタンジ(エンザルタミド)やヤンセンファーマのアーリーダ錠(アパルタミド)などがある。アーリーダの効能・効果は同じだが、イクスタンジの効能・効果は「去勢抵抗性前立腺がん」となっている。

海外では19年8月時点で、米国のみで承認されている。

【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告予定品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

キイトルーダ点滴静注20mg、同点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):「根治切除不能又は転移性の腎細胞がん」と「再発又は遠隔転移を有する頭頸部がん」を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(2022年10月18日まで)。

がん免疫療法薬で、ヒト化抗ヒト PD-1 モノクローナル抗体。今回追加する腎細胞がん、頭頸部がんともに化学療法歴のない患者に用いる。腎細胞がんについては、チロシンキナーゼ阻害薬インライタ(一般名:アキシチニブ)と併用して用いる。チロシンキナーゼ阻害薬との併用は今回が初めて。

アドセトリス点滴静注用50mg(ブレンツキシマブベドチン(遺伝子組換え)、武田薬品):「末梢性T細胞リンパ腫」の効能・効果を追加し、「再発又は難治性の未分化大細胞リンパ腫」を削除する新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は残余(2024年1月16日まで)。

微小管阻害薬結合抗CD30モノクローナル抗体。現在の効能・効果は、「ホジキンリンパ腫」、「再発又は難治性の未分化大細胞リンパ腫」となっている。今回、「再発又は難治性の未分化大細胞リンパ腫」を含む「末梢性T細胞リンパ腫」との広い概念のリンパ腫に改める。未治療の患者にも使用できるようにするほか、既治療の患者(再発又は難治性の患者)では小児にも使えるようにする。

ダラザレックス点滴静注100mg、同点滴静注400mg(ダラツムマブ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ):効能・効果の「多発性骨髄腫」の用法・用量を変更する新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は残余(2027年9月26日まで)。

ヒト型抗CD38モノクローナル抗体。他の抗悪性腫瘍剤と併用して用いるが、併用薬の投与サイクルを考慮して、同剤をA法またはB法の2通りの投与間隔で点滴静注できるようにする。

A法は1週間間隔、2週間間隔及び4週間間間隔の順で投与する。B法は1週間間隔、3週間間隔及び4週間間隔の順で投与する。

【訂正】キイトルーダの腎細胞がん、頭頸部がんの効能追加の記事で下線部を訂正しました。(11月27日12時10分)
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