ノーベル 初の鼓膜穿孔治療薬リティンパを発売
公開日時 2019/12/10 04:50
ノーベルファーマは12月9日、鼓膜穿孔治療薬リティンパ耳科用250μgセット(一般名:トラフェルミン(遺伝子組換え))を新発売した。鼓膜穿孔を対象とした初の治療薬となる。薬価は3万2691.30円(1セット)。
同セットは、表皮形成などを促す作用をもつヒト塩基性線維芽細胞増殖因子製剤のトラフェルミンを主成分とする凍結乾燥品と、添付溶解液及び鼓膜用ゼラチンスポンジで構成される。同剤を用いた鼓膜閉鎖治療は、トラフェルミンを浸潤させた鼓膜用ゼラチンスポンジを鼓膜穿孔部に留置し、その後、乾燥や感染を防止するためにゼラチンスポンジ表面を組織接着剤で接着・閉鎖することにより、鼓膜の再生環境を保ち、鼓膜を閉鎖させる治療法。自家移植片を必要としないため、治療を低侵襲に行え、処置が簡便であることから、外来で行うこともできる。
鼓膜穿孔は中耳炎、鼓膜チューブ挿入術、外傷などが原因で生じる。補聴器でも補正が難しい聴力低下と語音弁別能(言葉の聞き取り能力)低下をきたし、コミュニケーション障害につながる。中耳炎を惹起しやすくなるリスクもある。
通常は自然に閉鎖するが、自然閉鎖が認められない鼓膜穿孔に対しては、患者の耳後部から結合組織や軟骨片を採取して移植する鼓膜形成術や、人工材料を用いた鼓膜穿孔閉鎖術などが行われる。ただ、侵襲性が高いなどの課題があった。