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中医協総会 急性期一般入院料1の基準値は31%に引上げ 公益裁定で決着 地域医療構想実現へアクセル

公開日時 2020/01/30 04:53
中医協総会が1月29日開かれ、診療・支払各側で意見対立した急性期一般入院料1の基準値について、「重症度、医療・看護必要度Ⅰ」を現行の30%から31%に引き上げることで決着した。基準値をめぐっては各側の意見の隔たりが大きく、公益裁定に委ねられた。今回の基準値の見直しにより入院料1~3を取得する中小病院を中心に病床機能の転換が進む可能性が高まった。一方、医師の働き方改革を推進する観点から新設する「地域医療体制確保加算」の要件については、年間の救急車等の受入れを2000件以上とすることで決まった。地域における救急医療の集約化も想定される。診療報酬だけでなく、地域医療介護総合確保基金などもあわせて、医師の働き方改革をサポートするとともに、地域医療構想実現へ向けアクセルを踏む。

一般病棟の重症度、医療・看護必要度はA項目(モニタリング及び処置等)、B項目(患者の状況等)、C項目(手術等の医学的状況)を評価する。20年度改定では、A項目から「免疫抑制剤の管理」を除外(注射剤を除く)、C項目に入院実施割合が90%以上の手術(2万点以上のものに限る)及び検査を追加、評価対象日数を延長―などの見直しを行う。また、「診療・療養上の指示が通じる(B14)」または「危険行動(B15)」に該当し、A得点1点以上でB得点3点以上(基準②)を廃止する。

◎重症度、医療看護必要度Ⅱでは2ポイント緩和 診療側の主張受け

基準値については、急性期一般入院料1を看護必要度Ⅰで31%以上(現行:30%)、看護必要度Ⅱで29%以上(現行:25%以上)に引き上げる。以下、▽急性期一般入院料2 看護必要度Ⅰ:28%、看護必要度Ⅱ:26%、▽急性期一般入院料3 看護必要度Ⅰ:25%、看護必要度Ⅱ:23%、▽急性期一般入院料4 看護必要度Ⅰ:22%、看護必要度Ⅱ:20%―とする。厚労省のシミュレーションによると、3割近くの医療機関が満たさないことになる。ただ、医療機関の経営努力もあるため、転換はこれよりも小幅とみられるが、入院料1から2へと転換を促すメッセージが医療現場に発せられることになる。

基準値をめぐっては、診療側と支払側の意見がこの日も真っ向から対立。40分間の中断を経て、公益裁定がなされた。公益委員は、「医療従事者の負担軽減や、長期的に安定した判断を可能とする」として診療実績データに基づく看護必要度Ⅱ(EFファイル)について、届け出を促す必要性を指摘。現状では届け出医療機関が限定的であることを踏まえ、診療側の主張を受け入れ、看護必要度Ⅰより2ポイント低い点数設計となった。また、許可病床数200床未満の医療機関については経過措置を設けたが、「急性期一般入院料4に配慮する」とされた。中小病院で入院料1~3を取得する医療機関への影響が出ることも想定される。

◎支払側・幸野委員「7対1が急性期を象徴する病棟ではない」 実績考慮を

この日の中医協で支払側は、急性期一般入院基本料1を看護必要度Ⅰで30%、Ⅱで34%に基準値を引上げるよう求めていた。一方で、診療側は入院基本料1の基準値を「27%または28%」に、入院基本料4の基準値を「18%または19%にすべき」と主張した。

支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)が「7対1が急性期を象徴するような病棟ではない」として、実績に応じた点数設計を主張。入院料1から4までの差が大きくないことが急性期病床の転換が進まなかった理由と主張。「前回の教訓を踏まえればメリハリをつけて幅広い階段を創る必要がある。前回の改定から学ばせていただいた」と述べた。一方で、診療側の猪口雄二委員(全日本病院協会会長)は、「急性期病院の経営は厳しくなってきている」と指摘。安定的な医療提供体制構築の観点から「大きい数字の動きがあるものはやめていただきたい」と訴えていた。

◎地域包括ケア病棟 400床以上の新規届け出できず

今回の改定ではさらに、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料は許可病床数が400床以上の保険医療機関が新たにの届出を行うことはできないことも盛り込まれた。また、大学病院などの特定機能病院は、回復期リハビリテーション病棟入院料や小児入院医療管理料を届出ることができないことも明記された。大病院や特定機能病院は急性期や高度医療に特化する方針も明確になっている。

◎救急病院等における勤務医の働き方改革 特例措置は年間の救急搬送2000件以上


「2040 年の医療提供体制の展望を見据え、地域医療構想の実現に向けた取組、実効性のある医師偏在対策、医師等の働き方改革を推進し、総合的な医療提供体制改革を実施していくことが求められている」―。20年度診療報酬改定の基本方針にはこう明記されている。

20年度診療報酬改定の改定率は働き方改革の0.08%(公費ベース126億円)を上乗せし、0.55%で決着した。その特徴的な点数が新設される「地域医療体制確保加算」だ。救急医療にかかわる実績として、救急用の自動車・救急医療用ヘリコプターによる搬送受け入れ件数が年間で2000件以上であることに加え、▽病院勤務医の勤務状況の把握と、その改善の必要性等について提言するための責任者の配置、▽多職種からなる役割分担推進のための委員会又は会議を設置し、計画を作成すること―など、医療機関側の体制整備を要件とする。

昨年12月17日に行われた加藤厚労相と麻生財務相の大臣折衝では、診療報酬とあわせて、勤務医の働き方改革として、地域医療介護総合確保基金で公費143億円程度を確保した(関連記事)。この日の中医協で厚労省側は、診療報酬の対象とならない医療機関(B水準相当)を対象として、地域医療に特別な役割があり、かつ過酷な勤務環境となっている医療機関について医師の労働時間短縮のための体制整備に関する支援を行うことで、切り分けを行っていると説明した。基金で手当てする医療機関像としては、救急車受け入れ件数が1000~2000件で、地域医療に特別な役割がある医療機関や、離島へき地などで救急車受け入れ件数1000件未満、周産期や小児救急、精神科救急など地域医療の確保に必要な医療機関などを想定する。

診療報酬とともに、地域医療構想の実現と医師の働き方改革を強力に推進する原動力となることに期待を寄せる。基金のうち、地方負担分が1/3となることから、厚労省医政局の佐々木裕介総務課長は、自治体への周知に注力する姿勢を強調し、「着実な執行に努める」と強調した。


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