薬食審・第二部会 9価HPVワクチン・シルガードなど審議 4月22日のWeb会議とメールで
公開日時 2020/04/16 04:51
厚生労働省は4月15日、新薬2製品の承認可否の審議などを行う次回の薬食審医薬品第二部会を、22日のWeb会議と電子メールを用いた持ち回りで行うと発表した。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、従来の一堂に会する対面式の会議をやめた。Web会議に諮るのは今のところ、審議品目のひとつで参考人を招致する、子宮頸がん予防に用いる9価ヒトパピローマウイルス(HPV)様粒子ワクチンのシルガード9水性懸濁筋注シリンジとなる。厚労省は、「全ての議題をWeb会議で行うわけではない。極力書面による持ち回りとする予定」としている。
厚労省によると、部会委員の持ち回りとするため、審議品目が部会を通過したかどうかの結果報告は、5月の大型連休明けになる可能性があるという。次回の第二部会ではシルガードのほか、チロシンキナーゼ阻害薬オフェブに「進行性線維化を伴う間質性肺疾患」の効能を追加することも審議する。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽シルガード9水性懸濁筋注シリンジ(組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(酵母由来)、MSD):「ヒトパピローマウイルス感染に起因する疾患の予防」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
子宮頸がんなどの予防に用いる。従来の沈降4価ヒトパピローマウイルス(HPV)様粒子ワクチン(製品名・ガーダシル)が対応している6、11、16、18の4つのHPV型に、新たに31、33、45、52、58の5つのHPV型が加わっている。15年7月3日付で承認申請しており、部会審議までに5年近くを費やした。
HPV16、18、31、33、45、52、58型は子宮頸がん、外陰がん、膣がん、肛門がんなどの原因になることが知られている。これら7つのHPV型で子宮頸がんの原因の約90%を占める。ガーダシルでは約65%のカバーにとどまっていた。承認申請した当時、対応する9つのHPV型の感染に起因する子宮頸がん及びその前駆病変、外陰上皮内腫瘍、膣上皮内腫瘍、尖圭コンジローマの予防を効能・効果として申請した。
▽オフェブカプセル100mg、同150mg(ニンテダニブエタンスルホン酸塩、日本ベーリンガーインゲルハイム):「進行性線維化を伴う間質性肺疾患」を対象疾患とする新効能医薬品。優先審査品目。
血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)αβ及び線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)1,2,3及び血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)を標的とする低分子チロシンキナーゼ阻害薬。現在は特発性肺線維症と全身性強皮症に伴う間質性肺疾患――を適応症としている。
【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽アーリーダ錠60mg(アパルタミド、ヤンセンファーマ):「遠隔転移を有する前立腺がん」を対象疾患とする新効能医薬品。アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬。19年5月から「遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がん」の効能・効果で販売されている。
▽イクスタンジ錠40mg、同80mg(エンザルタミド、アステラス製薬):「遠隔転移を有する前立腺がん」を対象疾患とする新効能医薬品。アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬。18年6月から「去勢抵抗性前立腺がん」の効能・効果で販売している。
▽プレベナー13水性懸濁注(沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(無毒性変異ジフテリア毒素結合体)、ファイザー):ハイリスク患者における肺炎球菌による感染症の予防を追加する新効能医薬品。現在は高齢者や小児に使えるが、ハイリスクの成人患者にも使えるようにする。
▽ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.4mL、同皮下注80mgシリンジ0.8mL、同皮下注40mgペン0.4mL、同皮下注80mgペン0.8mL(アダリムマブ(遺伝子組換え)、アッヴィ):化膿性汗腺炎の適応で2週間に1回投与を可能にする新用量医薬品。希少疾病用医薬品。
ヒト型抗ヒトTNFαモノクロ―バル抗体製剤。化膿性汗腺炎に対する現在の用法・用量は、初回に160mgを、初回投与2週間後に80mgを皮下注射し、初回投与4週間後以降は40mgを毎週1回皮下注射して用いるというもの。この週1回投与の部分を今回、投与量を倍増させて2週間に1回で可能にする。