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米イーライリリー JAK阻害薬バリシチニブで新型コロナ入院患者対象の試験開始

公開日時 2020/04/22 04:51
米イーライリリーは4月21日、米国国立衛生研究所(NIH)傘下の国立アレルギー感染病研究所(NIAID)と、新型コロナウイルス感染症に対するNIH主導のアダプティブデザイン試験の一部として、経口JAK阻害薬バリシチニブ(国内製品名:オルミエント)の研究を行うことで合意したと日本法人を通じて発表した。

同試験では、新型コロナウイルス感染症と診断された入院患者の治療薬となる可能性があるバリシチニブの有効性と安全性を検討する。米国で4月に開始され、欧州やアジアを含めた他の施設にも拡大される予定。2か月以内に結果が得られる見込みという。

バリシチニブは日本を含む65か国以上で、中等度から高度疾患活動性の成人関節リウマチの治療薬として承認されている。新型コロナウイルス感染症では炎症カスケードがみられることから、バリシチニブの抗炎症作用が新型コロナウイルス感染症に効果をもたらす可能性があるとの仮説に基づき試験が行われる。

抗Ang2抗体 急性呼吸窮迫症候群の発症リスク高い新型コロナ患者のP2試験も開始

リリーはまた、試験段階のアンジオポエチン2(Ang2)に対する選択的モノクローナル抗体である「LY3127804」について、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を発症するリスクの高い新型コロナウイルス感染症で入院している肺炎患者を対象としたフェーズ2試験を開始することも発表した。

Ang2はARDSを呈する患者で増加することがわかっている。このためリリーは、新型コロナウイルス感染症患者において、モノクローナル抗体でAng2の作用を阻害することでARDSの発症や人工呼吸の必要性を減少させられるかどうか検討する。この試験は米国の複数の施設で4月中に開始する。

リリーのサイエンス分野主任兼リリーリサーチラボラトリー長のDaniel Skovronsky氏は、「リリーは、このパンデミックに打ち勝つために、最速で取り組み、活用できるあらゆる資源を投下していく。新型コロナウイルス感染症治療薬の開発は、当社の重要な人道的な使命のひとつだ」とし、「成功させるためにはさまざまな資源、データ、専門知識を結集した産官学の協働が必要だ。当社は、バリシチニブと抗Ang2抗体に関する臨床試験の結果が得られるのを待ち望んでいる」とコメントした。
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